喜久 赤松's scientific contributions

Publications (24)

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本研究は,舞踊における身体がいかに在るかについて,芸術性の観点から詳論することを目的とするものである。ここでは尼ヶ崎の芸術における身体の3つの層の考え方を起点とし,終局的には,舞踊の有する教育学的意味について検討を加えようとするものである。方法論上は,舞踊の身体について理念的に検討と考察を加えていくというものである。また,本研究の趣意が研究成果の授業実践への援用にあることから,理念的に捉えられる身体についての経験的可能性を高めていくために,芸術表現の内実に関わる若干の実証を加えていくこととする。尼ヶ崎に依拠すると,舞踊における身体は,「表現する身体」と「表現される身体」,「演じる身体」と「素の身体」,そして,「秩序ある身体」と「秩序不明の身体」の3層で捉えられることになる。まず,最初の「表現...
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本研究は,商業ベースで運営されるフィットネスクラブやスポーツクラブを一つのサービス組織としてとらえ,クラブの経営にかかるユーザーの評価の方法について注目した実証研究である。レジャーやレクリエーショソ,そしてスポーツと余暇文化の創造に寄与する組織的な経営では,まずユーザーの評価が重視され,多くの先行研究ではいろいろな方法論が示されてきた。今回は,先に行われている公共スポーツ施設の利用者を対象としたサービス評価の研究をモチーフに,追試的な方法を用い,その中で特に「ユーザーの要望」の構造に注目した。その結果,スポーツ施設というハードウェアや,その中で行われるプログラム・サービス,あるいは指導者からのコミュニケーション,インストラクションといったソフトウェアの要素の強いサービスに対するユーザーの認識...
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本稿は体育の学習評価について,学習評価の道筋及び,その背景に在る基本的理念の整理を試みることにより,授業実践に活きる知見を導出しようとするものである。方法上は,マイネル,金子のスポーツ運動学を拠り所に,学習評価の具体化を試みようとするものである。結果,研究方法との関わりから,学習評価に焦点を当てていく以前に,整理しておかなければならない問題に直面し,それらの問題の整理に多くの時間,内容が充てられ,主題である学習評価については,具体化というレベルまでには至ることができなかった。例えば,学習評価に先立ち,体育科教育学の理論的枠組みの整理,あるいは,体育の目標・内容の具体的な構造的整理等々がそれである。これらの問題に十分な説明を加えていくにはなお時間を要すが,ここで若干なりとも整理することができた...
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本研究は,体育における研究授業の意味と実践的成果について明らかにしていくことを目的とする。研究授業の成果を検証するために,研究授業の実践校(3校)と一般校(3校)の教員を対象として,体育の目標や指導上の力点,学習評価の観点等について調査を行い,次のような結果を得た。1.研究授業は教員間の体育の方向目標に関する共通認識を促進する。2.体育の方向目標の共有化は教師の指導上の力点や評価の観点に影響する。 以上の諸点が明らかにされたことから,研究授業は学校全体として体育の授業の創造に成果を上げることができるものであることがわかった。今日では,教員の労働条件の改善に向けての施策との関連から,研究授業制度が縮小の方向にある。研究授業の成果をさらに高めていくことができる制度上の改善を含めた社会的な支援策の...
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本研究は、商業スポーツクラブ施設において、サービスの直接的で、実質的な送り手となる指導者に焦点を当てて、スポーツクラブの組織特性に対する意識とクラブ施設に関する集団雰囲気を把握するとともに、現況下でのさまざまな条件整備の必要性に関する意識、特にその重要性の認識の程度について明らかにしようてするものである。今回の調査は、大阪府下における小規模な調査であるため、事例的な色彩が濃いけれども、現状における商業スポーツクラブに勤務しているスタッフの意識構造について明らかにすることができた。とりわけ、冬の時代とも、氷河期とも称されるスポーツ産業が直面する今日的社会において、指導者のサービスの内容の改善に対する重要性の認識程度が高く、自ら好意的に受けとめる職場環境の雰囲気の中、勤務に従事しているという実情...
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本研究は,平成2年3月に大阪府教育委員会の委託を受けて実施した調査結果に基づき,府民の地域に対する親密度とスポーツライフスタイルとの関係を明らかにしたものである。分析の結果,大都市圏に在住する府民の特徴的傾向として,現住地域での居住年数,年代という時間的要因と地域に対する親密度との強い相互関連を見ることができた。さらに,地域に対する親密度の違いによるスポーツライフスタイルの差異を明らかにすることができた。具体的には,所属スポーツクラブ,参加スポーツプログラム,利用スポーツ施設いずれにおいても,地域に対する親密度が強い者ほど,地域に基盤をもつものへの強い参与傾向を示すことが明らかになった。それらの結果に基づいて,これからのスポーツ行政(経営)施策の基本的あり方を展望するとき,スポーツの振興を図...
