Content uploaded by Satoshi Ebihara
Author content
All content in this area was uploaded by Satoshi Ebihara on Nov 05, 2020
Content may be subject to copyright.
- 1 -
地域医療連携推進法人における
会計報告単位のあり方
海老原 諭
*
1. はじめに
2017 年4月,地域医療連携推進法人制度がスタートした。同月中に,愛知,兵庫,広島
および鹿児島の 4県で地域医療連携推進法人の申請が行われ,事業を開始している。
地域医療連携推 進法人制度の目的は,同一地域に属する病院,診療所または介護老人保健
施設(以下,「病院等」という)の機能の分担と業務の連携を推進することにある
(
1
)
。地域
医療連携推進法人の具体的な業務としては,医療従事者の資質の向上を図るための研修を行
ったり,病院等の運営に必要な医薬品,医療機器等の物資を供給したりすることが想定され
ている。また,地域医療連携推進法人は,病院等の運営に必要な資金を貸し付けたり,地域
医療連携推進法人自体が病院等を開設したりすることも可能である(「医療法」第 70 条第 2
項,第 70 条の 7)。
このように,地 域医療連携推進法人制度は,これに参加する複数の医療施設を一体となっ
て運営しようとするものであるといってもよい。実際,地域医療連携推進法人に参加すると,
予算の決定または変更,借入金の借り入れ,重要な資産の処分,事業計画の決定または変更,
定款または寄付行為の変更,合併または分割,および,厚生労働省に定める事由による解散
という 7つの重要な事項の決定に,地域医療連携推進法人の意見を求めなければならなくな
る(「医療法」第 70 条の 3第1項第 17 号)。端的にいえば,地域医療連携推進法人に参加す
ると,自らの病院等の意思決定に制限がかかるのである。
企業会計では, このような複数の事業体が一体となって業務を遂行している実態が認めら
れる場合 には,その会計 において連結財 務諸表の作成が 求められる(「連結財務 諸表 に関す
る会計基準」第 7項)。しかし,地域医療連携推進法人において遵守することが求められる
「地域医療連携推進法人会計基準」は,地域医療連携推進法人のみを会計報告単位とするも
のであって,意思決定に制限がかかる参加法人をその対象から除外している。
厚生労働省では,この 10 年来,医療のために投下されたお金が,医療法人とは別に設け
られた関連法人(通常,メディカル・サービス法人または MS 法 人とよばれる)を経由して,
医療法人の経営者に不適切な形で環流していることが問題視されてきた
(
2
)
。地域医療連携推
進法人に対して連結財務諸表の作成が求められないと,地域医療連携推進法人間での資金融
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
*国際医療福祉大学医療福祉学部医療福祉・マネジメント学科講師 e-mail: ebiharas@iuhw.ac.jp
- 2 -
通という,新たな「見えざるお金の流れ」が生じてしまいかねない。
かかる問題意識 から,本論文では,地域医療連携推進法人における会計情報の捕捉対象を
地域医療連携推進法人単体から,これを構成する参加法人にまで拡張するための論拠を見出
すことを目的とする。
2. 地域医療連携推進法人における統治機構
まず,第 2節では,2015 年改正「医療法」のもとで新設された地域医療連携推進法人制
度の特徴について整理する。会計報告単位の検討にあたっては,その統治機構,とりわけ意
思決定プロセスについて明らかにしておく必要があるため,ここでは地域医療連携推進放任
における統治機構について,2015 年改正「医療法」の規定を整理する。
(1) 地域医療連携推進法人の社員と機関
地域医療 連携推進法 人は ,「 医療 法」上,地 域における病院 等に係る業務の連携 を推 進す
るための 方針(以下,「医療連携 推進方針」 とい う)を定め ,かかる業務の遂行 を目 的とす
る一般 社団法人と定義 される(「医療法」第 70 条)。
地域医療連携推進法人は社団法人であるから,まずは,法人を構成する社員が必要である。
「医療法」では,地域医療連携推進法人の社員となれる者について,次のように定めている
(「医療法」第 70 条第 1項,「医療法施行規則」第 39 条の 2)。
① 医療連携推進区域において,病院等を開設する法人
② 医療連携推 進地域において,介護事業その他の地域包括ケアシステムの構築に
関する事業に係る施設または事業所を開設し,または管理する法人
③ 医療連携推進区域において,病院等を開設する個人
④ 医療連携推 進区域において,介護事業その他の地域包括ケアシステムの構築に
関する事業に係る施設または事業所を開設し,または管理する個人
⑤ 医療連携推 進区域において,大学その他の医療従事者の要請に関係する機関を
開設する者
⑥ 医療連携推 進区域において,医療に関する業務を行う地方公共団体その他当該
一般社団法人が実施する医療連携推進業務に関する業務を行う者
このように,地 域医療連携推進法人の社員となれる者は,非常に多岐にわたっている。病
院等を開設する法人には,医療法人だけでなく,社会福祉法人,公益法人,NPO 法人,学
校法人,国立大学法人,独立行政法人,地域独立行政法人などが含まれる(厚生労働省医政
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 3 -
