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Economic Valuation of Placing Campus Patrol for Reducing Smoking: Contingent valuation study toward students

Authors:

Abstract

A number of universities that ban smoking on the campus including all outdoor spaces is increasing in Japan. Ritsumeikan University enforced a policy to ban smoking on all the campuses in 2013, however, it has been reported that a certain number of students have been continuing to smoke on the campus. In the Osaka Ibaraki Campus (OIC), a number of cigarette butts found in and around the campus reached 1,000 a day at most in 2015. Through conducting interviews with students, faculty members, and staff at the Office of Students Affairs of the OIC, the author came to realize that establishing a student-run organization of a campus patrol could be effective in reducing illegal smoking on the campus. In this paper, the author conducted a questionnaire survey to students (n=375) at the College of Policy Science at Ritsumeikan University to understand the economic value of the proposed campus patrol by using the contingent valuation method (CVM). Students were asked, in the questionnaire, if they would donate to the campus patrol. The results revealed that students' median willingness-to-pay were 1,320 yen while average willingness-to-pay were 2,679 yen. The results implied that the total amount that could be donated by students at the OIC would be around 1.6 million yen using the median score, and 3.3 million yen using the average score.
1.はじめに
1.1.禁煙化への動きと大学の現状
たばこの煙にはニコチンや発がん物質などの有害物質
が含まれ、喫煙者だけでなく、たばこを吸わない周りの
人に与える影響(受動喫煙)も大きく、煙を吸うことで
肺がんなどのリスクが高まることが明らかになっている
(埴岡ほか 2003、日本循環器学会 2016、乾 2007)。これ
を踏まえ、世界健康機関(WHO)は、たばこがもたら
す死亡や障害は全世界の緊急の問題であると宣言し、禁
煙に向けた取り組みや啓蒙(世界禁煙デーなど)を世界
中で展開している(World Health Organization 2016)
我が国では 2003 年 5 月に健康増進法が施行され、第 25
条で受動喫煙の防止が規定されたことで、学校を含む公
共施設の管理者には利用者が受動喫煙をすることを防
ぎ、禁煙または分煙化を進めることが求められるように
なった(総務省行政管理局 2002)
学生を社会貢献できる人材に育成し、社会に送り出す
使命を持つ大学は、たばこの害のない社会を作り、また
これに貢献する人材を育成することが重要な役割となる
(乾 2007、大阪大学喫煙対策ワーキンググループ 2013、
長谷川 2014)。また喫煙問題に限らず、環境保全・改善
論 文
禁煙パル隊の設置に関す経済評価
-学生に対する仮想評価法の調査より-
桜井 良
Economic Valuation of Placing Campus Patrol for Reducing Smoking:
Contingent valuation study toward students
Ryo SAKURAI
Abstract
A number of universities that ban smoking on the campus including all outdoor spaces is increasing in Japan.
Ritsumeikan University enforced a policy to ban smoking on all the campuses in 2013, however, it has been reported
that a certain number of students have been continuing to smoke on the campus. In the Osaka Ibaraki Campus
(OIC), a number of cigarette butts found in and around the campus reached 1,000 a day at most in 2015. Through
conducting interviews with students, faculty members, and sta󰮏 at the O󰮐ce of Students A󰮏airs of the OIC, the
author came to realize that establishing a student-run organization of a campus patrol could be e󰮏ective in reducing
illegal smoking on the campus. In this paper, the author conducted a questionnaire survey to students (n=375) at the
College of Policy Science at Ritsumeikan University to understand the economic value of the proposed campus patrol
by using the contingent valuation method (CVM). Students were asked, in the questionnaire, if they would donate
to the campus patrol. The results revealed that students’ median willingness-to-pay were 1,320 yen while average
willingness-to-pay were 2,679 yen. The results implied that the total amount that could be donated by students at the
OIC would be around 1.6 million yen using the median score, and 3.3 million yen using the average score.
