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Assessment, Symptoms, and Treatment of Yips in Sportsスポーツにおけるイップスのアセスメント・症状・対処

Authors:

Abstract

Many athletes suffer from yips, which is defined as “a psycho-neuromuscular movement disorder, which affects sports in which fine motor precision skills (Clarke et al., 2015, p. 156).” Yips is one reason for significant performance decrements in sports. Several case studies, surveys, and experimental studies have been conducted to clarify this phenomenon. These studies can increase the understanding of yips and help athletes, coaches, and practitioners improve this problem during practice and competitions. Therefore, we reviewed 62 articles published from 1981 to 2021 reporting assessment, symptoms, and treatments of yips in sports. As a result, we identified four types of assessments: (1) self-assessments, (2) observations by others, (3) kinematic and physiological assessments using motion capture and electromyography, and (4) responding to assessment scales. The studies were also categorized in terms of symptoms, as psychological (e.g., anxiety, attention, and personality) and physio-behavioral (e.g., kinematics, muscular activity, and brain activity). The studies on yips treatment could be classified into imagery techniques, pharmacotherapy, and other psychological skills. Furthermore, specific studies indicated post-traumatic psychological growth through yips experiences. The implications of these studies for future research on yips are discussed based on this review.
1
大阪体育大学スポーツ科学研究科
590
-
0496
 大阪府泉南郡熊取町朝代台
1
-
1
2
武庫川女子大学男女共同参画推進室
663
-
8558
 兵庫県西宮市池開町
6
-
46
3
武庫川女子大学健康・スポーツ科学部
663
-
8558
 兵庫県西宮市池開町
6
-
46
4
広島大学大学院人間社会科学研究科
739
-
8511
 広島県東広島市鏡山
1
-
3
-
2
連絡先:柄木田健太
E-mail: kenta.karakida@gmail.com
スポーツにおけるイップスのアセスメント・症状・対処
柄木田健太
1
2
・田中美吏
3
・稲田愛子
3
4
Assessment, Symptoms, and Treatment of Yips in Sports
Kenta Karakida
1
,
2
, Yoshifumi Tanaka
3
and Aiko Inada
3
,
4
Abstract
Many athletes suffer from yips, which is defined as a psycho-neuromuscular movement disorder,
which affects sports in which fine motor precision skills (Clarke et al.,
2015
, p.
156
). Yips is one reason
for significant performance decrements in sports. Several case studies, surveys, and experimental
studies have been conducted to clarify this phenomenon. These studies can increase the understanding
of yips and help athletes, coaches, and practitioners improve this problem during practice and
competitions. Therefore, we reviewed
62
articles published from
1981
to
2021
reporting assessment,
symptoms, and treatments of yips in sports. As a result, we identified four types of assessments: (
1
)
self-assessments, (
2
) observations by others, (
3
) kinematic and physiological assessments using motion
capture and electromyography, and (
4
) responding to assessment scales. The studies were also
categorized in terms of symptoms, as psychological (e.g., anxiety, attention, and personality) and
physio-behavioral (e.g., kinematics, muscular activity, and brain activity). The studies on yips treatment
could be classified into imagery techniques, pharmacotherapy, and other psychological skills.
Furthermore, specific studies indicated post-traumatic psychological growth through yips experiences.
The implications of these studies for future research on yips are discussed based on this review.
Key words: movement disorder, performance decrement, dystonia, choking, psychological growth
1
Department of Sport and Exercise Sciences, Osaka
University of Health and Sport Sciences
1
-
1
Asashirodai, Kumatori-cho, Sennan-gun, Osaka,
590
-
0496
2
Gender Equality Promotion Office, Mukogawa Womens
University
6
-
46
Ikebirakicho, Nishinomiya, Hyogo,
663
-
8558
3
Department of Health and Sports Sciences, Mukogawa
Womens University
6
-
46
Ikebirakicho, Nishinomiya, Hyogo,
663
-
8558
4
Graduate School of Humanities and Social Sciences,
Hiroshima University
1
-
3
-
2
Kagamiyama, Higashi-Hiroshima City, Hiroshima,
739
-
8511
Corresponding author: Kenta Karakida
スポーツ心理学研究 advpub_
2021
-
2103
早期公開展望論文(Review
J-STAGE Advance Published Date:November
13
,
2021
スポーツ心理学研究 advpub_
2021
-
2103
.はじめに
スポーツにおいて「イップス(yips」と呼
ばれる現象がある.Smith et al.
2000
)はイッ
プスを「ゴルフのパッティングストロークの実
行に影響を与える心理・神経・筋障害」と定義
し,ゴルフに端を発した現象であった.ゴルフ
以外にも多岐にわたるスポーツで発現し,アー
チェリーClarke et al.,
2020
,クリケット
Bawden and Maynard,
2001
; Bennett et al.,
2016
; Roberts et al.,
2013
,ダーツ(Bennett et
al.,
2016
; Roberts et al.,
2013
,卓球(Floch et
al.,
2010
,ペタンクLagueny et al.,
2002
),
長距離走(Leveille and Clement,
2008
)などの
研究報告がある.邦論文では,野球(松田ほ
か,
2018
; 向,
2016
;内田
2008
)やソフト
ボール(稲田・田中,
2019
;稲田ほか,
2020
といったベースボール型競技を対象とした研究
が多い.これらの研究では,様々な競技に適用
可能なイップスの定義としてClarke et al.
2015
の「スポーツパフォーマンス中の精緻
な運動スキルの実行に影響を与える心理・神
経・筋障害」が主に用いられている.
イップスを経験した選手の割合に関する調査
が様々な種目を対象に実施されている.選手の
自己報告ではゴルフで
22
.
4
~
54
.
0
%(Clarke et
al.,
2020
; Klämpfl et al.,
2015
; McDaniel et al.,
1989
; Smith et al.,
2000
,アーチェリーで
43
.
5
Clarke et al.,
2020
)の割合でイップスの経験
が報告されている.さらに大学女子ソフトボー
ル選手では
7
.
0
%(稲田・田中,
2019
,高校・
大学野球選手では
4
.
0
%(内田,
2008
)が調査
時点でイップスを有していた.大学野球選手に
おいても
47
.
1
%がイップスを発症しているとの
報告も存在し,ゴルフ選手(Clarke et al.,
2020
;
Smith et al.,
2000
)と同程度の高い割合でイッ
プスが発症している可能性が示唆されている
(青山ほか,
2021
.イップスが長期間に渡り,
さらに症状が重度になるとアスリートの競技離
脱や引退に繋がるが(Smith et al.,
2000
,イッ
プスから生じる心身の問題に対する有効な解決
策は未だ見出されていない(土屋,
2018
).
イップスの症状について,ゴルフ選手を対象
とした質的研究の結果から「非流暢な動作
jerk「硬直(freezing「震えtremor)」
などの神経学的要因によって発現するタイプⅠ
(ジストニア)と,「ネガティブ感情」「自信喪
失」「神経質」などの心理学的要因によって発
現するタイプⅡ(チョーキング)の
2
つのタイ
プが存在することが報告されている(Smith et
al.,
2003
.さらには,タイプⅠとⅡの両方の
症状を含むタイプⅢも存在するという報告もあ
る(Clarke et al.,
2015
.これらの提案を基
に,スポーツ選手のイップスを
2
つのタイプに
分類し,各タイプの特徴を検討する研究が増え
ており,諸論文内でイップスの症状,評価法
(アセスメント),対処方略などについて検討さ
れている.