局長発通知(2017 年2月17 日付医政発 0217 第16 号)「地域医療連携推進法人制度につい
て」第 2,1,(1),①)。これに加えて,地方公共団体や個人も地域医療連携推進法人の社
員になることができる。
地域医療連携推 進法人における最高意思決定機関は,これらの社員全員から構成される社
員総会である(「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」第 35 条)。地域医療連携推
進法人では,すべての社員に対して,等しく 1個ずつの議決権が与えられることが原則であ
る(「医療法」第 70 条の 3第1項第 10 号)。地方公共団体に与えられるのも,法人に与えら
れるのも,また,個人に与えられるのも,すべて 1個の議決権である。
(2) 営利性の排除を意図した機関設定
この社員 に対する議 決権 付与方法は,「会社 法」における株 主に対する議決権の 付与 方法
と決定的に異なる部分である。これは,株式会社による医業への参入を排除しようとする動
きと連動したものといえる。
株式会社による医業への参入を認めるべきというプランは,もともと,2001 年に公表さ
れた政府 主導の経済財政 諮問会議の基本 方針に端を発し ている。「医療法」では ,原 則とし
て,営利を 目的とする事業 者が医療施設を 開設することに 制限を掛けてい る(「医療 法」第 7
条第 6項)。基本方 針では,このような「入口の規制」を廃し,むしろ事業者が提供するサ
ービス内容について規制の対象とすべきとの見解が示されていた
(
3
)
。
しかし,この基 本方針の考え方は,厚生労働省に設置された「これからの医業経営の在り
方に関する検討会」において却下された。これは,株式会社に対して「積極的に参入を認め
るべきとの論拠(エビデンス)は論証・確認するに至らず,病院経営に株式会社参入を認め
るべきでないという意見がほとんどであった
(
4
)
」ためであるという。
同様のやりとりは,その直後にも行われている。2004 年に政府主導の規制改革・民間開
放推進会議が株式会社の医業経営参入を認めることを提唱するも,厚生労働省に設置された
「医業経営の非営利性等に関する検討会」においてこれを拒否している
(
5
)
。
この流れを受け て,地域医療連携推進法人制度でも,株式会社を社員とすることを認めて
いない (「医療法」第 70 条の 3第1項第 12 号,「医療法施 行規則」第 39 条の 2)。地域 医療
連携推進法人に係る検討を行うために厚生労働省に設置された「医療法人の事業展開等に関
する検討会」では,この点について,地域医療連携推進法人の元となる提案を行った日本経
済再生総合事務局の担当官が,営利法人を社員とすることを想定していないため地域医療連
携推進法人が営利法人に支配されることはない旨の説明を行っている
(
6
)
。
社員それぞれに 1個の議決権を与えるという仕組みもこのような議論のなかから生まれた
ものであ る。上述した「 医業経営の非営 利性等に関する 検討会」の報告 書では,「社 団医療
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 4 -
法人への拠出額に応じた議決権割合を社員に付与することは,拠出額の多寡によって社団医
療法人の経営を左右し,『営利を目的としない』という考えを矛盾することとなる
(
7
)
」とし
たうえで,お金の話(資金拠出)の話と意思表示(議決権)の話を切り分けることの必要性
が述べられている。これが地域医療連携推進法人における議決権付与方法のあり方について
の議論にも援用されたのである
(
8
)
。
(3) 地域医療連携推進法人の諮問機関
地域医療連携推 進法人には,社員総会のほかに,地域医療連携推進評議会という諮問機関
が設けられている。
地域医療連携推 進評議会は,医療または介護を受ける立場にある者,診療に関する学識経
験者の団体その他の関係団体,学識経験を有する者その他の関係者をもって構成され,地域
医療連携推進法人の業務の遂行状況について評価を行い,必要に応じて意見を述べるための
機関と して設計されて いる(「医療法」第 70 条の 3第1項第 16 号ロ)。ま た,厚生 労働省は,
地域医療連携推進評議会に対して,この他にも,地域医療連携推進法人の業務の遂行に関す
る重要な方針の決定などにも関与することを求めている(厚生労働省医政局医療経営支援課
事務連絡「地域医療連携推進法人制度について(Q&A)」2017 年4月20 日)。
「医療法」上, 地域医療連携推進法人は,地域医療連携推進評議会の意見を尊重しなけれ
ばならないとされていることから(「医療法」第 70 条の 13 第2項),地域医療連携推進法人
の業務遂行に係る方針を,社員総会の意思だけですべて決定してしまうことは認められない
と解される。このように,地域医療連携推進評議会が地域医療連携推進法人の活動に与える
影響力は無視できないほどに大きい。
このような強い 影響力のある組織が設けられているのは,地域の人々の意思を地域医療連
携推進法人の運営に反映させる狙いがあるためである。この狙いを実現するため,地域医療
連携推進評議会は,医療または介護を受け得る立場にある者,診療に関する学識経験者の団
体その他の関係団体,学識経験を有する者その他の関係者から構成されなければならないこ
ととされている(「医療法」第 70 条の 3第1項第 16 号イ)。
(4) 小括
以上の議論をまとめると,地域医療連携推進法人の統治機構には 2つの特徴があるといえ
る。ひとつは,営利性の排除である。社員総会では,すべての社員にそれぞれ 1個 の議決権