-51-
に取り組むことは、公的機関・教育機関としての大学の
社会的責任であり、またこのような活動を通して、教職
員や学生の環境に対する意識が高まることが期待される
(小中山・佐藤 2004)
これらの背景をもとに、校内を全面禁煙とする大学が
国内では増えており、2015 年 12 月の時点で 4 年制大学
の 775 校のうち、186 校(約 25%)が全面禁煙を導入し
ている(朝日新聞 2016)。一方で、校内全面禁煙を導入
しても、一部の学生が隠れて喫煙を続けるケースも多く
存在する(久保ほか 2009、長谷川 2014。例えば、山
形大学小白川キャンパスでは 2008 年に校内全面禁煙を
決定したものの、キャンパス付近で喫煙をする学生が後
を絶たず、道路に吸い殻を捨てる学生も多く、近隣住民
からのクレームを受け、2015 年には喫煙所を設置する
ようになった(朝日新聞 2016)。秋田大学手形キャンパ
スにおいても、2010 年に一度校内全面禁煙をしたもの
の、山形大学と同様の理由から喫煙スペースを 2013 年
に再度設定することになった(朝日新聞 2016)。このよ
うに、一度全面禁煙にしたものの、分煙に戻す大学もあ
り、校内全面禁煙化に向けた取り組みは多くの課題を抱
えていることが分かる(久保ほか 2009、長谷川 2014)
1.2.立命館大学における構内禁煙化の動きと OIC キャン
  パスの現状
立命館大学では 2008 年 4 月にキャンパス全面禁煙化
に向けた指針が策定され、同年 9 月には各キャンパスに
設置された喫煙シェルター以外での喫煙を禁じ、2009
年からは各学部で禁煙教育の時間を組み込み、更に
2010 年からは教職員のキャンパス内喫煙を禁じた。こ
のような段階的な取り組みを経て、2013 年度には常任
理事会決定により、キャンパス内全面禁煙が実施された。
その結果、学部学生の喫煙率は 9.7%(2008 年度)から 3.4%
(2014 年度)へと減少し、教職員においても 12.5%(2008
年度)から 9.4%(2014 年度)へと減少し、取り組みの
成果が表れ、喫煙しづらいキャンパス環境になっている
ことが報告されている(キャンパス禁煙化推進委員会
2015。しかし、キャンパス内および周辺ではタバコの
吸い殻が依然として多く回収され、また一部は完全に消
火されない状態で発見されていることを踏まえ、学内の
危機管理のために「火災防止のための管理エリア」が衣
笠キャンパス及びびわこ草津キャンパスで 2014 年度に
設置された。「火災防止のための管理エリア」は、その
位置づけがあいまいであるという課題があり、実質上の
喫煙所と理解している学生も多く、また「受動喫煙防止」
の観点から乖離しているという指摘も学友会からあがっ
ている(キャンパス禁煙化推進委員会 2015)
大阪いばらきキャンパス(OIC)は、2015 年 4 月に
開校し、市の公園の併設や塀のない市民開放型のキャン
パスであることが特徴である。したがって、キャンパス
内全面禁煙の徹底(受動喫煙の防止)および学外喫煙者
への声かけも含め、従来以上の学生・教職員の意識向上
の取り組みが必要とされている。OIC キャンパス開校
以前は、他のキャンパスのような「火災防止のための管
理エリア」の設定の必要性は考えられていなかったが、
開学後わずか一か月でキャンパス内外で吸い殻が多く発
見されるようになり、その数は一日約 1,000 本にのぼっ
た(OIC 学生オフィス・OIC 地域連携課 2015)。地域住
民からのポイ捨てや火災への不安の声も増加傾向にあ
り、このような状況を踏まえ、OIC においても 2015 年
10 月にポイ捨てによる火災発生の未然防止のための「火
災防止のための管理エリア」(図 1)を設置した。OIC
では、キャンパス内の禁煙化に向けて教職員によるパト
ロールが毎学期行われ、また看板の設置など、様々な取
り組みがなされているが、これらが一定の効果はあるも
のの、キャンパス内のポイ捨ては依然としてなくならず、
キャンパス禁煙化の徹底がいかに難しいかが分かる。
そこで本研究では、これまで先行研究であまり議論さ
れることのなかった、また実践例がほとんどない、学生
の寄付により運営するキャンパス禁煙パトロールについ
て、その実現可能性を環境経済学のアプローチから検討
をする。
図 1:OIC における「火災防止のための管理エリア」
(アンケートを実施した際には学生が現状をイメージ