イップスへの有効な介入方法を検討する上で
は,その特徴を広範囲に把握し,症状,アセス
メント,対処に関する知見を集約・整理するこ
とでイップスについて詳細な理解を図れる.
Clarke et al.
2015
)はスポーツのイップスに
関する英文献
25
編をまとめたシステマティッ
ク・レビューを作成し,イップスの症状を心理
的症状,生理学的症状,運動学的症状の
3
つの
視点から整理している.しかし,このレビュー
で使用されている論文は
2015
年以前に出版され
た英文献に限られており,これら以外の英文献
や邦文献も加えてレビューすることでイップス
のアセスメント・症状・対処をより包括的に理
解できると考えた.以上より本論文では,これ
までのスポーツのイップスに関する研究をレ
ビューし,イップスのアセスメント法,イップ
スにより呈される症状,イップスに有効な対処
方略を整理することを目的とする.さらに,こ
れらの整理を基に,アセスメント・症状・対処
に関するこれまでの研究の問題点を指摘し,ス
ポーツのイップスに関する今後の研究の展望を
提案する.
.文献の収集方法
英文献に関しては「PubMed,邦文献に関
しては「CiNii」の検索エンジンを利用した.
柄木田ほか:イップスのアセスメント・症状・対処
両検索エンジンで「スポーツ(sports「イッ
プス(yips」のキーワードを含む文献を検索
したところ,PubMedでは
23
編,CiNiiでは
13
が抽出された.ここからオランダ語で執筆され
ていた
1
編,著者不明の
1
編,抄録のみであっ
3
編,週刊誌の記事
1
編の計
6
編を除いた
30
編(英文献
20
編,邦文献
10
編)を扱うこととし
た.さらに,既に発表されているイップスの
総説論文Clarke et al.,
2015
; Dhungana and
Jankovic.,
2013
;栗林ほか
2019
; Mine et al.,
2018
; Smith et al.,
2003
;田中,
2019
)で引用さ
れている上記の
30
編以外の
22
編(英文献
16
編,
邦文献
6
編)を含めた.これら以外にも,著者
らによって収集した
10
編(英文献
5
編,邦文献
5
編)も使用した.以上,
1981
年から
2021
年ま
でに発表されてきた全
62
編(英文献
41
編,邦文
21
編)を本展望論文内で取り扱う文献とし
た.なお,表
1
には本論文で解説する
62
文献を
英文献と邦文献別に著者名順にリスト化し,以
下の本論で解説している章とともに一覧にし
た.
.イップスのアセスメント
対象者がイップスであるかどうかの評価方法
1
スポーツにおけるイップスに関する
62
文献
英文献の著者名
(
出版年
)
英文献の著者名
(
出版年
)
邦文献の著者名
(
出版年
)
Adler et al. (2005)Marquardt (2009)青山ほか (2021)
Adler et al. (2011)Ⅲ・Ⅴ・Ⅸ Matsuda et al. (2018)稲田・田中 (2019)
Adler et al. (2018)Mayer et al. (1999)Ⅴ・Ⅷ 稲田ほか (2020)Ⅰ・Ⅲ・Ⅸ
Asahi et al. (2017)McDaniel et al. (1989)石原・内田 (2017)
Bawden and Maynard (2001)Ⅰ・Ⅳ Milne and Morrison (2015)岩田・長谷川 (1981)
Bell et al. (2009)Ⅵ・Ⅶ Mine et al. (2018)Ⅱ・Ⅷ 賀川 (2013)
Bell et al. (2011)Nakane et al. (2018)賀川・深江 (2013)
Bell and Thompson (2007)Philippen et al. (2014)栗林ほか (2019)Ⅱ・Ⅲ
Bennett et al. (2016)Ⅰ・Ⅳ Philippen and Lobinger (2012)松田ほか (2018)Ⅰ・Ⅶ
Clarke et al. (2015)Ⅰ・Ⅱ Ringman (2007) (2015)
Clarke et al. (2020)Ⅰ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅸ Roberts et al. (2013)Ⅰ・Ⅳ (2016)Ⅰ・Ⅳ・Ⅵ
Conidi (2014)Rosted (2005)向・古賀 (2017)
Dhungana and Jankovic (2013)Rotheram et al. (2012)向・古賀 (2019)
Floch et al. (2010)Sachdev (1992)永井 (2014)
Ioannou et al. (2018)Shukla et al. (2018)中込 (1987)
Klämpfl et al. (2013a)Ⅳ・Ⅴ Sitburana and Ondo (2008)西野ほか (2006)
Klämpfl et al. (2013b)Smith et al. (2003)Ⅰ・Ⅱ 田中ほか (2005)
Klämpfl et al. (2015)Ⅰ・Ⅲ・Ⅴ・Ⅸ Smith et al. (2000)Ⅰ・Ⅴ 田中 (2019)
Lagueny et al. (2002)Ⅰ・Ⅴ・Ⅷ Stinear et al. (2006)土屋 (2018)
Lee et al. (2020)Watanabe et al. (2021)内田 (2008)Ⅰ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅸ
Leveille and Clement (2008)Ⅰ・Ⅵ 安田・坂中 (2018)
本論文内で解説している章番号を表す (. はじめに,Ⅱ. 文献の収集方法,Ⅲ. イップスのアセスメント,Ⅳ.イップスの心理的症状,Ⅴ . イップスの身体・
生理的症状,Ⅵ
.
イップスの対処方略,Ⅶ
.
イップス経験に伴う心理的成長,Ⅷ
.
今後の展望,Ⅸ
.
おわりに
)
スポーツ心理学研究 advpub_
2021
-
2103
境で生じるけいれん,ふるえ,麻痺,ひきつ
け,硬直,ねじれ」のタイプⅠの症状,もしく
は「パフォーマンスに対する著しい恐怖または
不安」や「パフォーマンス状況の回避」のタイ
プⅡの症状を有することをイップスと判別する
基準として提案している.さらに,これらの症
状が発症する原因は,一般的な試合前の不安で
はなく特定の動作に対する不安であり,それが
競技生活に対する問題になっており,症状が医
薬品等の他の物質,他の医学的疾患や精神疾
患,怪我や調整不足が要因ではないことも基準
としている.加えて,診断マーカーとしてEMG
を活用することも推奨している.
実際にこれらのアセスメント法を用いてイッ
プスの実態が調査されている.例えば,
1306
のゴルファーへのオンライン調査を行った
Klämpfl et al.
2015
)の研究では,自己報告に
おいて
292
名(
22
.
4
%)がゴルフパッティング
においてイップスの影響を受けていると回答し
た.その後,上記の
292
名中
207
名を対象に,利
き腕のみで
10
試行のパッティングを実施させ,
その時の動作映像の他者観察において明らかに
非流暢な動作(jerk)がみられた参加者に対し
てイップスを有すると判別した.このような他
者評価による運動学的な判別基準では,
207
31
名にイップスを有する者が絞られた.さら
Clarke et al.
2020
)も同様のアセスメント
を行っており,ゴルフパッティングのイップス
について,自己報告では
36
%がイップスである
と回答したが,上述と同様の運動学的な判別基
準を用いたところ,イップスの症状を呈した参
加者は自己報告した者の中の
16
.
7
%であった.
