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2020年に長崎県高島で採集したガ類 [Moths collected from Takashima Island, Nagasaki Prefecture, Kyushu, Japan in 2020]

Authors:
Pulex No. 103, 2024
1063
gun, Miyazaki-Pref.25, VII, 2023LT屋宜採1Minamimata, Aya-cho, Higashimorokata-
gun, Miyazaki-Pref.13, VI, 2024SW浜口採集
末筆ながら採集に同行いただいた野崎翼氏,佐藤勇哉氏,河合諒人氏(九州大学に厚く
御礼申し上げる.
[引用文献]
Terada T (2016) The Insects of Japan vol.7. Stathmopodidae (The entomological society of Japan). 191
pp. Touka Shobo, Fukuoka.
71 (Lep.: Ditrysia) 2020 に長崎県高島で採集したガ類
久末 遊(自然研・小笠原)・外村俊輔(徳島県立博物館
高島は長崎市の南西約 15 km に浮かぶ面積 1.11 km2の小さな島で,海底に広がる西彼杵
炭田から産出される石炭により伊王島,(軍艦島)などとともに炭鉱の島として栄え
(家坂,1973森,1974嘉村1982しかしながら,石炭の採掘と移住による開発,1961
年の高島炭鉱閉山に伴う人口減少によって,島の自然環境は大きく変化し,また外来生物
侵入や過去生息していた種の減少など影響を受けたことがうかがえ(楠井,1994a1994b).
昆虫の分布については神谷19521953a1953bによる一連の報告のほかに楠井1994a
1994b)による甲虫およびゴキブリ類のまとまった報告があり,近年では Liu et al. (2021)
市丸2023によっていくつかの種の追加がなされている.しかしながらチョウ目につい
ては指方1954と小渕1954によるいくつかの迷チョウの報告があるに留まり,特にガ
類は記録を欠いているようである
本報では,当地で久末が実施した採集調査で得られた個体を報告し,高島におけるガ類
解明の第一報としたい.2020 8月の夜間に人工(図 1を訪れたものを採集した採集
者は全て久末,採集地は全て長崎県長崎市高島町の高島であるため省略し,以降の地名の
を記述した.同定は全て外村がおこなった.種名の後に*ついたものは長崎県から報告
ないと思われる.標本は全て久末が保管している.
[採集標本データ]
Yponomeutidae スガ
1. Xyrosaris lichneuta Meyrick, 1918 ソバコス*
1, 尾浜, 2. VIII. 2020.
12.クロガネシダマイコガ.1,成虫2,寄主植物上の幼虫.スケールバー:3 mm
Pulex No. 103, 2024
1064
Stathmopodidae ニセマイコガ科
2. Stathmopoda auriferella (Waker, 1864) キイロマイコガ(図 2
1, 光町, 2. VIII. 2020.
Batrachedridae ソキバガ科
3. Batrachedra sp. cf. pinicolella (Zeller, 1839) ホソキバガの一種(図 3
1, 尾浜, 2. VIII. 2020.
Cosmopterigidae ザリバガ科
4. Labdia semicoccinea (Stainton, 1859) ベニモントガリホソガ(図 4
1, 尾浜, 2. VIII. 2020.
5. Cosmopterix attenuatella (Walker, 1864) ソカザリ*(図 5
1, 尾浜, 2. VIII. 2020.
Limacodidae イラガ
6. Microleon decolatus Sasaki, 2016 キマダラテングイラ
1, 百万, 2. VIII. 2020.
Tortricidae ハマキガ科
7. Epiblema foenella (Linnaeus, 1758) モギネムシガ(図 6
1, 百万, 2. VIII. 2020.
Pterophoridae トリバガ科
8. Hellinsia lienigianus (Zeller, 1852) ヨモギトリバ
1, 百万, 2. VIII. 2020.
Crambidae トガ科
9. Pseudargyria interruptella (Walker, 1866) ソスジツトガ
1, 尾浜, 2. VIII. 2020.
10. Parapediasia teterella (Zincken, 1821) シバツトガ
1, 尾浜, 2. VIII. 2020.
ホソバコスガとホソカザリバは長崎県から過去の記録が見当たらなかった.今回の調査
で得られた 10 全てが高島では記録されていない種であったが,他の昆虫類の分布種数と
比べると高島のガ類相はほとんど解明できていないと言って差し支えない.今後の同好諸
氏の採集と続報を待ちたい
末筆ながら,崎県内のガ類の分布についご教示いただいた西澤正隆氏長崎県昆虫研
会)貴重な文献をご恵与いただいた中島充也氏(同市丸智規(長崎県立大村高校)
中島氏をご紹介いただいた境良朗氏(対馬市)に厚く御礼申し上げる.
[引用文献]
市丸智規2023長崎県におけるゴキブリ類 5の追加記録.者たちの科学雑誌,1(2): 67
70.
家坂貞男1973)高島炭鉱.長崎県地学会(編)長崎県の地学-日曜巡検ガイドブック-:
2930.長崎県地学会,長崎.
神谷寛之(1952)高島の昆虫〔1〕.こがねむし,2(34): 59.
神谷寛之(1953a高島の昆 (2)こがねむし,3(1): 711.
神谷寛之(1953b)高島の昆 (3).こがねむし,3(23): 1214.
嘉村豊(1982)西彼杵炭田の生成発達に関する地質学的研究.鉱山地質,32(4): 323338.
楠井善久(1994a伊王島, 高島のゴキブリ類.長崎県生物学会誌,(43): 7678.
Pulex No. 103, 2024
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楠井善久1994b高島の甲虫類 40 年目の採集記録―神谷1952の記録との比較―.長崎
県生物学会誌,(44): 4350.
Liu T-T, Ono H, Maruyama M (2021) Revision of the intertidal rove beetle genus Bryothinusa from
Japan (Coleoptera: Staphylinidae: Aleocharinae). Acta Entomologica Musei Nationalis Pragae,
61(1): 163201.
周蔵1974高島炭鉱に関する一考察―石炭発見から三菱の所有まで―.法政史学,26:
94106.
小渕善男(1954)西彼高島でリュウキュウムラサキを採る.こがねむし,4(12): 11.
指方賢二1954高島(長崎県西彼杵郡でメスアカムラサキ多数を採集すこがねむし
4(12): 11.
161,採集環境の一つ2,キイロマイコガ3ホソキバガの一種;4ベニモントガリホソガ;5
ホソカザリバ;6,ヨモギネムシガ
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  • 指方賢二
指方賢二(1954)高島(長崎県西彼杵郡)でメスアカムラサキ多数を採集す.こがねむし, 4(1・2): 11.