が与えられ,各々の資本力が地域医療連携推進法人の意思決定に影響を及ぼすことがないよ
うにしている。もうひとつは,地域住民の意思の反映である。地域医療連携推進法人の最高
意思決定機関は社員総会であるが,無制限に意思決定を行えるわけではない。地域の人々の
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 5 -
意思を代表する地域医療連携推進評議会の意見を尊重しなければならないからである。
3. 「地域医療連携推進法人会計基準」の意義とその問題点
地域医療連携推 進法人には,準拠すべき会計基準が定められている。それが「地域医療連
携推進法人会計基準」(平成 29 年3月21 日厚生労働省令第 19 号)である。しかし,「地域
医療連携推進法人会計基準」は,地域医療連携推進法人の事業に係る財産の状況を把握する
には十分 なものではない 。そこで,本節 では,「 地域医療連 携推進法人会計基準 」の 問題点
について検討する。
(1)「地域医療連携推進法人会計基準」の概要
地域医療 連携推進法 人は ,原則とし て,「地域医療連携推進法人会計基 準」に準拠して貸
借対照表および損益計算書を作成しなければならない(「地域医療連携推進法人会計基準」
第1条)。地域医療連携推進法人は一般社団法人として定義されるが,一般社団法人の会計
は,「その行う事業に応じて,一般に公正妥当と認めら れる会計の慣行」にしたがって行え
ばよく,準拠すべき会計基準が明示されているわけではない(「一般社団法人及び一般財団
法人に関する法律」第 119 条)。「地域医療連携推進法人会計基準」は,一般社団法人たる地
域医療連携推進法人の会計に関して,横の比較を可能にする画一的な処理を求めようとする
ものといえる。
地域医療連携推 進法人に対して適用される会計ルールは,医療法人に対して適用される会
計ルールをもとに設計されている。地域医療連携推進法人は医療法人ではないし,医療法人
以外の経済主体も社員として参画することができる。しかし,地域医療連携推進法人が医療
法人の事業展開を標榜する検討会において検討されてきたこと,また,地域医療連携推進法
人制度が病院等の開設者間での連携を推進することを目的としていることに鑑みれば,地域
医療連携推進法人に対して医療法人に対して適用される会計ルールが適用されることにも,
一定の合理性が認められる
(
9
)
。
2つの会計ルールの関係性は,具体的には,次の 2つの点に おいて確認でき る。まず,「地
域医療 連携推進法人会 計基準」は,その前年に公布された「 医療法人会計基 準」(平成 28 年4
月20 日厚生労働省令第 95 号)を簡略化したものとなっている(巻末資 料 1参照)。ま た,
対応する 各条文の文言も ほぼ同じである 。次に,「地域医療 連携推進法人会計基 準」 では,
地域医療連携推進法人に対して,貸借対照表および損益計算書のほかに,関係事業者(理事
長の配偶者がその代表者であることその他の当該医療法人またはその役員と厚生労働省令で
定める特殊の関係がある者)との取引の状況に関する報告書を注記として示すことが求めら
れている(「地域医療連携推進法人会計基準」第 17 条第 4号)。これは,医療法人に対して
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 6 -
適用さ れる「医療法」 の条文(「医療法」第 51 条第 1項)を,そのまま地域医療連携推進法
人にも準用したものである。
(2)「地域医療連携推進法人会計基準」の問題点
「地域医療連携推進法人会計基準」には,次の 2つの点で問題がある。
第1に,地域医療連携推進法人画素の活動を展開するためには,必ずしも地域医療連携推
進法人自体が財産を保有していることが求められない。地域医療連携推進法人自体の財産が
確立され ない場合,「地域医療連携推進法人会計基準」 は有名無実なものになってしまう。
そもそも地域医療連携推進法人は,一般社団法人として設立されるものであり(「医療法」
第70 条第 1項),地域医療連携推進法人は,設立の段階から,その基本財産を確保しておく
ことが求められない。2017 年4月中に設立された地域医療連携推進法人のうち,愛知県の
地域医療連携推進法人尾三会および広島県の地域医療連携推進法人はりま姫路総合医療セン
ター整備推進機構は,基本財産を調達するための基金制度を採用していない。はりま姫路総
合医療センター整備推進機構は 2017 年2月17 日 に設立されたが
(
10
)
,同年 3月31 日を決算
日とする第 1期決算では,財務諸表上のすべての項目について金額がゼロとなっている(巻
末資料 2および巻末資料 3参照)。
地域医療連携推 進法人に大きな財務的基盤が求められるのは,地域医療連携推進法人名義
で病院等を開設したり,社員に対して金銭の融資を行ったりという事業を行う場合にかぎら
れる。地域医療連携推進法人の社員が開設する病院等に必要な物資の共同購入を行う場合は,
その都度,地域医療連携推進法人自体が資金を保有していなくても,社員から必要な資金を
集めれば十分でである。実際,上述の 2つの地域医療連携推進法人では,活動に必要な経費
を,基金制度ではなく,社員から会費を集めることによって工面している
(
11
)
。
第2に,この地域医療連携推進法人の財務的基盤の弱さのために,関係事業者との取引の
状況に関する報告書に関する規定も機能しない。これは,関係事業者との取引を開示対象と
するかどうかが,次のように,取引規模を基準として判断されるためである(厚生労働省医
政局長発通知(2016 年4月20 日付医政発 0420 第7号)「医療法人 の計算に関する 事項につ