また,
50
名のゴルファーを対象とした研究で
も,自己報告によるパッティングのイップスは
25
名存在したにも関わらず,パッティングの実
打において手首や前腕の不随意運動が観察され
た参加者は
17
名であり,残りの
8
名には運動学
的なイップスの症状はみられなかった.一方
で,自己報告においてイップスを報告しなかっ
た者の中にも不随意運動がみられた参加者が
2
名存在したことから,イップスを認識しない参
加者にもイップスの症状が発現する可能性が示
は,①質問紙などへの回答による自己評価,②
症状の発現の行動観察による他者評価,③キネ
マティクスや筋電図(EMG: electromyography
などの運動学的・生理学的指標による評価,④
複数の質問項目への回答による評価尺度を用い
た評価がある.以上の
4
つの方法からイップス
の有無を評価し,さらにはその度合いやタイプ
(タイプⅠ and/or タイプⅡ)の判別が実施され
てきた.①∼③の詳細に関しては栗林ほか
2019
)が,イップスの有無を判別している
18
文献のそれぞれにおける評価方法を総説してお
り,詳細はその文献を参照されたい.
④に関しては,複数の種目を対象に尺度の開
発が試みられている段階であり,野球の投・送
球イップスに関しては,「予期不安」「身体像の
歪曲」「自然体の欠如」「周囲からの助言」「他
者肯定」の
5
因子
21
項目から構成される尺度が
作成されている(内田,
2008
.さらに,ソフ
トボールの投・送球イップスに関しては,発現
のきっかけ,発現する状況,症状の
3
側面から
イップスのリスク評価を行える尺度が作成され
ている(稲田ほか,
2020
.そして,きっかけ
については「怪我」「ミス」「恐怖心」の
3
子,状況については「重要度が高い場面」「普
段の場面」「特定の相手・間・距離の場面」の
3
因子,症状については「震え」「イメージや
動作の不全」「羨望」「予期不安」の
4
因子に
よってイップスのリスクの客観的評価が行える
ことが提案されている.
①や②のみによるアセスメントでは,選手や
指導者などの評価者の主観による判別のため,
曖昧さや不正確さが付き纏う.さらに①はタイ
プⅡの症状をアセスメントしやすく,②はタイ
プⅠの症状をアセスメントしやすいことも指摘
されている(栗林ほか,
2019
.そこで①や②
とともに,③や④の方法も交えて,より客観的
なアセスメント法の確立を図っているのが現段
階と言える.その一例として栗林ほか(
2019
は,「以前は簡単にできていた競技中のある特
定の動作ができなくなってしまい,実施するス
キルの著しいコントロール欠如が認められる」
の中核症状を有し,さらには「特定の動作や環
柄木田ほか:イップスのアセスメント・症状・対処
2
.注意
運動学習の初期段階のように動作に多くの注
意を向けることは再投資(reinvestment)と呼
ばれ,イップスが発現する動作に注意を向けや
すくなることが報告されている.例えば,クリ
ケット,ゴルフ,ダーツにおけるタイプⅠの症
状を有する選手を対象とした調査では,イップ
スの選手は非イップスの選手に比べ,再投資尺
度の得点が高かった(Bennett et al.,
2016
). さ
らに,テニスにおいてもイップスの選手は非
イップスの選手よりも再投資尺度の得点が高
く,イップス症状の持続期間が
3
ヵ月以上の選
手は
3
ヵ月未満の選手よりも得点が高かった
(安田・坂中,
2018
.一方で,ゴルフパッティ
ングを用いた実験では,イップスの選手におけ
る再投資の得点とパッティング成績との間に相
関がみられず,イップスに伴う注意の再投資か
らパフォーマンスの低下を予測できないという
主張もある(Klämpfl et al.,
2013
a).
その他にも,動作困難感を抱えている選手が
動作困難感を抱えていない選手よりも注意・
対人スタイル診断テストの「注意焦点の縮小
RED: Reduced attention」の得点が高いこと
も示されている(向・古賀,
2017
.さらに,
イップスの症状が長期間に渡っている野球選手
では,「外部刺激によるオーバーロード(OET:
External overload」や「内部刺激によるオー
バーロード(OIT: Internal overload」の得点
が高く,注意の特性がイップスの長期化の一因
になる可能性を示唆している(向・古賀
2019
.以上の研究結果から,注意の再投資,
注意焦点の切り替えの困難さ,注意容量への過
負荷が注意に関する主な心理的症状と考えられ
る.しかし,それらの注意に伴いパフォーマン
スの低下に繋がることについてはまだ実証され
ていない.
3
.性格特性
クリケットや野球選手のイップスを対象とし
た質的研究では,「失敗したくない」や「失敗
することに恐怖を感じる」などの完全主義傾向
を示す記述が抽出されているBawden and
唆されている(Adler et al.,
2011
).
.イップスの心理的症状
1
.不安
ゴルフやクリケット,野球を対象とした質的
研究では,イップスの選手から特性不安や競技
不安などに関する記述が抽出されている
Bawden and Maynard,
2001
;岩田・長谷川
1981
; 向,
2016
;中込
1987
Philippen and
Lobinger,
2012
.不安に関する量的研究におい
ても,周囲からイップスであると判断され,自
らもイップスであると自覚している高校・大学
の野球選手は特性不安が高かった(内田,
2008
.また,イップス経験を有する中学野球
選手がイップス未経験の選手より競技特性不安
尺度の下位尺度である競技回避傾向と自信喪失
で高い得点を示した(賀川・深江
2013
). さ
らに,自己意識の下位尺度である社会的不安に
おいてイップス選手の得点が高かった(Clarke
et al.,
2020
.このように,不安とイップスの
関連について報告した研究は多く存在してお
り,より重度のイップスのゴルフ選手は軽度の
イップスの選手よりも不安の主観的評価が高
かった(Sachdev,
1992
.一方で,イップスの
ゴルフ選手と非イップスの選手との間に特性不
安に差がない結果や(Sachdev,
1992
,競技不
安尺度の得点に差がない結果(Ioannou et al.,
2018
)も見受けられる.また,種目間での差を
調べている研究もあり,ゴルフとアーチェリー
のイップス選手において不安感受性では得点の
差はみられなかった(Clarke et al.,
2020
).
以上より,不安を測定する様々な尺度を用い
て,イップスの選手は非イップスの選手と比較
して不安が大きいことを報告する研究と差がな
いことを報告する研究がある.しかしながら,
上述した症例報告においては,イップスの選手
が自身のパフォーマンスなどに対して強い不安
を感じていることが述べられている.非イップ
スの選手が必ずしも不安が低いわけではないこ
とから,競技種目に関わらず自らのプレーや競
技に対する不安の高さはイップスの心理的症状
1
つであることが示唆される.
スポーツ心理学研究 advpub_
2021
-
2103
用いられている.先ず反芻については,クリ
ケット,ゴルフ,ダーツにおいてタイプⅠの
イップスの選手は非イップスの選手よりも反芻
の得点が高かった(Bennett et al.,
2016
.加え
て,イップス症状が
3
ヵ月以上持続しているテ
ニス選手は
3
ヵ月未満の選手よりもネガティブ
な反芻が多かった(安田・坂中,
2018
).
次に,出来事中に経験した苦痛のレベルを評
価する出来事インパクト尺度(IES: Impact of
event scale)においては,クリケット,ゴル
フ,ダーツにおけるタイプⅠのイップス選手は
非イップス選手より得点が高かった(Bennett
et al.,
2016
.イップスのゴルフ選手を対象と
した研究では,強迫観念,抑うつ,タイプA
動の各尺度の得点において非イップスのゴルフ
選手と比較して差がみられなかった.そして,
ネガティブな評価に対する恐怖を測定する尺度
BFNE-: Brief fear of negative evaluation-Ⅱ)
においても,イップスのゴルフ選手やアーチェ
リー選手と非イップスの選手の間に差はみられ
なかった(Clarke et al.,
2020
.以上の結果か
ら,反芻や出来事インパクトについてイップス
の選手は高い得点を示していることから,イッ
プスについて反芻することや,大きな苦痛を感
じることも心理的症状の
1
つと考えられる.