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この小論は,人間の多様なプレイ欲求と生理的必要の充足を目的として,学習者が自立的・自律的な運動行為によって,それを実現する,という体育科教育の目指す新しい方向を踏まえて,学習集団の新たな意味づけと組織の仕方について理念的に検討を行ない,授業への仮説的モデルを導き出そうとするものである。これまでの体育の性格に規定された学習集団の一形態としてのグループ学習の集団は,運動/スポーツを手段として,それらに外在する教育的諸価値を実現するための学習の条件や,効率の最適化の観点から,学習者間,及び,教師との人間関係を捉えて来た。これに対し,これからの体育では,学習の目的かつ内容とされる運動/スポーツに内在する諸価値を実現する,という観点から学習集団を捉え直さなければならなくなって来た為に,先ず第一に,運動...
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本研究は,スポーツの本質的な価値を学習者が主体的に追求・享受していくという,これからの体育の目指す新たな方向を,より具体的,実践的に理解することを究極の目的とし,学習者の主体的な学習内容(スポーツの本質的価値)の追求活動の検討を,学習過程の捉え直しから行なうこととした。そのためには,学習内容がより明確に把握されなければならなくなってくることから,先ず,学習内容の検討・整理が試みられた。上記の目的に至るために,本研究においては,主にBarnardの組織理論に依拠し,学習内容,学習過程に関する経験的命題の演繹を試みるという手法をとり,以下に示すような諸点が明らかにされた。学習内容に関しては,誘因という概念を導入して学習内容を捉えることにより,個々の学習者の学習レディネスに応じた個別の学習内容が導...
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本研究は,スポーツの本質価値を学習者が主体的に追求していく過程(学習指導過程)の理論的把握とその検証を目的とする。これからの体育においては,常にスポーツの本質的価値に焦点づけられた学習が組織されることとなり,その学習指導過程も,学習者のレディネスをふまえたプレイ欲求の充足過程として捉えられる。本研究では,これからの新しい体育における学習過程のあり方を,教育学及び関連諸科学の知見を探ることにより整理するとともに,その実践的妥当性の検証を試みた。結果として,学習者の自発的・主体的な学習を保障していくためには,学習過程を常にスポーツの本質的価値に焦点づけられたところの,逐次的なプレイ欲求の充足過程として整えていくことが基本的に重要であるということが確認できた。プレイ欲求の逐次的な充足をねらいとした...
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本研究は,学習者のスポーツに対する固有の認知構造の形成に,どのような要因が連関をもってくるのかを明らかにすることを目的とする。上記目的に至るために,本学の体育実技(陸上運動)受講生151人を対象に,調査・測定を行なった。その結果次のようなことが明かとなった。学習者の陸上運動に対する認知構造と密接な関係にあるのは,体育授業に対する一般的知覚及び,その知覚の形成時期であり,相対的な技能レベルと認知構造との間には,意味のある関係はほとんどみられないことが分かった。この結果から,本来,学習者は技能の高低という学習者の外から眺めた固定観念に拘束されることなく,スポーツの本質価値実現に向かう存在であることが改めて確認できた。また,認知構造の分析結果から,学習者を協和的な認知構造を有する者と,不協和的な認...
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本研究は,地域住民のスポーツ行動に関する調査を基に,スポーツ行動を規定する要因についての次元の縮約を試みることによって,スポーツ実施の実状を把握するとともに,今後の地域スポーツ振興に有用となる知見を得ようとするものである。調査結果の分析の結果,以下に示すような諸点が明らかとなった。 (1) 性別,年代別にスポーツの実施状況を実施率でみてみると,女性に比し男性の実施率が高くなるという性差,および,加齢とともに実施率は低下するという年代による差が存在することが明らかとなった。 (2) 勤務地とスポーツ行動との関係は,男女ともに市内勤務者に比し,市外勤務者のポーツ実施率が高く,特に,男性の市外勤務者のスポーツ実施が顕著であることがわかった。 (3) 勤務地,職業,性別によってスポーツ行動の特定化を...
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体育の授業を教育の営みとして計画的に組織していくためには,学習の主体である学習者の行動が理解されることから始められなければならない。学習者の行動を理解していくためには,単なる行動の記述あるいは,行動の生起にかかわる変数のリストの提示では限界がある。そこで,学習者行動に関する概念的枠組の体系化が図られなければならないことになる。本稿の主題はそこに求められることになる。学習者行動に関する概念的枠組の体系化と,そこから提示される調査指針に基づく調査結果から,次のような実践的な知見を得ることができた。行動科学の人間行動に関する考え方から,循環的システム(逐次的意思決定過程)としての学習者行動モデルを演繹することができた。そのモデルから,体育授業における学習-指導過程は学習者行動そのものとみなすことが...