いて」 第 2,1,(2))。
① 事業収益または事業費用の額が 1000 万円以上であり,かつ地域医療連携推進
法人の当該会計年度における事業収益の総額または事業費用の総額の 10%以
上占める取引
② 事業外収益または事業外費用の額が 1000 万円以上であり,かつ地域医療連携
推進 法人の 当 該会計 年度に おける 事業外 収 益また は事業 外費用 の総額 の 10%
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 7 -
以上を占める取引
③ 特別利益または特別損失の額が 1000 万円以上である取引
④ 資産または 負債の総額が地域医療連携推進法人の当該会計年度の末日における
総資産の 1%以上を占め,かつ 1000 万円を超える残高になる取引
⑤ 資金貸借,有形固定資産および有価証券の売買その他の取引の総額が 1000 万
円以上であり, かつ地域医療連携推 進法人の当該会 計年度の末日に おける総資
産の 1%以上を占める取引
⑥ 事業の譲受または譲渡の場合,資産または負債の総額のいずれか大きい額が
1000 万円以上であり,地域医療連携推進法人の当該会計年度の末日における
総資産の 1%以上を占める取引
すなわち,関係 事業者との取引が報告書によって開示されるのは,地域医療連携推進法人
の事業収益または事業費用の規模が 1億円以上であるか(特別利益または特別損失を除く),
総資産 が 1億円以上である場合にかぎられる。地域医療連携推進法人自体が十分な財務的基
盤をもつ必要性がない以上,地域医療連携推進法人と関係事業者との取引が開示されること
は期待できない。
(3) 不適切なお金の流れを新たに生み出す危険性
これらの 問題がある ため に,「地域医療連携 推進法人会計基 準」では,地域医療 連携 推進
法人自体の財産の状況も,関係事業者との取引も明らかにすることができない。これは,2014
年来,医業経営の透明性を高めることを目的として展開されてきた会計ルール整備の流れに
逆行するものである。
2014 年来の会計ルールの整備は,いずれも医業経営者が,自らの運営する病院等を経由
して,本来は国民の医療サービスのために費やされるべきお金を私的に流用・蓄積してきた
との指摘を受けて行われてきた。あらゆる医療法人において利用されることを念頭に起草さ
れた「医療法人会計基準」(厚生労働省医政局長発通知(2014 年3月19 日医政発 0319 第7
号)),ならびに,相対的に規模の大きな医療法人を対象に公開財務諸表の作成方法および
様式を示した「医療法人会計基準」(平成 28 年4月20 日 厚生労働省令第 95 号)は,複数の
病院等を開設する医療法人内部の資金移動の影響を財務諸表から取り除こうとするものであ
るし,「関係事業者との取引の状況に関する報告書」の作成が求められるようになったのは,
医療法人と当該法人の関係者が法人外部に設立したメディカル・サービス法人等との取引を
可視化しようとするものであった
(
12
)
。
地域医療連携推 進法人について,その財産の状況および関連事業者との取引が明らかにさ
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 8 -
れないことは,このような情報開示の流れに逆行するブラックボックスを作ってしまいかね
ない。
(2)で述べたように,地域医療連携推進法人の運営が会費制によって行われる場合,地域
医療連携推進法人の活動のために使われたお金は,地域医療連携推進法人の社員となった法
人または個人の会計のなかに混在してしまう。
また,地域医療 連携推進法人を経由すれば関連事業者との取引の開示対象から除外できる
ということになれば,年々規制が強化されつつあるメディカル・サービス法人との取引を,
地域医療連携推進法人経由で行うことによって隠蔽してしまうことも可能になる。地域医療
連携推進法人が事実上の「医療法」の抜け道手段として使われてしまう可能性があることは,
すでに地域医療連携推進法人制度の施行前から指摘されている
(
13
)
。
(4) 小括
以上 の ように ,「地 域医療連携推進法人会 計基準 」は,「医療法 人会計 基準」 を模倣 して
作成されたものであるために,地域医療連携推進法人の活動実態に見合った会計基準になっ
ていない。地域医療連携推進法人単体の財務諸表では,地域医療連携推進法人の活動実態も,
また,関係事業者との取引の状況も可視化されない。これは単に地域医療連携推進法人の実
態把握の問題だけではなく,医業経営の透明化の流れに逆行する不適切な会計実務を生み出
しかね ない。
4. 地域医療連携推進法人の会計報告単位はどのように画定すべきか
このような問題 を避けるためには,会計報告の対象を,地域医療連携推進法人単体ではな
く,地域医療連携推進法人の活動実態に見合った範囲にまで拡張することが必要である。そ
こで,本節では,地域医療連携推進法人における会計報告単位の決め方について,連結財務
会計制度における連結範囲の画定基準を参考にしながら検討していく。
なお,地域医療 連携推進法人は,法人だけではなく,開業医のような個人も社員となるこ
とができ るが,本論文の 検討対象からは 除外する。これ は,個人の場合 ,「医療 法」 上の事
業報告書等届出制度の適用対象でなく,税務上の確定申告書類以外の計算書類を作成してい
ないことも少なくないためである。
(1) 地域医療連携推進法人における拘束関係
地域医療連携推 進法人の会計に,その社員たる法人の会計とを包摂するというと,企業会
計における連結会計のようなものをイメージされるかもしれない。しかし,企業会計におけ