できるようにこの写真を学生に提示した)
-52-
政策科学 24 - 1, Oct. 2016
1.3.寄付による学生団体「OIC 禁煙パトロール隊」設
   置の提案
OIC における喫煙や吸い殻のポイ捨てに関する問題
について、学生の視点からの意見を把握するために著
(桜井良)は 2015 年の秋学期に OIC に在籍する学生(政
策科学部 1 回生)にグループインタビューを実施した。
グループインタビューは第 1 回は 15 人の 1 回生に対し
て、第 2 回は 29 人の(第 1 回とは異なる)1 回生に対
して 2015 年 12 月に実施した。なお、これらはいずれ
も著者の担当する環境問題や環境配慮行動を扱う授業
を履修している学生に対して、授業内容・テーマと一
致していたため授業の一環として実施した。学生に対
して、最初に OIC における喫煙に関する問題(これま
での経緯、吸い殻数の現状、キャンパスで行われてき
た普及啓発など)について説明し、その後に 4,5 人の
グループに分かれてもらい、この問題を解決するため
に有効と思われる案を出してもらった。なお、本論文
の主テーマは禁煙パトロール隊の経済評価であるため、
このグループインタビューの結果の詳細は割愛する
が、学生から多く提案された解決策が学生自身による
キャンパス内見回りであった。この他にも、キャンパ
ス内で喫煙している学生を見つけ次第警備員が(これ
まで以上に)厳しく指導する、また喫煙している学生
への罰則(罰金、懲戒など)を設けるといった意見も
出たが、特に多くの学生が効果があると考えたのが学
生自身によるパトロール及び喫煙者への注意であった。
その理由として多くの学生は、同じ立場の人間に見回
りをされることで、喫煙しにくいキャンパスになるこ
とが期待されると話していた。社会心理学では、人が
特定の環境、社会、文化において守るべきルール・規
則である社会規範が人の行動に影響を与えると言われ
ている(水原 1989、池田ほか 2010。環境配慮行動に
関する先行研究においても、特に主観的規範(行動す
ることへの周囲 [ 友人や家族など ] からの期待や本人が
感じる圧力)が行動に大きな影響を及ぼすことが分かっ
ている(Ajzen 1985、野波ほか 2002、McKenzie 2011、
桜井ほか 2014)。グループインタビューから、学生自身
が学生主体の取り組みにすることの効果を感じている
こと、また一部の学生は自らこのパトロールに参加す
ることに関心があることが分かった。
次に学生から提案された禁煙パトロール隊の設置方
法・運営方法、更に学生の主体性・責任性を高めるた
めの方策について、学部内の教員と議論した。特定の
行動や考え方を地域やコミュニティで普及していくうえ
で、行政、研究者、組長などによるトップダウンの取り
組みよりも、地域住民や組織の構成員などが行うボトム
アップの取り組みが効果的であることが、これまで社会
心理学、社会学、組織マネジメントなどの多くの先行研
究で明らかになっている(Hill 2008、Zanetell & Knuth
2004、Sakurai et al. 2015)。OIC で禁煙化の徹底を進め
るために同様にボトムアップ(学生主体)の活動が効果
的と考えられるが、禁煙化の決定、普及啓発、教職員に
よるパトロールなど、これまでの禁煙に関する取り組み
はトップダウン型の施策が多かったといえる。そこで、
禁煙化への取り組みに学生がより責任感と主体性を感じ
ることができるように、禁煙パトロール隊の運営費は学
生自身が寄付として負担するというシナリオを考えた。
コミュニティバス運営に関する先行研究によれば、住民
主体のバス運営方式を採用することで、自治体が主体で
行うものと比較し、住民の金銭的負担意思(支払意志額)
が高くなることが分かっており(川端ほか 2011)キャン
パス内の禁煙化もボトムアップの取り組みにすること
で、学生の寄付することへの意欲が増加し、取り組みに
対する主体性も促進できると推測される。
最後に、禁煙パトロール隊の運営費(アルバイト代)
を学生の寄付により賄うことが可能かどうか、その現実
性と妥当性を調べるために、2015 年 12 月に OIC 学生
部の職員 2 名に聞き取り調査をした。結果、禁煙パトロー
ル隊のような学生団体を設置すること、更に学生の寄付
により運営することは特段の問題にはならないというこ
と、また学生の寄付による学生団体「OIC 禁煙パトロー
