雅彦 松田's scientific contributions

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体育の授業を教育の営みとして計画的に組織していくためには,学習の主体である学習者の行動が理解されることから始められなければならない。学習者の行動を理解していくためには,単なる行動の記述あるいは,行動の生起にかかわる変数のリストの提示では限界がある。そこで,学習者行動に関する概念的枠組の体系化が図られなければならないことになる。本稿の主題はそこに求められることになる。学習者行動に関する概念的枠組の体系化と,そこから提示される調査指針に基づく調査結果から,次のような実践的な知見を得ることができた。行動科学の人間行動に関する考え方から,循環的システム(逐次的意思決定過程)としての学習者行動モデルを演繹することができた。そのモデルから,体育授業における学習-指導過程は学習者行動そのものとみなすことが...
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本研究は,体育分野における選択制システムの理念と概要について明らかにすることを目的としている。そのために,本研究では,「運動・スポーツを目的・内容とする体育」を指向する立場から選択制システム導入の意義,および目標分析による学習内容の決め出し,さらには,選択制授業の類型について分析・検討することを試みた。また,それを現場における選択制授業の実施に適用させるため,滋賀県立玉川高等学校を事例として,選択制システム導入にかかる問題点を明らかにした。選択制授業においては,「学習者が,自分自身の能力や興味・関心に応じてスポーツ種目を選択することにより,みずからのスポーツライフスタイルをデザインしていくこと」が,独目のねらいおよび内容としてとらえることができた。また,選択制単元は,体育の目的を達成するため...
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本研究は,スポーツの本質価値を学習者が主体的に追求していく過程(学習指導過程)の理論的把握とその検証を目的とする。これからの体育においては,常にスポーツの本質的価値に焦点づけられた学習が組織されることとなり,その学習指導過程も,学習者のレディネスをふまえたプレイ欲求の充足過程として捉えられる。本研究では,これからの新しい体育における学習過程のあり方を,教育学及び関連諸科学の知見を探ることにより整理するとともに,その実践的妥当性の検証を試みた。結果として,学習者の自発的・主体的な学習を保障していくためには,学習過程を常にスポーツの本質的価値に焦点づけられたところの,逐次的なプレイ欲求の充足過程として整えていくことが基本的に重要であるということが確認できた。プレイ欲求の逐次的な充足をねらいとした...
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本研究は, 中学校の教科間選択学習の事例をもとに, これからの体育における学習内容を導き出す視点について検討していくとともに, 今後の体育分野における教科間選択学習のあり方を展望していくことを目的とするものである。結果, 生涯スポーツに統合・一環化される体育学習の展開における教科間選択システムの導入の有効性と,「人間とスポーツの関わり方」を視点とした学習内容の導き出しの必要性が確認された。 The purposes of this paper are the following investigations based on the case on Subject-Selective Learning in a junior high school. One is about the poi...
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本研究は,学習者のスポーツに対する固有の認知構造の形成に,どのような要因が連関をもってくるのかを明らかにすることを目的とする。上記目的に至るために,本学の体育実技(陸上運動)受講生151人を対象に,調査・測定を行なった。その結果次のようなことが明かとなった。学習者の陸上運動に対する認知構造と密接な関係にあるのは,体育授業に対する一般的知覚及び,その知覚の形成時期であり,相対的な技能レベルと認知構造との間には,意味のある関係はほとんどみられないことが分かった。この結果から,本来,学習者は技能の高低という学習者の外から眺めた固定観念に拘束されることなく,スポーツの本質価値実現に向かう存在であることが改めて確認できた。また,認知構造の分析結果から,学習者を協和的な認知構造を有する者と,不協和的な認...