Yasuharu MIYANO's scientific contributions

Publications (40)

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いわゆる「ナチズム」(Nationalsozialismus)の体験は,リット(Theodor Litt)の政治教育思想の形成において,決定的に重要な意義をもっている。彼は,ナチズムに迎合的な思想状況の中で,あえて敢然とナチズムとの対決を企てた。この彼のナチズム批判は,主として「学問」および「歴史」という2つの視点からなされていると見ることができる。本稿では,ナチス期の初期に公刊された著作の分析・検討を通して,リットがいかにナチズムとの対決を試みようとしたかを明らかにすることにしたい。 Litts Erfahrungen in der Zeit der Nationalsozialismus spielen bei der Bildung seiner Theorie der politis...
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今日,「科学とは何か」をめぐって論議が白熱しており,それに伴って,実に様々な科学論モデルが提示されている。まさに「科学論」こそは,従来の「認識論」にとって代わる,哲学の新しい根本テーマにほかならない。だが,たとえ科学といえども,それが人間精神の所産である以上,それへの問は,また極めて人間学的,かつ教育学的な問題であると言える。本稿においては,哲学的人間学の地平から構築されたリット(Theodor Litt)の科学論を取り上げ,その陶冶論的意義を明らかにしたいと思う。 Die Frage nach dem Wesen der Wissenschaft steht heute zur hitzigen Diskussion, und damit als Antworten auf diese F...
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ドイツにおけるいわゆる「精神科学的教育学」は,その研究方法から見れば,「解釈学的方法」や「現象学的方法」と並んで,「弁証法的方法」を有力な武器としているが,このことは,とりわけテーオドール・リット(Theodor Litt)の場合には顕著である。特に晩年の彼にあっては,自然科学の陶冶価値の究明に際し「二律背反」概念が導入されることにより,弁証法的傾向は一層鮮明なものになっている。本稿では,このリットの後期教育思想における「二律背反」概念を取り上げ,その特徴や意義を明らかにしたいと思う。 Zu den Forschungsmethoden der sogenannten geisteswissenschaftlichen Padagogik in Deutschland gehort nebe...
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図書「教育学」の中の第1章「教育の本質と目的」第1節部分
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リット(Theodor Litt)は,1937年10月にライプツィヒ大学を退職した後も,「ナチズム」(Nationalsozialismus)に対する批判を決して緩めることはなかったが,著作の上でそうした批判を企てた代表的なものとして挙げられるのが,38年に公刊された『ドイツ精神とキリスト教』(Der deutsche Geist und das Christentum)である。彼はこの書において,ナチズムのバイブルと称されたローゼンベルク (Alfred Rosenberg)の『20世紀の神話』(Der Mythus des 20. Jahrhunderts)との対決を試み,それを通して,「ドイツ精神」と「キリスト教」の関係を問い直し,両者の「出会い」(Begegnung)の重要性を強調し...
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人間への問を哲学の立場から主題的に探究するいわゆる「哲学的人間学」は,現代哲学の中で確固たる地歩を占め,教育学に対しても並々ならぬ影響を与えるに至った。このことは近時のドイツ教育学に典型的に現われているが,それに際して,特に注目すべき先駆的人物として,テーオドール・リット(Theodor Litt)の名が挙げられるだろう。即ち,彼は人間学こそ現代哲学のテーマであると断じ,独自の哲学的人間学を構想して,これを己れの教育理論の基礎に据えたのである。本論文の目的は,哲学的人間学をめぐる状況から「生の哲学」と「実存哲学」という対立を取り出し,リット人間学の根本性格をこれら両哲学への態度の究明を通して明らかにすることに存するのである。 Philosophische Anthropologie als...
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ドイツ観念論の凋落この方,「思考」を人間の核心に据えようとする試みは,影を潜めたかのようである。これを如実に物語ることとして,例えば近時の存在論的人間学の興隆を指摘することができる。しかしながら,人間に関する如何なる「思想」(Gedanke)も畢竟人間の「思考」(Denken)の所産であることを顧慮するなら,思考は人間にとって必ずしも副次的ではなく,むしろ本質的とすら言えるだろう。テーオドール・リット(Theodor Litt)は思考のこうした側面に着目した人であるが,本論文では,このリットが彼の哲学的人間学で如何に「思考の復権」を唱えているかを,思考の人間形成的意義の問題等と関連づけながら,明らかにしたいと思う。 Seit dem Untergang des deutschen Ideal...
