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2重シールド酸素混合ガストーチにおける
陰極点の挙動観測
鎌田 憲嗣*(瀬田工業高校),湯地 敏史,木之下広幸(宮崎大学)
房野 俊夫(佐世保高専),田代 真一,田中 学(大阪大学)
Observation of Cathode Spot Movement in Double Shielding Oxigen Mixture Gas Torch
Noritsugu Kamata (Seta Tech. High School), Toshifumi Yuji, Hiroyuki Kinoshita (Univ.of Miyazaki)
Toshio Bouno (Sasebo N.C.T.), Shinichi Tashiro and Manabu Tanaka (Osaka University)
1.はじめに
従来の交流 TIG 溶接では,溶融池内に電流のパスとして,
陰極点が均一に存在することが一般的である。1つの陰極
点当たりの電流パスは,10 A 程度だと言われてきた。この陰
極点は,溶接時の金属表面の酸化膜のクリーニング効果を持
つとも言われてきたが,陰極点の観測は,これまでに十分に
実現されてこなかった。陰極点挙動のメカニズム解明は,
交流 TIG 溶接の溶接部の品質向上やシミュレーションの際
のより現実的な再現が可能となる。
そこで著者らは,これまで交流 TIG溶接での陰極点の挙動
観察に取り組んできた。その結果,陰極点が溶融池中心部に
は存在しないことが明らかとなった(1)。だが,カメラの性能
や撮影位置などの問題から本質的な確証には至っていない
のが現状である。
本稿では,交流 TIG 用二重シールドガストーチにおいて,
酸素を含むシールドガスを用い,高速度ビデオカメラで観察
することで,アルミニウム板の交流 TIG溶接時の溶融池及び
酸化膜上の陰極点挙動を観察することに成功した。
2.実験装置及び方法
実験は,交流 TIG 用2重シールドトーチ及びインバータ
式交流電源(ダイヘン社製; DA300P)を用いて,シールド
ガス に は He ガスま た は,He +O2(5.0 %)混合ガス(10
L/min)を使用した。実験条件は,タングステン電極棒を正極
とし,母材(アルミ二ウム合金)を負極に設定した。交流電源
の周波数を 70 Hz とし,電極の極性比(EP 比)を0.3,電流
値200 A とした。計測計器として高速度ビデオカメラ
(Vision Research Inc.製; Miro eX4)を使用し,フレームレ
ートを 1,200fp, 0.83 ms interval で撮影を行っている。
3.実験結果及び考察
図1は,交流 TIG 用2重シールドガストーチにおける溶
接時の溶融池近傍にて,高速度カメラを使って連続カラー
撮影した結果を示す。同図より,溶融池の中心部には陰極点
が確認することができない。実験に使用した2重シールド
ガストーチにより,シールドガスとして酸素混合ガスを用
いて,溶融池中心部に陰極点が集まりやすい状況とした。同
様に,放電がスタートすると同時に,タングステン電極が溶
融すること金属蒸気の短波長側の青色の放射が確認するこ
とができる。
Fig.1 Arc dynamics in double shielding gas torch with
high-speed camera.
4.むすび
交流 TIG 用2重シールドガストーチにより,アルミニウ
ム板に溶接を行った際の溶融池内の陰極点を高速度ビデオ
カメラで撮影した結果,紫色放射は He ガスにおけるアーク
の発光であり,青色放射は,溶接時の金属蒸気の短波長側の
放射であることが確認できる。
今後は,溶融池内の陰極点の数値パラメータの算出方法
を検討すると共に,陰極点挙動の数値パラメータを明確に
していく。
参 考 文 献
(1) T. Yuji, K. Yasui, A. Fujimaru, H. Kinoshita, T. Bouno,
T. Methong, S. Tashiro and M. Tanaka: 溶接学会論文集,
Vol.33, No.2, pp.135s-138s(2015)
平成 29 年電気学会全国大会
2017/3/15~17富山 ©2017 IEE Japan
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(第 1 分冊 )