る連結概念を地域医療連携推進法人の会計にそのままの形で準用することはできない。
その理由は,地 域医療連携推進法人と社員との間に,企業会計における親会社と子会社の
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 9 -
関係のような支配従属関係が存在しないからである
(
14
)
。地域医療連携推進法人は,その社員
たる法人に対して投資を行うことも,その意思決定機関(社員総会など)における議決権を
有することもない。むしろ,その逆に,地域医療連携推進法人の社員は,地域医療連携推進
法人の社員総会において議決権を有している。
しかし,地域医 療連携推進法人の社員は,地域医療連携推進法人の意思を自由に決定でき
るかといえばそうではない。地域医療連携推進法人は,その内部に設けられた地域医療連携
推進評議会の意見を尊重しなければならないとされているからである。すなわち,地域医療
連携推進法人と法人社員との関係は,支配従属関係というよりも,地域医療連携推進法人内
部に設けられた機関同士のヒエラルキーを背景とする拘束関係といった方が,その実態に照
らして妥当であろう(図1参照)。
(2) 非営利法人を対象とした会計ルールの準用
地域医療連携推 進法人の会計報告単位を検討するにあたって,企業会計における連結概念
を準用できないとしても,他に策がないわけではない。第 2節で 述べたように, 地域医療連
携推進法人は,営利性を排除することを意図した制度設計になっている。そこで,営利法人
たる企業に対して適用される会計ルールではなく,非営利法人を対象とする会計ルールを準
用することを考えてみたい。
非営利法人を対 象とする会計ルールを地域医療連携推進法人を対象とする会計ルールとし
て準用することは,医療法人会計に係る昨今の動向とも整合する。
2005 年には,会計情報の公開について,「『公益性の高い医療サービス』を担う医療法人
については,社会福祉施設を経営する社会福祉法人との整合性のある対応が必要
(
15
)
」との指
摘が行われている。地域医療連携推進法人は,医療法人間の連携を主たる目的とし,社員に
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
地域医療連携推進法人
親 会 社
地域医療連携推進評議会
出出出
資 資 資 意見
社員総会
子 子 子 社 社 社
会 会 会 員 員 員
社 社 社
(a) 株式会社の場合 (b) 地域医療連携推進法人の場合
図1株式会社の支配関係と地域医療連携推進法人の拘束関係との違い
- 10 -
は地域の代表者から構成される地域医療連携推進評議会の意見を尊重することが求められる
ことから,ここでいう「『公益性の高い医療サービス』を担う医療法人」に相当するものと
考えられる。また,地域医療連携推進法人は,社会福祉法人を社員として抱えることもでき
る。この ため,「 医療法」上に定 義される地 域医 療連携推進 法人であっても,社 会福 祉法人
を対処とする会計ルールを準用することにも一定の合理性が認められる。
2013 年からは,日本公認会計士協会が非営利組織に対して適用される会計ルールの相互
調整に向けた取り組みを開始している。日本公認会計士協会は,その基本的な問題意識とし
て,非営利組織に対して適用される会計ルールがその法人形態ごとに異なっており,横断的
な比較ができないことを指摘している
(
16
)
。2017 年度からは,地域医療連携推進法人に対し
ても,ま た一部の医療法 人に対しても, 公認会計士監査 が義務づけられ るようになる(「医
療法」 第 51 条第 5項)。会計ルールのあり方を検討するにあたって,会計情報の質保証を行
う主体としての日本公認会計士協会の動きも無視することはできない。
(3) 「独立行政法人会計基準」における連結会計の根拠
地域医療 連携推進法 人に 対して適用 され る会計ルー ルを検討するに あた って,「 独立 行政
法人会計基準」の考え方は参考になるかもしれない。独立行政法人は,地域医療連携推進法
人と同様に非営利の法人であるし,「独立行政法人会計基準」は,「地域医療連携推進法人
会計基準」のもととなった「医療法人会計基準」と同様に,企業を対象とする会計基準を組
織の特性に照らして修正したものになっているからである
(
17
)
。
「独立行政法人 会計基準」では,独立行政法人に対して,独立行政法人とその出資先の会
社等(関係法人)からなる集団の財政状態および運営状況を総合的に報告する連結財務諸表
の作成 を求めている(「独立行政法人会計基準」第 105)。独立行政法人と関係法人の間には,
企業会計にみられるような支配従属関係は必ずしも存在しない。それでもなお,連結財務諸
表の作成が求められるのである。
独立行政法人制 度はもともとその「業務や関連組織等が,資本関係,取引関係,人的関係
を通じて,国民のニーズとは無関係に自己増殖的に膨張することに対して厳しい歯止めをか
ける
(
18
)
」ことを目的とするものであった。支配従属関係が存在しないことをもって,連結財
務諸表が作成されないとすれば,その制度趣旨が毀損されてしまう可能性がある
(
19
)
。そこで,
「独立行政法人会計基準」では,「公的な主体としての説明責任」(「独立行政法人会計基準
注解」 注 82)を根拠として,連結財務諸表の作成を求めることにしたのである。
このように,「独立行政法人会計基準」において連結会計が求められている理由は,まず,
独立行政法人が国民のニーズとは無関係に膨張することを抑えるという基本方針があり,そ