.イップスの身体・生理的症状
1
.筋活動とキネマティクス
テニスのストローク(Mayer et al.,
1999
),
ペタンクの投球(Laguency et al.,
2002
,ゴル
フのスイング(田中ほか,
2005
)のイップスに
関する症例報告内で,EMGや動作映像の観察
に基づいた筋活動やキネマティクスの症状が報
告されている.テニスのストロークの症例で
は,ラケットやボールのないシミュレーション
動作においては症状が現れないが,ラケットと
ボールを使用するときには肩関節の外転動作が
止まり,頭の後方にラケットを挙げられないこ
とが観察されている.さらに,ボールがあると
きはないときに比べて手関節屈筋,手関節伸
筋,広背筋,三角筋の筋放電量が大きく,放電
時間も長かった(Mayer et al.,
1999
.ペタン
Maynard,
2001
;向,
2016
.そして,完全主義
尺度を用いた量的研究において,ゴルフ,ダー
ツ,クリケットにおけるイップスの選手は非
イップスの選手よりも完全主義の得点が高かっ
た(Bennett et al.,
2016
; Roberts et al.,
2013
).
さらに,ゴルフとアーチェリーにおけるイップ
スの選手は非イップスの選手よりも完全主義
の下位因子である「不完全さの非呈示non-
display of imperfection」や「自己宣伝の完全
性(perfectionistic self-promotion」において
高い得点を示した(Clarke et al.,
2020
.一方
,イップスと非イップスのゴルフ選手間
Ioannou et al.,
2018
)やテニス選手間(安田・
坂中,
2018
)で完全主義尺度の得点に差がみら
れない報告もある.
完全主義以外の性格特性も検討されており,
イップス経験を有する野球選手に関する性格傾
向として,イップス未経験の選手よりも野球に
対する積極性が高く,チーム内での外向性が高
かった(西野ほか,
2006
.その他にも,主要
5
因子性格検査において,ゴルフとアーチェ
リーにおけるイップスの選手は非イップスの選
手よりも誠実性の因子で得点が低かった
Clarke et al.,
2020
.しかし,アイゼンク性格
検査では,イップスと非イップスのゴルフ選手
間の性格特性の違いはみられていない(Sachdev,
1992
.イップスの選手は他人の動機や感情に
機敏で執着性が高いことを報告する質的研究も
存在する(向,
2015
).
これらの研究では研究間での結果に多少の違
いはあるものの,完全主義傾向,積極性・外向
性の高さ,誠実性の低さなどがイップスに関連
することを示唆している.完全主義傾向に関し
ては
6
編の報告があるものの,その他の性格特
性に関しては報告数が限られており,十分な知
見の蓄積までには至っていない.
4
.その他
不安,注意,性格特性以外の尺度を使用した
調査も行われている.反芻,出来事インパク
ト,ネガティブな評価に対する恐怖思考,強迫
観念,抑うつ自己評価,タイプA行動の尺度が
柄木田ほか:イップスのアセスメント・症状・対処
クの投球の症例においても素手での投球シミュ
レーション時には症状が現れないが,ボールを
持ちターゲットに対して投球をするときには肩
関節の屈曲動作が硬直し,動作開始前において
も胸部,背部,上腕の筋活動が生じている
Laguency et al.,
2002
.ゴルフのスイングの
症例では,安静立位で患側である左上肢を挙上
する時に上腕二頭筋と上腕三頭筋の共収縮が生
じている(田中ほか,
2005
.これらの症例報
告から筋活動やキネマティクスの変化がスポー
ツにおけるイップスの主な症状と考えられる.
筋活動とキネマティクスに関しては,ゴルフ
パッティングを課題に用いた
9
編の文献におい
てパッティングイップスの選手と非イップスの
選手の個人間比較や(Adler et al.,
2005
; Adler
et al.,
2011
; Adler et al.,
2018
; Klämpfl et al.,
2013
b; Klämpfl et al.,
2015
; Marquardt,
2009
;
Smith et al.,
2000
; Stinear et al.,
2006
,イップ
スが生じた試行と生じなかった試行の個人内比
較(Philippen et al.,
2014
)による実験検証が行
われ,以下のような知見が得られている.まず
筋活動については,イップスの選手は非イップ
スの選手に比べて,両手でのパッティング動作
中に手関節屈筋と手関節伸筋の共収縮が生じる
割合が大きかった(Adler et al.,
2005
; Adler et
al.,
2011
; Adler et al.,
2018
.また,動作開始前
の左右の手関節伸筋の筋放電量が大きく,動作
中においては左の手関節伸筋や上腕二頭筋の筋
放電量が大きかった(Stinear et al.,
2006
). さ
らに,平坦,上り,下りの
3
傾斜条件において
両手でパッティングを実施させた研究では,
3
傾斜条件の全てで左上腕二頭筋,左上腕三頭
筋,左手関節屈筋,左手関節伸筋の筋放電量が
大きかったが,上り傾斜条件の右手関節屈筋に
関しては筋放電量が小さかった(Smith et al.,
2000
.この研究ではグリップ把持力の測定も
行われており,パッティング動作前や動作中の
グリップ把持力が大きかった.以上の実験結果
から,筋活動に関しては動作開始前および動作
中に前腕や上腕の筋放電や共収縮が大きく,そ
れらに伴い力の出力も大きくなると言える.
次にキネマティクスについては,イップスの
選手は非イップスの選手に比べて,両手での
パッティングにおけるバックスイング期のパ
ターの運動時間が長く,ダウンスイング期のパ
ターの運動時間の変動性が大きいことが示され
ている.このようなキネマティクスの変化を生
じさせる理由として,フィードバック制御の依
存度が高まることが指摘されている(Marquardt,
2009
.さらにパターでボールを打撃する時点
(インパクト)におけるパター運動についても
複数の報告があり,パターの角度の変動性
Marquardt,
2009
,回転運動の角速度(Adler
et al.,
2018
; Marquardt,
2009
)とその変動性
Klämpfl et al.,
2015
; Marquardt,
2009
,角変位
の変動性(Adler et al.,
2018
,移動軌跡の変動
性(Marquardt,
2009
)が大きかった.また,
パッティング動作中のどの局面かまでは記述さ
れていないが,手首の回内・回外運動の角変位
Adler et al.,
2011
,左右の手首の加速度とそ
れらの変動性(Adler et al.,
2018
,右手首の角
速度の変動性(Adler et al.,
2018
)も大きかっ
た.これらの知見から,打ち出されるボールの
方向性を決定づけるインパクト時のパターや腕
の運動の変動性が大きくなることがゴルフパッ
ティングのイップスの主な症状と考えられる.
さらに,片手(利き手)のみでパッティング
を行うときのキネマティスを調べた研究もあ
り,イップスの症状が生じた試行では生じな
かった試行に比べてパターや手首の最大回転速
度が大きく,複数の試行に渡ってのインパクト
時のパターの開閉数や手首の回内・回外動作数
も多かった(Philippen et al.,
2014
.さらに,
片手(利き手)のみでパッティングを行う条件
では両手で行う条件に比べて,イップスを有す
る選手はインパクト時のパター運動の速度と加
速度の変動性,およびインパクト時のパターの
角度の変動性が大きかったKlämpfl et al.,
2013
b.したがって,利き手の制御不全もイッ
プスの症状が生じる一因と考えられるが,上述
の左の上腕や前腕の筋放電量の大きさ(Smith
et al.,
2000
; Stinear et al.,
2006
)は利き手であ
る右手の制御不全を補償するために生じている
可能性が指摘されているPhilippen et al.,
2014
).
