ケイジ マツダ's scientific contributions

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社会的事実としてのスポーツは,諸個人の主体的意識作用を含む行為であると同時に,「ホモ・シンボリカス」としての本性を持つ人間のシンボルに媒介された社会的相互作用によって構成されている。この点を踏まえれば,社会学的なスポーツ研究は,スポーツを構成するところの現存在である人間が間主観的で意味的なコミュニケーションを通して絶えずスポーツを現実としている過程を問題にしなければならない。そこで本研究では複雑でありながらも社会的に秩序のあるスポーツ現象を可能にしているスポーツの共有的意味世界を明らかにするために,スポーツ現象を表象する言語を隠喩として見立てる日常的言語使用に着目し,その分析を通して「一般的な他者の態度」として現れるスポーツ観を明らかにし,その成立ちや変化・修正への分析の視点を追求することと...
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本研究は,スポーツの本質価値を学習者が主体的に追求していく過程(学習指導過程)の理論的把握とその検証を目的とする。これからの体育においては,常にスポーツの本質的価値に焦点づけられた学習が組織されることとなり,その学習指導過程も,学習者のレディネスをふまえたプレイ欲求の充足過程として捉えられる。本研究では,これからの新しい体育における学習過程のあり方を,教育学及び関連諸科学の知見を探ることにより整理するとともに,その実践的妥当性の検証を試みた。結果として,学習者の自発的・主体的な学習を保障していくためには,学習過程を常にスポーツの本質的価値に焦点づけられたところの,逐次的なプレイ欲求の充足過程として整えていくことが基本的に重要であるということが確認できた。プレイ欲求の逐次的な充足をねらいとした...
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体育の授業を教育の営みとして計画的に組織していくためには,学習の主体である学習者の行動が理解されることから始められなければならない。学習者の行動を理解していくためには,単なる行動の記述あるいは,行動の生起にかかわる変数のリストの提示では限界がある。そこで,学習者行動に関する概念的枠組の体系化が図られなければならないことになる。本稿の主題はそこに求められることになる。学習者行動に関する概念的枠組の体系化と,そこから提示される調査指針に基づく調査結果から,次のような実践的な知見を得ることができた。行動科学の人間行動に関する考え方から,循環的システム(逐次的意思決定過程)としての学習者行動モデルを演繹することができた。そのモデルから,体育授業における学習-指導過程は学習者行動そのものとみなすことが...
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科学的な解釈以前にある日常的生活において,スポーツはどのような意味的世界を構成しているのか。このことは,「生の現実」として自明視されるスポーツそのものの存在への問いや,その実存論的意味=主体性への問いを可能にしてくれる。前回試みた,スポーツ現象をメタファーに用いる言語使用の分析の再整理から,そこに現れる日常世界でのスポーツの意味的世界は,「挑戦課題のあり方とその克服の様」に特徴づけられるものであることが指摘された。また,このリアリティは,A.シュッツ,江原の多元的現実論の授用から,至高の現実とされる一次的な日常世界と,二次的な世界解釈の枠組みとしての日常世界が,選択的に結合されたことに特質を持つことが分析できた。このようなリアリティの多元性を支える地平を,「スポーツパラダイム」と呼び,さらに...
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教科体育は,スポーツを他の望ましいとされる外在価値(extrinsic values)の実現のための手段と捉えた従来の体育(新体育)から,スポーツをそれ自体目的的に追求されるもの(intrinsic valuesの実現)と捉える新しい体育(スポーツ教育,生涯スポーツへ指向する体育)へと、その内実を転換させている。それに伴って、教育目標と目標追求活動の最適化を図るフィードバック情報として捉えられる体育の教育・学習評価のあり方もその目標との一体関係故に、また教育評価論そのものの査定的・総括主義的評価から到達度的・形成的評価への転換故に,従来のものとは大きく異なるものとなる。新しい体育の評価は,個々の学習者のスポーツ的個性をスポーツのプレイ・文化としての属性故に正当化する「生涯スポーツ」の実現に機...