の基本方針を実現する手段として,独立行政法人が政策目的で関係法人に行う資金供給の流
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 11 -
れを包括的に捉える仕組みが求められたというところにある。
「独立行政法人 会計基準」が企業会計の基準を基礎としつつも,かような目的のために連
結範囲の画定基準を修正したという点は,地域医療連携推進法人の会計範囲を検討するうえ
で十分に考慮に値するものといえる。
(4) 地域医療連携推進法人において求められる会計報告のあり方
それでは,地域 医療連携推進法人が行う会計報告はどのようなものであるべきなのだろう
か。この点について,地域医療連携推進法人について検討を行った「医療法人の事業展開等
に関する検討会」の報告書では,次のように言及されている
(
20
)
。
「・非営利新型法人(地域医療連携推進法人のこと
―
引用者)は,地域医療へ大き
な影響を及 ぼすことから,透明性を確保するため,公認会計士等による外部監査
の実施やホ ームページ等における財務諸表の公告,いわゆるメディカルサービス
法人を含む 関係当事者との関係の報告,事業報告書等を閲覧に供することを義務
づける。
・参加法人 を含む非営利新型法 人全体(地域医 療連携推進法人 のこと
―
引用者)
の財務諸表 を作成することについては,統一的な運営に資するというメリットを
踏まえ,会 計基準が異なる多様な法人が参加することに伴う技術的な課題を整理
しつつ検討する」
このように,報 告書では,地域医療連携推進法人に対する情報ニーズが,地域医療連携推
進法人の活動が地域医療ひいては地域住民に対して大きな影響力をもつことを背景とするも
のであると指摘されている。そうであるならば,その会計情報は,地域住民が地域医療連携
推進法人の活動内容とそれに伴う財産の動きを理解できるものでなければならない。地域医
療連携推進法人の法人社員には,自らの組織の運営上重要な事項について地域医療連携推進
評議会の意見を求め,その意見を尊重することが求められる。このために,法人社員の活動
も地域医療連携推進法人の活動の一環として捉えるのが筋であろう。
また,第 3節で検討したように,地域医療連携推進法人は基本財産の確保が任意であり,
財産規模が大きくならなければ,報告書に指摘されている「関係当事者との関係の報告」は
有名無実 なものになる。「医療法」の改定議論を通じて ,この十年来問題視されてきたメデ
ィカルサービス法人との取引に関する情報が隠蔽されることがあるならば,地域住民の理解
を得ることは到底無理であろう。
さらに,会計情 報を提供することによって地域住民の理解を得ようとするとするならば,
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 12 -
会計報告単位を法人社員を含むところまで拡張した財務諸表は,公開されることを前提とし
なければならない。
報告書では,法 人社員を含めた範囲で財務諸表を作成することに,地域医療連携推進法人
の「統一的な運営に資するというメリット」があると指摘されている。「病院会計準則」(厚
生労働省医政局長発通知(2004 年8月19 日付医政発第 0819001 号))および「医療法人会
計基準」(厚生労働省医政局長発通知(2014 年3月19 日付医政発 0319 第7号))がいずれ
も病院または医療法人の経営管理に資することを目的としたものであり,また,医療法人が
作成する財務諸表が都道府県において閲覧できるようになってからまだ 10 年しか経過して
いないことを考えれば,このような説明の仕方のほうが医療法人の関係者に対して説得力を
持つのかもしれない。
しかし,このよ うなメリットを前面に押し出すことは,経営管理目的での会計基準である
ことを口実に,会計情報の公開を遅らせる原因にもなりかねない。あくまでもこのような財
務諸表の作成は,会計情報の提供を通じて地域住民の理解を得るという情報開示の観点から
行わなければならない。
(5) 小括
地域医療連携推 進法人とその社員との間には,企業会計に見られるような支配従属関係は
存在しな い。しかし,「独立行政 法人会計」 にみ られるよう に,支配従属関係が 存在 しなく
ても,何らかの合理的な理由があれば会計単位を拡張する可能性は残されている。地域医療
連携推進法人の場合,それは地域住民に対する説明責任に相当する。基本財産の確保が任意
とされる地域医療連携推進法人単体の会計情報には,地域医療連携推進法人の活動実態がほ
とんど反映されない可能性があるからである。
5. おわりに
わが国の国民医療費は増加の一途をたどっている。厚生労働省の国民医療費統計に拠れば,
医療サービスの直接の受益者たる患者本人の自己負担割合は,このうち 11.7%にすぎない
(
21
)
。
増大する国民医療費の大部分は,国民全体から徴収される公費(38.8%) と保険料(48.7%)
に支えられている。このために,医療サービスの提供者は,その開設主体にかかわらず,須
くその活動資金の使途について,国民に対して説明責任を負っていると考えられる
(
22
)
。
地域医療連携推 進法人は,いわば事業者間の相互調整を行う器にすぎず,その実質的な活
動は,地域医療連携推進法人の社員が運営する病院等によって行われる。このために,少な
くとも,会計報告が行われる単位として社員法人を含めなければ,地域医療連携推進法人の
活動実態を捉えることも,地域住民に対する説明責任を果たすこともできないだろう。
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 13 -