スポーツ心理学研究 advpub_
2021
-
2103
以上の研究結果を踏まえ,筋活動やキネマ
ティクスの側面からゴルフパッティングのイッ
プスのアセスメントを行う際には,筋放電量,
共収縮,運動の変動性の指標を活用することの
有効性が提案されているAdler et al.,
2005
;
Adler et al.,
2011
; Adler et al.,
2018
.特に重度
のイップス症状を有する者において共収縮が大
きく(Adler et al.,
2018
,動作の変動性も大き
い(Adler et al.,
2018
; Marquardt,
2009
)ため,
これらの指標は重症度の高いタイプⅠのイップ
スのアセスメントに有効と考えられている.こ
れらの研究では,軽度のイップス症状において
は利き手のみでパッティングをする際にはこれ
らの症状が出現しにくいことも示されており,
利き手のみでのパッティングをする際の筋活動
や動作の変動性もイップスの重症度を評価する
方法となる.
しかしながら,心理的なプレッシャー下での
ゴルフパッティングにおいて左手関節伸筋の筋
放電量が大きくなり(Cooke et al.,
2010
), ダ
ウンスイング期のパター運動の速度や加速度の
変動性も大きくなる(田中・関矢
2006
). し
たがって,イップスに伴う筋放電量,共収縮,
運動の変動性の大きさが心理的要因によって生
じる可能性も考えられ,これらの指標をタイプ
Ⅰのイップスのアセスメントとして活用できる
とは一概には言い切れず,注意が必要である.
プレッシャー下でのゴルフパッティングにおけ
る運動の変動性の増加には運動に対する再投資
が関与し(Tanaka and Sekiya,
2010
; Tanaka and
Sekiya,
2011
), Klämpfl et al.
2013
a)はゴルフ
パッティングのイップスにおける運動の変動性
に対する再投資の関与を検討している.動作に
対する再投資をしながらパッティングをする条
件と外的注意を向けさせながらパッティングを
する条件でイップスと非イップスの選手間にお
けるインパクト時のパターの回転運動速度の変
動性の比較を行っているが差はみられなかっ
た.この研究のようにタイプⅡの観点も考慮し
ながら,筋放電量,共収縮,運動の変動性が大
きくなる原因を明らかにする研究の今後の進展
が予想される.
2
.パフォーマンス結果
筋活動やキネマティスを調べたこれらの研究
では,パッティングの成功率や,外れたボール
の停止位置からカップまでの誤差などのパ
フォーマンス結果の分析も行われている.そし
て,イップスの選手は非イップスの選手に比べ
て成功率が低く(Klämpfl et al.,
2015
; Smith et
al.,
2000
,絶対誤差が大きかった(Smith et
al.,
2000
.一方で,イップスの選手と非イッ
プスの選手の間にこれらの指標について差がな
い報告もあり(Klämpfl et al.,
2013
b; Stinear et
al.,
2006
,スポーツの実場面では生じるエ
ラーが実験場面では緩和される生態学的妥当性
の問題が関与すると考えられる.
3
.脳活動と心拍
ゴルフスイングのイップスの症例では
fMRIを用いた脳活動の分析が行われており,
一側上肢の前方
45
度挙上保持課題時には安静時
に比べて健側(右腕)を支配する左の一次運動
野,補足運動野,運動前野の活動は大きいが,
患側(左腕)を支配する右の一次運動野,補足
運動野,運動前野の活動には差がなかった.さ
らに,頭頂葉から後頭葉にかけても右半球は左
半球に比べて活動が小さい傾向にあったことか
ら,患側を支配する皮質の興奮性抑制が関与す
る可能性が指摘されている(田中ほか
2005
.一方で,ゴルフパッティング動作の開
6
秒前から終了
2
秒後にかけて正中神経に
2
.
2
Hzで電気刺激を与え,脳波上から体性感覚
誘発電位(SEP: Somatosensory evoked potential
を記録した症例では,パッティングイップスの
選手は非イップスの選手に比べて正中前頭部
Fz)や正中中心部(Cz)から導出したN
30
分が大きく,大脳皮質感覚野由来の興奮性が大
きかった(Adler et al.,
2005
).
これらの症例報告
2
編に加えて,イップスの
選手
10
名(送球イップスの野球選手
9
名とサー
ビスイップスのバドミントン選手
1
名)が患側
の親指と示指で最大力発揮の
15
%の把持運動を
行う際の左右運動野の脳波について,非イップ
スの選手
10
名と比較する研究も行われている
柄木田ほか:イップスのアセスメント・症状・対処
Watanabe et al.,
2021
.そして,イップス選手
は非イップス選手に比べて,把持運動開始後の
α
周波数帯域の事象関連脱同期(ERD: Event-
related desynchronization)が大きく,把持運動
終了後の
α
β
周波数帯域の事象関連同期(ERS:
Event-related synchronization)も大きかった.
ERDの大きさは,運動開始後の感覚運動皮質
領域と皮質脊髄路の興奮性の増大,ならびに皮
質内抑制回路の脱抑制に起因し,前述の動作に
対する再投資も関与することが考察されてい
る.ERSの大きさは,運動終了後に運動野の活
動抑制が生じにくいことが理由に挙げられてお
り,課題中や課題後のこのような脳活動がイッ
プスに寄与することを示唆している.
ゴルフパッティング中の心電図を記録し,心
拍数や心拍変動の低周波数帯域と高周波数帯域
の比(LF/HF ratio)を分析した研究では,イッ
プスの選手は非イップスの選手に比べて心拍数
が高い報告Smith et al.,
2000
)と低い報告
Klämpfl et al.,
2013
b)がある.心拍数の低さ
については,イップスの症状の緩和のために
ベータ遮断薬を投与している者が多かったこと
が理由として考察されている(Klämpfl et al.,
2013
b.以上より,スポーツのイップスに関わ
る脳活動を調べた研究は
3
編,心拍を調べた研
究も
2
編に留まっている.そして,脳活動と心
拍数ともに増大と抑制の両方が報告されてお
り,研究間で一貫した結果は得られていない.
4
.その他の動作制御不全
イップスの症状は課題特異的に表出し,その
課題以外においては表出しにくいが,主観的に
筋緊張や動作不全を知覚するタイプⅠのゴルフ
パッティングのイップスの症状を有する者は,
イップスの症状を知覚しない者に比べてスレー
ター・ハメル(Slater-Hammel,
1960
)のタイミ
ング一致課題のエラーが大きく,動作抑制課題
においてもEMGの発生率が高くなり,動作の
抑制機能が低下していた(Stinear et al.,
2006
).
上記の親指と示指での把持運動課題における脳
活動に関する報告(Watanabe et al.,
2021
)も含
め,課題特異的な症状の表出のみならず,それ
以外の運動課題においても様々な制御不全が生
じる可能性が示唆される.