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今世紀における哲学的人間学の運動は,「人間の自己問題性」に突き動かされて成立し,シェーラーやゲーレンの著作のタイトルが象徴的に表現しているように,「世界における人間の地位」の究明に心血を注ごうとした。テーオドール・リット(Theodor Litt)の哲学的人間学も,こうした問題状況に応じたものであって,とりわけ彼においては,人間学の根本問題が「人間の世界意義」への問として定式化されている。本稿では,このようなリット人間学を「人間の世界意義」という視座から考察し,そこから帰結する教育学的意味について考えてみることにしたい。 Die philosophische Anthropologie unserves Jahrhunderts,die von Max Scheler und Helmuth...
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チス期は「暴力」支配の時代であった。1942年にリット (Theodor Litt) は一書を著したが, それは『国家暴力と道徳』 (Staatsgewalt und Sittlichkeit) と題されている。この書においては, 「暴力」, そして「国家暴力」が, 人間の「自由」に発しており, したがって「道徳的抑制」を必要としていることが主張されるとともに,こうした抑制を否認する「自然主義」の典型例として, ヒトラー (Adolf Hitler) の『わが闘争』 (Mein Kampf) が組上に載せられている。本稿では, 特にこの『国家暴力と道徳』を取り上げることによって, リットのナチズム批判の最終局面を明らかにすることにしたい。 In. der NS-Zeit beherrscht...
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図書「教育学」の中の第1章「教育の本質と目的」第2節部分
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第2次世界大戦後,ナチズム経験を踏まえたリット(Theodor Litt)の政治教育思想は,新たな展開を見せることになる。すなわち,「全体主義」 に対抗して,「民主主義」が旗印として掲げられ,それが政治教育の決定的な原理とされるにいたるのである。本稿においては,こうしたリット政治教育思想の新局面を取り上げ,同じく民主主義を標榜する「パートナーシップ」論との対決にとりわけ注目しつつ,そこに孕まれている問題について検討することにしたい。 Nach dem Zweiten Weltkrieg stand dem deutschen Volk das Thema “Erziehung zur Demokratie” vordringlich an. Theodor Litt hat ab 1953...
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ヴァイマル期のドイツにおいて、「公民教育」をめぐる問題は、焦眉の教育課題の一つであったが、この期のリットにとっても、この問題は彼の政治教育理論の核心を形成していた。彼は、公民教育の「哲学的基礎」を掘り下げ、公民教育における「国家の理念と現実」の関係を究明しようとした。そこでは、彼独自の国家観が展開されているとともに、ヴァイマル共和国に対する彼の態度が示されている。本稿では、こうしたリットの公民教育論を取り上げ、その意義ならびに限界について明らかにすることにしたい。 / Die staatsbürgerliche Erziehung war ein brennendstes Problem in der Weimarer Zeit.Das Problem bildete für Theodor...
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テーオドール・リット(Theodor Litt)晩年の「人間陶冶」(Menschenbildung)をめぐる論議の中で,「自然科学」(Naturwissenschaft)とともに重要なテーマとなっているのが,これと密接に結びついた「技術」(Technik)の問題である。実際,「技術の時代」と称される現代において,しかも,技術至上主義から反技術主義にいたるまで,その評価が多様を極めている状況にあって,技術の人間形成的もしくは教育的意義への問いは,教育学全体の最重要課題の一つといえよう。そこで本稿では,こうしたリットの「技術と人間陶冶」に関する見解を取り上げ,その意義や問題点について検討してみたいと思う。 Wir bezeichnen so oft unsere Zeit als“das Zei...
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プラトン以来,「政治教育」の問題は教育学の根本テーマに属してきたが,今世紀のドイツ教育学において,とりわけこの問題に生涯にわたって取り組み,時代の政治状況のなかで独自の政治教育思想を展開したのがテーオドール・リット(Theodor Litt)であろう。しかしながら,これまでのリット研究にあっては,こうした彼の側面については,必ずしも十分な関心が払われてきたとはいいがたい。そこで,本稿では,リット政治教育思想の研究の手はじめとして,ヴァイマル期の彼の文化教育学においていわゆる「ナショナリズム」の問題がいかに論じられているかを取り上げ,その意義や問題点等について考察することにしたい。 Seit Plato hat das Problem der politischen Erziehung zu...
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自然科学は今日,単なる学の一部門であることを越えて,人間の存在様式を根本的に規定する力となっている。従って,現代における人間形成の在り方を問う場合,このような自然科学を避けて通ることはできない。いわゆる「精神科学的教育学」の中で,逸早く自然科学をめぐる問題に取り組んだのが,ほかならぬリット(Theodor Litt)なのであるが,本稿では,このリットが自然科学の本質をいかにとらえ,また,その「陶冶価値」をどう評価しているかを明らかにするとともに,そこに含まれている問題点について検討してみたいと思う。 Die Naturwissenschaft ist heute weit mehr als eine Fachdisziplin unter anderen.Sie ist zu einer g...