最後に,本論文の限界について述べる。本論文のなかでもたびたび取り上げてきたように,
医療法人に対する会計ルールをめぐる昨今の動向は,医療法人がその「外部」の組織として
設立したメディカル・サービス法人との間で行う「不適切な取引」の存在を背景にすすめら
れてきた。地域医療連携推進法人の法人社員の財務状況を,地域医療連携推進法人の財務諸
表に反映させるとしても,そのベースとなる法人社員の財務状況に係るメディカル・サービ
ス法人との取引の結果が反映されていなければ,その大本にある問題意識にまでたどりつく
ことはできない。
しかし,種類の 異なるさまざまな非営利法人を社員として抱える地域医療連携推進法人に
おいて,これらの社員法人を会計範囲に含めることの理論的基礎を強固にできれば,それを
メディカル・サービス法人にまで拡張できる可能性があることは十分に期待できる。この点
については,今後の検討課題としたい。
注
(1) 「医療法の一部を改正する法律」(平成 27 年9月28 日法律第 74 号)提案理由(衆議院厚生労働
委員会,2015 年7月29 日)。
(2) 医業経営の非営利性等に関する検討会「医療法人制度改革の考え方~医療提供体制の担い手の中
心となる将来の医療法人の姿~」2005 年,5頁,医療法人の事業展開等に関する検討会「地域医
療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて」2015 年,II,1,(1)。
(3) 経済財政諮問会議「今後の経済財政運営および経済社会の構造に関する基本方針」2001 年,第 3
章,2,(4)。
(4) これからの医業経営の在り方に関する検討会「『これからの医業経営の在り方に関する検討会』
最終報告書~国民に信頼される,医療提供体制の担い手として効率的で透明な医業経営の確立に
向けて~」2003 年,II,(2)。
(5) 医業経営の非営利性等に関する検討会,前掲(注 2),5頁,医療法人の事業展開等に関する検討
会,前掲(注 2), II,1。
(6) 厚生労働省ウェブサイト「2013 年12 月4日 第 3回医療法人の事業展開等に関する検討会議事
録」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000035460.html)。ただし,株式会社は,地域医療連携推進法
人の社員になることはできないが,その活動資金を拠出することまでは禁止されていない。
(7) 医業経営の非営利性等に関する検討会,前掲(注 2),5頁,医療法人の事業展開等に関する検討
会,前掲(注 2), II,1,②。
(8) 厚生労働省ウェブサイト,前掲(注 6)。
(9) なお,取り扱いが類似しているのは会計基準だけでない。会計基準に準拠して作成された財務諸
表の届出および開示についても,「医療法」における医療法人向けの規定が準用される(「医療法」
第70 条の 14)。
(10) 地域医療連携推進法人制度では,地域医療連携の推進を目的として設立された一般社団法人を
地域医療連携推進法人として認定する仕組みになっている(「医療法」第 70 条第 1項)。このた
め,地域医療連携推進法人制度が施行された 2017 年4月2日以前は,一般社団法人としての会
計処理が行われている。
(11) 愛知県ウェブサイト「地域医療連携推進法人認定及び代表理事選定認可申請概要」
(http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/237758.pdf),兵庫県ウ ェブ サイト「地域医 療連携推進
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 14 -
法人はりま姫路総合医療センター整備推進機構 定款」(https://www.pref.hyogo.lg.jp/bk01/
harimahimeji_hp_houjin.html)。
(12) 医療法人の事業展開等に関する検討会,前掲(注 2),II,1,佐々木克典「メディカル・サービ
ス法人をめぐる法務と税務」清文社,2016 年,10-13 頁 。
(13) 松田紘一郎「早わかり医療法人制度改革・地域医療連携推進法人」中央経済社,2017 年,220-221
頁。
(14) 企業会計でも,自己の計算において議決権を所有していない企業が連結対象になることはあり
うる。しかし,この場合は,「自己と出資,人事,資金,技術,取引等において緊密な関係があ
ることにより自己の意思を同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一
の内容の議決権を行使すると認められる者が所有している議決権とを合わせて,他の企業の議決
権の過半数を占めている」ことに加え,当該企業と緊密な関係があることが認められる一定の事
実がなければ連結の対象となりえない(企業会計基準委員会「連結財務諸表に関する会計基準」
第7項(3))。
(15) 医業経営の非営利性等に関する検討会,前掲(注 2),16 頁。
(16) 日本公認会計士協会「非営利組織の会計枠組み構築に向けて」2013 年,10 頁。
(17) 独立行政法人会計基準研究会「独立行政法人会計基準の設定について」2000 年,3。
(18) 同上,4。
(19) 髙山昌茂「非営利法人会計と営利法人会計との相互関係―『非営利組織の財務報告の在り方に
関する論点整理』論点 9. 連結情報の開示についての考察―」非営利法人研究学会誌,第 18 巻,2016
年,14 頁。
(20) 医療法人の事業展開等に関する検討会,前掲(注 2),I,7。