イップスの対処方略
1イメージ
イップスへの対処方略として最も多く検証さ
れているのがイメージ技法である.特に解決
志向イメージ(SFGI: Solution-focused guided
imagery)の有効性について
3
編報告されてい
る.SFGIとは,ブリーフセラピーを援用した
ものであり,個人に合わせて作成される
15
の質
問を文章化したガイドを用いて鮮明なイメージ
を行うイメージ技法の
1
つである(Sklare et
al.,
2003
). SFGI
40
歳のゴルフ選手に介入し
た事例では,SFGIの介入後にすぐにイップス
の改善がみられ,
4
フィート(約
1
.
2
メートル)
のパッティングの成功率が改善し,イップスの
深刻度の自己評価もセッションごとに改善され
た.しかしながら,
60
日後のフォローアップに
おいて若干の再発がみられたため,SFGIを継
続して実施することを推奨している(Bell and
Thompson,
2007
.同様に,SFGI
3
名のゴル
フ選手に実施した事例では,全参加者が介入後
にイップスの改善を示し,
3
週間後のフォロー
アップにおいても症状が再発しなかった(Bell
et al.,
2009
.さらに,異なる介入者がSFGI
実施したBell et al.
2011
)においても介入後
にイップスが改善し,SFGIの利用可能性を明
らかにしている.
イップスの兆候を示す野球選手にメンタルト
レーニングを行った賀川(
2013
)の報告では,
イメージトレーニング,自律訓練法,プラス思
考トレーニング,動画フィードバック,ゲーム
プラン表の作成の介入を実施した.トレーニン
グを受けた選手の主観として,イメージトレー
ニング,動画フィードバック,ゲームプラン表
の作成に「とても効果があった」と回答してい
る.また,第三者の評価においても介入前より
もイップス兆候の減少が認められたことから,
イメージトレーニングを含むメンタルトレーニ
ングの介入がイップスの改善に繋がる可能性が
ある.上述のSFGIも含めてイメージトレーニ
スポーツ心理学研究 advpub_
2021
-
2103
病の治療にも用いられている脳深部刺激療法
DBS: Deep brain stimulation)をイップスの症
状を呈するゴルフ選手に実施した事例がある
Shukla et al.,
2018
). DBSは脳深部に電極を埋
め込み,ターゲットとなる神経核に電気刺激を
行う手法であり,この研究では大脳基底核の淡
蒼球内節の活動を調節した.この治療を行った
結果,イップスの症状が術後
3
ヵ月で
50
%,術
6
ヵ月で
85
%の改善がみられた.卓球のスト
ロークのイップスを有する選手に視床腹吻側核
凝固術(Vo-thalamotomy)を実施し,視床腹吻
側核の活動を低下させた事例もある(Asahi et
al.,
2017
.この手術後にイップスの症状が改
善し,試合参加に復帰するまでに至っている.
以上の事例報告では,筋活動を抑制させる薬
物や,脳内のグルタミン酸の放出を抑制させる
もしくはドーパミンを作動させる薬物が用いら
れている.これらに関しては,症状の改善の有
無,改善が得られるまでの期間について様々な
結果が報告されている.また,ドーピングの禁
止物質に抵触する薬物の場合には使用できない
ため,スポーツ選手のイップスを薬物療法で対
処することには困難が伴う.手術によって脳部
位の活動を局所的に調節させた事例では,イッ
プスの症状の改善に至ったことが報告されてい
る.
3
.その他
Lee et al.
2020
)のレビューでは,アスリー
トに対する鍼治療の様々な効果がまとめられて
いる.その中で,
1
例のみではあるものの,手
技鍼と電気鍼の併用でイップスの症状が改善し
たことが報告されている.さらにRosted
2005
)の報告においても
65
歳のゴルフ選手へ
の鍼治療で症状の改善がみられ,
24
ヵ月後も再
発はなかった.鍼治療を用いたイップスの治療
は報告数が少ないものの,いずれも症状の改善
が報告されていることから,イップスの症状に
有効な対処法となる可能性がある.
ゴルフ選手のイップスに対してプレパフォーマ
ンスルーティン(PPR: Pre-performance routine
による介入を行った事例では,介入前から介入
ングがイップスの対処方略として有用であるこ
とが示唆される.
2
.薬物療法
中長距離ランナーの足の指の不随意屈曲に対
する投薬治療の効果を報告した事例では,筋弛
緩の効果があるボツリヌストキシン注射を
8
月間継続し,初期には歩行の改善がみられたも
ののその後は改善しなかった.また,足の収縮
を引き起こしたもう
1
つの事例では,脳内の不
足したドーパミンを補う効果があるシネメット
sinemet)を半錠ずつ
1
2
回投与したが効果
がなく,
6
ヵ月間に後脛骨筋に対するボツリヌ
ストキシン注射を
3
回実施した後には軽度の改
善がみられた.しかしながら両事例とも投薬に
よるイップス症状の改善は難しかったことが述
べられている(Leveille and Clement,
2008
).
イップスを有する射撃選手の前腕にボツリヌス
トキシン注射を実施した症例もあるが,この
報告ではその効果までは記述されていない
Sitburana and Ondo,
2008
.その他にも,野球
のイップスの選手を対象に行った事例では,当
該選手に練習負荷の大幅な軽減とともに麻酔薬
として用いられるリドカインをイップスが生じ
る箇所へ継続的に投与することで
1
年半後に症
状が改善した(Nakane et al.,
2018
).
アルツハイマー病を患ったゴルフ選手にアル
ツハイマー病やパーキンソン病の治療薬として
用いられているメマンチンを投与した事例で
は,投薬によってイップス症状の大幅な改善が
みられた(Ringman,
2007
.また,永井(
2014
はこれらの薬物療法に関して
β
遮断薬や抗不安
薬および抗うつ薬が有効である可能性を示唆し
ているが,
β
遮断薬はアンチ・ドーピング機構
の特定の競技において禁止される物質が含まれ
るため,今後の薬物療法については規定に沿っ
た形で行うべきであると提言している.また,
ボツリヌス毒素の投与が治療の選択肢として挙
げられているが,永井(
2014
)の提言と同様に
アスリートへの適用は禁止物質のリストを確認
する必要がある(Conidi,
2014
).
手術が必要な方法ではあるが,パーキンソン
柄木田ほか:イップスのアセスメント・症状・対処
た(Matsuda et al.,
2018
.これらの研究か
ら,イップスは競技離脱に繋がり得る深刻な問
題であるが,アスリートの心理的成熟をもたら
す機会となる可能性も秘めている.
今後の展望
最後に,上述を基に考えられるスポーツの
イップスに関する研究の諸問題を
3
点指摘し,
今後の研究への提案を行いたい.
1
点目は,
イップスのアセスメントについて,種目別での
アセスメント法を構築することに重きが置かれ
ている点である.上述の各研究で対象としてい
るスポーツ種目は,ゴルフ,クリケット,野
球,ソフトボールが中心であり,イップスの客
観的な評価尺度や評価方法がそれらの種目別に
作成されつつある.種目特性を考慮したイップ
スのアセスメント法を検討することはその種目
のイップス現象を理解するうえで重要である.
一方で,その種目に限定的なアセスメント法と
なるため,その種目以外の運動課題における
イップスのアセスメントが困難になるという問
題を有する.前述の通り,イップスは様々な種
目で発現することが報告されており,それらの
種目特性も多様であるため,種目別の評価尺度
や評価方法が構築されると多くの尺度が乱立す
ることに繋がる.また,アセスメント法の開発
が進んでいる種目と進んでいない種目間で,
イップスのアセスメントの精度に差が生じると
いう問題も出てくる.