ル隊」の運営はこれまでの取り組みではなかった新しい
アイデアであることを把握できた。
以上、学生へのグループインタビュー、学部内の教員
との議論、そして学生部の職員への聞き取りをもとに、
学生の寄付により運営する学生団体「OIC 禁煙パトロー
ル隊」の設置が現実的な提案であると判断した。そこで、
本研究ではキャンパス内禁煙化に向けたパトロール隊の
設置及び運営の実現可能性を調査するために、経済評価
を実施した。
キャンパス禁煙パトロール隊の設置に関する経済評価(桜井)
-53-
2 .手 法
2.1.仮想評価法(CVM)による支払意志額(WTP)の
  推定
学生団体「OIC 禁煙パトロール隊」(以下禁煙パトロー
ル隊)を学生の寄付により運営することが可能かを明ら
かにするために、本調査では環境経済学の分野で使われ
ることが多い CVM(Contingent Valuation Method:仮
想評価法)を用いた。CVM は、「環境変化に対する人々
の支払意志額や受け入れ補償額を直接聞き出すことで、
環境サービスの価値を評価する方法」(栗山ほか 2013)
であり、シナリオ(環境変化を記述した仮想的説明)
をアンケート調査などで回答者に提示し、支払意志額
(Willingness To Pay:以下 WTP)を答えてもらうこと
が特徴である。シナリオの設計をうまく行わないと評価
額の信頼性が低下するなど、課題が多く存在するものの、
バイアスの発生を回避させるように設計された CVM の
調査では、信頼性のある結果を得ることが可能である
(国土交通省 2009、栗山ほか 2013)。米国商務省国家海
洋大気管理局(NOAA)は信頼性のある調査結果を得
るための満たすべき条件をリスト化した NOAA ガイド
ラインを作成しており(Arrow et al. 1993)、米国では
多くの調査がこういった基準に準じて行われるようにな
り、CVM は環境問題の評価を行うために広く用いられ
る手段となっている(小中山・佐藤 2004)
環境の変化に対する人々の WTP を聞き出す方法とし
て自由回答(自らの支払意志額を自由に回答してもら
う)形式、付け値ゲーム(オークションのように提示し
た額に対する回答に応じて提示額を繰り返し見せる)方
式、支払カード(金額のリストから回答者に自ら支払意
志額に近いものを選んでもらう)形式などがあるが、こ
こでは回答者の戦略バイアス(回答者があえて極端に高
い金額を答えるなど)を回避できる二項選択方式を採用
した。二項選択方式とは、回答者に複数の異なる金額か
らランダムに提示された負担額について賛成 / 反対の有
無を尋ねる方式で、金額の提示を一回のみ行うため、他
の方式に比べ回答者の手掛かりとなる金額に対する情報
が少なく、バイアスが生じる可能性が低いとされている
(栗山ほか 2013)。本研究ではダブルバウンド方式(二
段階二肢選択方式)を採用し、一回目の提示額に対する
支払いに賛成した回答者にはさらに高い金額を、一回目
の提示額への支払に反対した回答者にはより低い額を提
示した。ダブルバウンド方式はシングルバウンド方式と
比較し統計的信頼性が向上し、必要なサンプル数が少な
いというメリットがある(国土交通省 2009、栗山ほか
2013)
大学生のキャンパス周辺の環境価値に対する WTP
(在学中に一回限り支払うことを想定)を調べた先行研
究によれば、学生の WTP は中央値で 2,000 円程度、平
均値で 4,699 円であった(小中山・佐藤 2004)。キャン
パス周辺の環境価値と本研究のテーマであるキャンパス
内外の禁煙活動の価値では内容に違いがあるものの、小
中山・佐藤(2004)の調査結果は大学生の WTP の程度
を考えるうえで参考になる。本調査ではアンケート票を
5 種類用意し、それぞれ異なる提示額(A 票500 円、B 票
1,000 円、C 票2,000 円、D 票4,000 円、E 票8,000 円)
を示した。一回目の提示額の寄付に賛成した回答者には
その倍の額を二回目に提示し、一回目の提示額の寄付に
反対した回答者にはその半額を二回目に示し、再度回答
してもらった。シナリオ(表 1)では、最初にキャンパ
スにおける喫煙に関する問題の現状を説明し、次に禁煙
パトロール隊の設置という仮想的なシナリオ(パトロー
ルする人数や頻度、アルバイト代をキャンパスに在籍し、
支払いに賛同する回答者が払うことなど)を説明し、最