(21) 厚生労働省保健統計室「平成 26 年度国民医療費」2016 年,第 6表国民医療費構成割合,財源
・年次別。
(22) この点について,医療法人には納税者に対する受託責任を充足するために,外部財務報告を拡
充させるべしとする見解もみられる(石津寿惠「医療法人の外部財務報告制度の拡充」商学集志,
第84 巻第 3・4号,2015 年,77 頁,柴毅「日本公認会計士協会非営利法人委員会研究資料第 6
号『非営利法人委員会研究報告第 25 号『非営利組織の会計枠組み構築に向けて』に関するヒア
リング調査結果について』の概要」公益・一般法人,第 880 号,2014 年,27 頁)。
参考文献
愛知県ウェブサイト「地域医療連携推進法人認定及び代表理事選定認可申請概要」
(http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/237758.pdf)。
医業経営の非営利性等に関する検討会「医療法人制度改革の考え方~医療提供体制の担い手の中心と
なる将来の医療法人の姿~」2005 年。
石津寿惠「医療法人の外部財務報告制度の拡充」商学集志,第 84 巻第 3・4号,2015 年。
医療法人の事業展開等に関する検討会「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度
の見直しについて」2015 年。
経済財政諮問会議「今後の経済財政運営および経済社会の構造に関する基本方針」2001 年。
厚生労働省保健統計室「平成 26 年度国民医療費」2016 年。
厚生労働省ウェブサイト「2013 年12 月4日 第 3回医療法人の事業展開等に関する検討会議事録」
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000035460.html)。
これからの医業経営の在り方に関する検討会「『これからの医業経営の在り方に関する検討会』最終
報告書~国民に信頼される,医療提供体制の担い手として効率的で透明な医業経営の確立に向け
て~」2003 年。
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 15 -
佐々木克典「メディカル・サービス法人をめぐる法務と税務」清文社,2016 年。
柴毅「日本公認会計士協会非営利法人委員会研究資料第 6号『非営利法人委員会研究報告第 25 号『非
営利組織の会計枠組み構築に向けて』に関するヒアリング調査結果について』の概要」公益・一
般法人,第 880 号,2014 年。
髙山昌茂「非営利法人会計と営利法人会計との相互関係
―
『非営利組織の財務報告の在り方に関す
る論点整理』論点 9. 連結情報の開示についての考察
―
」非営利法人研究学会誌,第 18 巻,2016
年。
独立行政法人会計基準研究会「独立行政法人会計基準の設定について」2000 年。
日本公認会計士協会「非営利組織の会計枠組み構築に向けて」2013 年。
兵庫県ウェブサイト「地域医療連携推進法人はりま姫路総合医療センター整備推進機構 定款」
(https://www.pref.hyogo.lg.jp/bk01/ harimahimeji_hp_houjin.html)。
松田紘一郎「早わかり医療法人制度改革・地域医療連携推進法人」中央経済社,2017 年。
地域医療連携推進法人における会計報告単位のあり方(海老原)
- 16 -
巻末資料 1「地域医療連携推進法人会計基準」と「医療法人会計基準」の対照表
「地域医療連携推進法人会計基準」 「医療法人会計基準」
第1章 総則 第 1章 総則
第1条 地域医療連携推進法人会計の基準 第 1条 医療法人会計の基準
第2条 会計の原則 第 2条 会計の原則
第3条 重要な会計方針の記載 第 3条 重要な会計方針の記載
第4条 会計方針の変更に関する記載 第 4条 会計方針の変更に関する記載
第5条 総額表示 第 5条 総額表示
第6条 金額の表示の単位
第2章 貸借対照表 第 2章 貸借対照表
第6条 貸借対照表の表示 第 7条 貸借対照表の表示
第7条 貸借対照表の区分 第 8条 貸借対照表の区分
第8条 資産の評価原則 第 9条 資産の評価原則
第9条 固定資産の評価 第 10 条 固定資産の評価
第11 条 有価証券の評価
第10 条 金銭債権の評価 第 12 条 金銭債権の評価
第13 条 出資金
第11 条 基金 第 14 条 基金
第12 条 積立金 第 15 条 積立金
第16 条 評価・換算差額等
第3章 損益計算書 第 3章 損益計算書
第13 条 損益計算書の表示 第 17 条 損益計算書の表示
第14 条 損益計算書の区分 第 18 条 損益計算書の区分
第19 条 事業損益
第15 条 経常損益 第 20 条 経常損益
第16 条 当期純損益 第 21 条 当期純損益
第4章 雑則 第 4章 雑則
第17 条 貸借対照表等に関する注記 第 22 条 貸借対照表等に関する注記
- 17 -
巻末資料 2はりま姫路総合医療センター整備推進機構 第 1期貸借対照表
(出典:兵庫県ウェブサイト「地域医療連携推進法人はりま姫路総合医療センター
整備推進機構」(https://www.pref.hyogo.lg.jp/bk01/ harimahimeji_hp_houjin.html))
- 18 -
巻末資料 3はりま姫路総合医療センター整備推進機構 第 1期正味財産増減計算書
(出典:兵庫県ウェブサイト「地域医療連携推進法人はりま姫路総合医療センター
整備推進機構」(https://www.pref.hyogo.lg.jp/bk01/ harimahimeji_hp_houjin.html))