イップスの類別について石原・内田(
2017
によれば,野球やソフトボールなどの投・送球
などが該当する「リリース型イップス」,バ
レーボールのサーブなどボールに一瞬触れる動
作が該当する「タッチ型イップス」,ゴルフや
卓球のように道具を用いるスポーツが該当する
「グリップ型イップス」の
3
つに分類がなされ
ている.このような分類を用いて類別での評価
尺度に集約することで尺度の乱立を防ぎ,似た
動作特性を持つ異なるスポーツ間でも同一の尺
度を使用してイップスの評価を行うことが可能
になる.今後の研究では,スポーツの類別に
イップスの評価を行うための尺度や評価方法の
後にかけてPPRの遵守率が向上し,否定的な思
考がPPRの集中へ変化した.しかし,介入後の
パフォーマンスは変化せず,
3
ヵ月後のフォ
ローアップ期に改善した(Milne and Morrison,
2015
感情開放テクニックEmotional freedom
techniques)を用いたタイプⅠ症状への介入も
実施されている.感情開放テクニックとはトラ
ウマに基づく様々な問題に対して用いられる療
法で,身体のツボを決められた順番でタッピン
グすることでネガティブな感情や思考などを解
放する手法である.この手法を用いてゴルフ選
手のイップスの症状が改善し,
6
ヵ月後も効果
が持続した(Rotheram et al.,
2012
.また,向
2016
)のインタビューによる調査研究では,
イップスの克服には周囲の理解と繰り返し成功
体験を重ねること,さらには時間を置くことな
どが挙げられている.
.イップス経験に伴う心理的成長
ここまで,イップスのアセスメント,症状,
対処についての研究を概観してきた.イップス
の改善の困難さや競技力に与える直接的な影響
の大きさから,現在はそのメカニズムや対処に
関する研究が多くを占めているBell et al.,
2009
.そのような中,イップスの経験に伴う
心理的成長をテーマとした研究も存在する.例
えば松田ほか(
2018
)による質的研究では,
イップスを経験することで否定的な心理的変化
を示すことが明らかにされている.しかしその
後,経験に伴った心理的成長として「競技に対
する意識の肯定的変化」「自己認知の変化」「精
神的なゆとり」「他者に対する見方・考え方の
変化」「競技に対する理解の深まり」の
5
つの
カテゴリーが抽出されている.イップスを経験
した選手は心理的󰓥藤やもがきを乗り越えて心
理的成長を得ている可能性があると結論付けら
れている.さらに,イップスの経験とアスリー
トとしての心理的成熟度を検討した研究では,
「スポーツ活動の明確な意味」や「自己理解・
自立達成志向」の因子において,非イップス群
よりイップス克服群の得点が高く,イップスの
克服に伴ってアスリートの心理的成熟がみられ
スポーツ心理学研究 advpub_
2021
-
2103
め,スポーツのイップスに関する今後の研究の
1
つの方向性を提案する.本論文では,イップ
スのアセスメント,症状,対処の
3
つのテーマ
別にこれまでの研究で得られている知見の整理
を行った.今後も上述の問題点を踏まえながら
各テーマの研究が多く実施されることが望まれ
るが,各テーマ間での横断的な知見の集約やそ
の活用も必要である.アセスメントと症状の
テーマ間では,前述したようにゴルフ選手の
パッティングのイップスのアセスメントに対し
てキネマティクスとEMGの症状に関する知見
が活用されている(Adler et al.,
2011
; Clarke et
al.,
2020
; Klämpfl et al.,
2015
.さらに,ソフト
ボールの投・送球イップスのリスク評価尺度に
動作や力量調節などの身体的症状が含まれるよ
うに(稲田ほか,
2020
,アセスメントと症状
のテーマ間での横断的研究が展開され始めてい
る.
しかしながら,アセスメントと対処,ならび
に症状と対処のテーマ間では横断的研究の着想
には至っておらず,このことが対処に関する仮
説検証の報告が皆無である一因になっていると
考えられる.アセスメントと対処のテーマ間で
は,野球やソフトボールの投・送球イップスに
ついて,その評価尺度(稲田ほか
2020
;
田,
2008
)の諸因子の得点を減らすことを狙っ
た対処方略の効果を検証する研究を行うことが
1
つの具体案として挙げられる.
症状と対処のテーマ間については,イップス
発症の
1
つの要因と考えられているプレッ
シャーについてテーマ間での横断的研究が豊富
に行われており参考となる.例えば,注意
e.g., Land and Tenenbaum,
2012
; Lawrence et
al.,
2012
,覚醒水準(Balk et al.,
2013
,視線
行動(e.g., Moore et al.,
2013
; Vine and Wilson.,
2011
)などの心理・生理・身体的症状の緩和を
狙ったアプローチによって,プレッシャーによ
るパフォーマンス低下への対処が可能であるこ
とが実証されている.イップスによるパフォー
マンスの低下に関しても,これらに倣い,心
理・生理・身体的症状を緩和するための様々な
対処方略を発案し,その効果の仮説検証を行う
開発を行うことが求められる.
2
点目は,筋活動,キネマティクス,心拍な
どの身体・生理的症状を調べた研究では,テニ
ス(Mayer et al.,
1999
)やペタンク(Lagueny
et al.,
2002
)の症例報告はあるものの,仮説検
証型の実験研究については殆どがゴルフを対象
としている.つまり,他の種目のスキルにおけ
るイップスの身体・生理的症状を調べた実験研
究が僅少という問題である.野球,ソフトボー
ルなどのイップスに悩む選手が多い種目におけ
るスキルを中心に,そのスキルにおいてイップ
スが生じる機序を筋活動,キネマティクス,心
拍,脳活動などの身体・生理的側面から明らか
にする実験検証が多く行われていくことが望ま
れる.多様な種目の身体・生理的症状を調べる
実験検証が行われ,多くの知見が蓄積されるこ
とで,上述のアセスメント法の今後の研究に対
して提案したように,イップスの症状について
も種目別のみならずスポーツの類別での理解に
繋がる.
3
点目は,イップスのアセスメントや症状に
関する研究数に比べて,イップスの予防や対処
を調べる研究数が少ないことが指摘できる.こ
の点についてはMine et al.
2018
)も,イップ
スの対処に関する
12
文献をレビューし,イメー
ジを活用した対処がタイプⅠのイップスに対し
ては限定的に効果があるとまとめている.一方
で,薬物療法やPPRなどのその他の対処方略に
ついては有効と言えるエビデンスが不足してい
ると指摘している.また,イメージによる対処
の効果も限定的であったことから,イップスの
対処に有効であると言える方法には十分なエビ
デンスがないとも述べている.本論文では
イップスに対してイメージ技法,薬物療法,鍼
治療などの対処の効果を報告する文献を整理し
たが,これらの全文献が事例報告であった.今
後は事例報告に留まらず,様々な対処方略の効
果の仮説検証にまで踏み込んだ研究が行われる
ことを期待する.
おわりに
最後に,以上の問題点や展望をさらにまと
柄木田ほか:イップスのアセスメント・症状・対処
Personality predictors of yips and choking susceptibility.
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ResearchGate has not been able to resolve any citations for this publication.