後に示した提示額に対して寄付をするかを尋ねた。なお、
WTP の計算においては、回答者の中から抵抗回答を除
外したものを分析対象とした。抵抗回答とは、提示され
た状況や手段に納得できず、経済的理由以外で寄付をし
ないとした回答のことである(国土交通省 2009)。本調
査では、寄付をしない理由として「キャンパス内の禁煙
化の必要性は認めるが、学生団体の運営のために寄付す
ることに反対だから」「この方法で、キャンパス内の禁
煙化が進むと思えないから」「そもそもキャンパス内の
禁煙化をこれ以上進める必要がないから」のどれかに○
をした回答者は、調査票に提示された仮想的市場に抵抗
を感じていると判断し、抵抗回答であるとし、支払意志
額の計算からは除外した。
なお、先行研究によれば、一般的に人は自分をよく見
せようと、また調査者を喜ばせようとして、環境変化
に対する WTP を実際に支払う真の値より多めに回答す
る傾向がある(Freeman et al. 2003、Lusk & Norwood
2009。これは追従バイアス(回答者が調査者にとって
望ましい回答をするバイアス)と呼ばれ、これを解消す
るために提案・開発された手法が本人ではなく他人の
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政策科学 24 - 1, Oct. 2016
WTP を尋ねる方法である。他人の WTP に関しては、
回答者は他人をよく見せようとする必要はなく、調査者
にとって望ましい回答をする動機がなくなるため、よ
り現実的な WTP を回答することになり、その額が結果
的に自分自身の真の WTP に近い値となることが先行研
究から分かっている(Lusk & Norwood 2009)。そこで
本研究では本人の WTP(「あなたなら寄付を行うか」
とともに、友人の WTP(「あなたの友人・知人[同じ
OIC キャンパスに通う学生]は寄付を行うと思うか」
を回答者に尋ねた。本アンケートでは、友人の WTP に
関しては、寄付をしない理由は聞かず、抵抗回答の除外
は行わなかった。これは、友人が寄付をしない理由を尋
ねると、アンケートにおいて説明が煩雑になると判断し
たためである1)
2.2.調査方法
CVM は様々なバイアス(ゆがんだ回答を行う誘因に
よるもの、評価の手掛かりとなる情報によるもの、シナ
リオの伝達ミスによるものなど)が発生する可能性があ
るが、それらの回避策として最も有効なものがプレテス
(本調査に先立って行われる小規模なアンケート調査)
の実施である(栗山ほか 2013)。本研究において、本調
査の前に、調査対象者と同じ立命館大学政策科学部に在
籍する学生(2 名)にプレテストを実施した。プレテス
トでは、実際に学生にアンケートに回答してもらい、ま
たアンケート回答後に聞き取りを行い、質問内容や形式
に問題がないか、提示額は妥当か、シナリオは理解でき
たかなど意見をもらった。学生からのコメントをもとに
調査票を修正し、完成版を作成した。
本調査は 2016 年 4 月 12 日に政策科学部の必修科目で
ある「調査分析技法入門」を履修している学生に対して、
授業中にアンケートを実施した(図 2)。当授業は一回
生全員(及び単位を落とした二回生以上の学生)が履修
をすることになっている。授業テーマである調査技法を
学ぶうえで、まず学生自身が意識調査を経験することが
重要であると考え、本アンケートを実施することとなっ
た。当日の授業の出席者全員に調査票が配布され、途
中退席をした学生を除く全員から回答を得た(n=375)
なお、提示したシナリオや回答の仕方を学生がしっかり
と理解したうえでアンケートに答えられるように、当日
表1:実際に提示したシナリオ
(寄付する金額[~円]の箇所には、アンケート票ごとに異なる額を提示した
[A 票:500 円、B 票:1,000 円、C 票:2,000 円、D 票:4,000 円、E 票:8,000 円]
OIC キャンパスでは、キャンパス内全面禁煙になっているにもかかわらず、キャンパス内(管理エリア以外)
で喫煙をする学生が後を絶たず、たばこの吸い殻がキャンパス内の植え込みやデッキなどで発見されるなど、学
生のたばこに関するマナーが問題となっています。キャンパス内及び周辺路上での喫煙・吸い殻のポイ捨ては 1
日数百本、多い日は 1,000 本に及んでいます。
そこで、キャンパス内での喫煙者をなくすために、キャンパス内外を巡回し、喫煙している学生を見つけ次第