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The purpose of this study is to clarify the concept of Guidance and Support on community sports and to specify the directionality of organization and support for achievement of the sports society through life. The authors have stressed that it is necessary for achievement of the society for longlife sports,to cooperate with other groups and to cons...
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The aim of this research is to clarify the meaning of "play" for pupils, and to discuss the significance of understanding its meaning by the pupils in the physical education curriculums. The research method is as follows (while systematizing the meaning of play through the consideration of the play theory by Johan Huizinga, a Dutch scholar, I exami...
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経営の意思決定過程への参加が,組織構成員のモラールの昂揚に繋るという,経営学の組織論の体育経営への適応の可能性を検証し,それらの組織内環境にかかわる問題が,組織外環境としての運動者とどのような連関をもつのか,すなわち,事業の効果(運動者の欲求充足にどの程度貢献しているかの問題),効率(施設の保有する物的条件がどの程度活用されているかの問題)に,どのように反映されるかの経営学的考察を試みる。研究の対象を,独立,総合的な体育の経営体としての機能を備えた公営体育館(以下体育館とする)とし,廨執行(経営体としての体育館が歳出予算の配当を受け執行できる)と,本庁執行(体育館を所管する教育委員会で歳出予算を執行する)との,2つの管理形態の体育館職員(以下職員とする)に対して,モラール調査を行い上記命題の...
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本研究は,体育分野における選択制システムの理念と概要について明らかにすることを目的としている。そのために,本研究では,「運動・スポーツを目的・内容とする体育」を指向する立場から選択制システム導入の意義,および目標分析による学習内容の決め出し,さらには,選択制授業の類型について分析・検討することを試みた。また,それを現場における選択制授業の実施に適用させるため,滋賀県立玉川高等学校を事例として,選択制システム導入にかかる問題点を明らかにした。選択制授業においては,「学習者が,自分自身の能力や興味・関心に応じてスポーツ種目を選択することにより,みずからのスポーツライフスタイルをデザインしていくこと」が,独目のねらいおよび内容としてとらえることができた。また,選択制単元は,体育の目的を達成するため...
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本研究の目的は,恒常性のある「見る」運動(一点注視)と多様性のある「見る」運動(分散注視)が,それぞれクローズドスキルの運動学習に及ぼす影響を明らかにすることであった。本研究ではクローズドスキルの運動課題としてダーツを用いて行われた。Day1からDay3までの練習期間において,分散注視型の注視課題を与えた群の得点は低い値を示し向上もみられなかった。しかし,注視課題を与えずに行ったPost Test及び保持テストの得点がPre Testの得点を上回った。また,一点注視群の得点との間には逆転現象が見られた。本研究で得られた結果は,多様性注視課題をもって練習を行うことで,多様性筋運動による練習と同等もしくはそれに近い効果が得られる可能性があることを示唆している。 The purpose of th...
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"KARATE" was introduced from China in Japan 600 years ago. At the beginning "KARATE" had the characteristic of combat activity, but it had been changed its own characteristic as "KARATE DOU" through Japanese culture. "KARATE DOU" is one of "BUDOU" activity. Although "BUDOU" is Japanese culture or attitude that is typically endowed by Japanese peopl...
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サッカー専用スタジアムは,多種目複合施設よりもピッチとスタンドとの距離が近いため,観戦者と選手が一体となってサッカーを楽しむことができる。本研究は,サッカー専用スタジアムを使用することが,観戦者の観戦行動にどのような影響を与えるのかを,カテゴリカル回帰分析を用いて検証を行った。量的,質的な分析の結果からは,サッカー専用スタジアムの影響度を明らかにすることはできなかった。しかし,先行研究では,観戦動機の構成要素のうち,観戦者が感じる一体感や臨場感が重要であると報告されていることから,試合を間近で観戦できるサッカー専用スタジアムは,観戦行動に効果があると考えられる。スタジアム全体の臨場感がどのように高まるのかを検証した先行研究は見当たらないが,プロダクトとしてのスポーツ価値に焦点を当てた研究を進...
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本研究は,スポーツ情報のネットワークシステムを具体的に構築していくことを目的とするものである。システムの具体化は次の二方向からのアプローチによる。第一はスポーツ情報そのものの構造的整理の試みである。この点についてはスポーツ情報関連の先行するネットワーク及びデータベースのリサーチにより行った。第二は各情報内容に対する地域住民のニーズや情報の操作性等の実状の把握である。この点については過去2度に亘って行った調査結果(大阪府南が対象)の分析により行った。その結果,利用可能なスポーツ施設の検索,施設利用申請のようにデータベースの逐次的更新が求められる内容,あるいは,指導者情報のようにデータベース更新のサイクルが比較的長くなる内容等のスポーツ情報を構造的に整理していく観点を提示するとともに,住民のニー...