Article
Full-text available
The yips, an involuntary movement impediment that affects performance in skilled athletes, is commonly described as a form of task-specific focal dystonia or as a disorder lying on a continuum with focal dystonia at one end (neurological) and chocking under pressure at the other (psychological). However, its etiology has been remained to be elucidated. In order to understand sensorimotor cortical activity associated with this movement disorder, we examined electroencephalographic oscillations over the bilateral sensorimotor areas during a precision force task in athletes with yips, and compared them with age-, sex-, and years of experience-matched controls. Alpha-band event-related desynchronization (ERD), that occurs during movement execution, was greater in athlete with yips as compared to controls when increasing force output to match a target but not when adjusting the force at around the target. Event-related synchronization that occurs after movement termination was also greater in athletes with yips. There was no significant difference in task performance between groups. The enhanced ERD is suggested to be attributed to dysfunction of inhibitory system or increased allocation of attention to the body part used during the task. Our findings indicate that sensorimotor cortical oscillatory response is increased during movement initiation in athletes with yips.
Article
Full-text available
Acupuncture is one of the representative complementary and alternative medicine treatments used for various types of pain. This systematic review summarized and analyzed clinical case reports/series utilizing acupuncture for treating sports injuries in athletes, thereby providing the basis for further research to establish clinical evidence on acupuncture treatment in sports medicine. A comprehensive literature search was conducted in Embase including MEDLINE up to 21 August 2019 without language and publication date restrictions. Due to the heterogeneity of each study, explanatory and descriptive analyses were performed. As a result, in each case report/series, it was confirmed that acupuncture was applied for treating various types of sports injuries experienced by athletes. Acupuncture can help relieve short-term pain and recover from dysfunction and has been used as a useful, noninvasive, and conservative modality for managing sports injuries such as lateral meniscus rupture, femoral acetabular impingement, ganglion cysts, and sports hernia. In addition, acupuncture has been suggested as a treatment worth trying for diseases such as yips and delayed onset muscle soreness. The included cases showed some potential of acupuncture in the treatment of various types of sports injuries, beyond pain control in musculoskeletal disorders. However, considering that this review was based on case reports/series, a limited understanding of the clinical value of acupuncture in athletes is required. In the future, more specific research questions and hypotheses should be addressed to generate evidence based on experimental research.
Article
Full-text available
The ability to perform under heightened levels of pressures is one of the largest discriminators of those who achieve success in competition and those who do not. There are several phenomena associated with breakdowns in an athlete's performance in a high-pressure environment, collectively known as paradoxical performances. The two most prevalent and researched forms of paradoxical performance are the yips and choking. The aim of the current study is to investigate a range of psychological traits (fear of negative evaluation, individual differences, anxiety sensitivity, self-consciousness, perfectionistic self-presentation, and perfectionism) and their ability to predict susceptibility to choking and the yips in an experienced athlete sample. 155 athletes (Golfers n = 86; Archers n = 69) completed six trait measures and a self-report measure of yips or choking experience. The prevalence rate for choking and yips in both archers and golfers was 67.7 and 39.4%, respectively. A 2 × 2 × 2 MANOVA and discriminant function analysis revealed that a combination of 11 variables correctly classified 71% of choking and non-choking participants. Furthermore, analysis confirmed that a combination of four variables correctly classified 69% of the yips and non-yips affected participants. In this first study to examine both paradoxical performances simultaneously, these findings revealed that for the yips, all predictors stemmed from social sources (i.e., perfectionistic self-presentation), whereas choking was associated with anxiety and perfectionism, as well as social traits. This important distinction identified here should now be tested to understand the role of these traits as development or consequential factors of choking and the yips.
Article
Full-text available
Yips is generally described as a spectrum of psychoneuromuscular movement disorders during specific sporting tasks. To date, no single systematic review has been produced with regard to effective management for this difficult condition. The purpose of this systematic review was to collect and examine primary research examining the effectiveness of management for yips. Seven electronic databases were searched. Primary studies investigating any interventions for yips symptoms were included. The McMaster Critical Review Form was used to evaluate the methodological quality of included studies. Twelve papers with low levels of evidence were included. Overall study quality was low. We found limited evidence to support the positive effects of motor imagery for golfers with type I yips. There was virtually no formal evidence to support or negate medications, botulinum toxin injections, pre-performance routines and other interventions for yips. Therefore, no definitive conclusion can be made with regard to the effectiveness of any management for yips. Future studies with better methodological rigor are required to inform athletes, coaches and clinician.
Article
The present study aimed to explore the psychological growth achieved by athletes during coping with the yips. We interviewed six university baseball players (mean age=21.0 years, SD=1.15 years) who experienced the yips using the episode interview method and then gathered narrative data related to the experience of the yips or the psychological growth accompanying the same. As a result of analysis of the data, it was roughly divided into two types of narratives: “narratives of negative psychological changes accompanying the experience of the yips” and “narratives of psychological growth accompanying the experience of the yips.” Further analysis of the latter yielded the following five category groups on psychological growth: “positive changes in consciousness of competition,” “changes in self-recognition,” “mental margin,” “changes in the views of a way of others,” and “deepening of understanding of competition.” These results suggest that the experience of the yips leads to negative as well as positive psychological changes in the athlete.
Article
Purpose: Similar to musician's focal dystonia a task-specific phenomenon, known as yips has also been reported in professional athletes. Yips is usually described as focal dystonia, or choking under pressure, or as lying on a continuum between both. Based on the common occupational conditions across musicians and athletes, the present exploratory study aimed to investigate whether musicians diagnosed with focal dystonia and golfers affected with yips, can be similarly sub-classified based on their psychological profiles. Methods: Twenty healthy musicians, 20 musicians with focal dystonia, 20 healthy golfers and 20 yips-affected golfers went through a test battery including three psycho-diagnostic standardized questionnaires (the Competitive Trait Anxiety Inventory, the Frost's Multidimensional Perfectionism Scale, and the Stress Coping Questionnaire), measuring trait cognitive and somatic anxiety, perfectionistic tendencies and different stress coping strategies. Results: Findings based on a clustering procedure suggest that similar to musician's dystonia, yips-affected golfers can be classified into those with and those without specific elevated perfectionistic, stress and anxiety traits. The roles of these different psychological profiles as possible triggering factors of the yips are discussed and compared to those of musician's dystonia. Conclusion: The current study suggests that the yips phenomenon might cover a broader range of different subtypes of movement disturbances than those already suggested in the literature. Finally a theoretical model, which explains the role of the different triggering factors in the discrimination of the different subtypes, is suggested. A better classification and understanding of the different subtypes of yips could lead to a more accurate diagnosis and to the design of more individualized treatment intervention.
Article
Purpose: To determine whether quantitative methods could separate golfers with a possible dystonic cause of the "yips" from those that appear to be non-dystonic. Methods: 27 golfers completed 10 two-handed and 10 right hand only putts. Surface EMG assessed forearm muscle co-contraction and motion detectors monitored wrist and putter movements. Based on videotape review, golfers were grouped into those with yips of dystonic etiology, those with the yips non-dystonic, and those with no yips. Results: On video review of two-handed putting, five golfers had yips that appeared to be dystonic, nine had yips that did not appear to be dystonic, and 13 had no yips. During two-handed putting co-occurrence of a yipped putt and wrist flexor/extensor and/or pronator/supinator co-contraction was significantly more frequent in those with dystonic yips. The dystonic group had no increase in the number of yipped putts or yips with co-contraction when putting right hand only, while the non-dystonic group had significantly more yipped putts and more yipped putts with co-contraction with right hand only. Conclusions: Quantitative methods were identified that appear to identify golfers with a dystonic etiology for the yips. It is not just the frequency of yips nor just specific motion patterns alone, rather it is also a combination of yips with co-occurring co-contraction when putting with two hands, and then right hand only, that distinguished this possible etiology. Despite being a small study, identifying a dystonic pattern, even in a non-pressure indoor setting, may aid in assessment and possible monitoring of treatment.