注意する学生団体「OIC 禁煙パトロール隊」の設置が検討されているとします(あくまで仮定の話で、本学でそ
のような検討が実際になされているわけではありません)。具体的には、パトロールに参加したい学生が 3 人一組
になり、朝、昼、夕方、夜の合計 4 回、毎日(週 5 日間)キャンパス内外を循環します。パトロール隊は、喫煙
した学生を見つけ次第注意するとともに、吸い殻の回収を行い、また普及啓発活動(禁煙に関するチラシの配布
など)をします。パトロールをする学生には、時間当たりのアルバイト代を支払うこととします。
学生団体「OIC 禁煙パトロール隊」の 2016 年度の運営費(学生のアルバイト代)は OIC キャンパスに在籍し、
パトロール隊に賛同する学生が負担するものとします。学生が寄付したお金がこのパトロール隊の 2016 年度の運
営に使われるとします。(一方で、寄付のお金が集まらず「OIC 禁煙パトロール隊」が設置されない場合は、キャン
パス内の喫煙に関する状況は現状[キャンパス内及び周辺路上での吸い殻のポイ捨てが 1 日数百本]のままとな
ります。
あなたは、~円の寄付をお願いされたら、実際に寄付を行いますか(寄付を行うのは 1 回だけです)。ただし、
実際に寄付をすると、当然ですが、その分、あなたが他の商品を買ったり、サービスを受けるお金が減ることに
なります。
キャンパス禁煙パトロール隊の設置に関する経済評価(桜井)
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は調査者(著者)が実際に質問文を一つ一つ読み上げ、
質問を随時受け付けながらアンケートを行った。更に学
生が調査内容や OIC における現状を視覚的にも理解で
きるように、アンケートの最中に「火災防止のための管
理エリア」(図 1)など関連する写真を提示した。
2.3.解析方法
CVM では、回答者から得た回答をもとに提示された
額とそれに対して支払いをする確率から累積確率分布曲
線を推定し、これをもとに WTP の中央値と平均値を算
出する。WTP の中央値は賛成する確率が 0.5 となる提
示額であり、平均値は曲線の下側の面積を積分すること
で求まる(通常最大提示額までの範囲を計算する)。本
研究では、当てはまりがよく、広く使われている対数線
形ロジットモデルを用いて推計を行った。対数線形ロ
ジットモデルでは、効用差(寄付に賛成の場合の効果か
ら反対の場合の効用を差し引いたもの)は「定数項(環
境変化がもたらす効用変化)+係数× ln(提示額)+
誤差(ε)」で示すことが出来ると想定している(栗山
ほか 2013)。ここから賛成を選択する確率は「1/[1+exp
(-V)]によって示すことが出来る。ここで V は効用
差から誤差を差し引いた確定部分である。関数系のパラ
メータの推定には、最尤法を用いているが、この対数尤
度関数は式 2.3.1 のようにあらわせる。
なお、ここで dyy は回答者が二回の提示額にともに寄
付をすると答えた際に 1、それ以外の場合は 0 とするダ
ミー変数である。T は一回目の提示額、T
U
が一回目の
提示額に賛成した際の二回目の提示額、T
L
は一回提示
額に反対した場合の二回目の提示額(より少ない額)で
ある。また
N
は観測変数である。なお WTP の計算に
は「Excel で る CVM 第 3.2 版 2013)
を使用した。
3 .結 果
本アンケートでは学生の喫煙経験や喫煙に対する意
識、更に環境配慮行動の実施の有無など幅広く質問を設
けたが、それらの詳細な結果は別の論文で執筆している
ため、本論文ではあくまで WTP の算定に関する結果を
中心に示していく。
アンケートは、375 部回収され、アンケートの通し番
号の記入忘れなど不備のあったアンケート票を除くと有
効回答数は 365 であった。回答者(n=365)の学年は、
大半が 1 回生(93.4%)であり(2 回生2.2%、3 回生2.5%、
4 回生:1.4%、5 回生以上:0.5%)、年齢は 18 歳(78.4%)
と 19 歳(15.1%)が多かった(20 歳3.3%、21 歳2.2%、
22 歳以上:1.1%)。キャンパス内が全面禁煙であること
は、過半数の回答者(69.1%)が認知していたものの、「知
らなかった」と回答した学生も 3 割以上いた。喫煙の有
無については、ほぼ全ての回答者が自身は「全く喫煙し
ない」と回答しており(97.2%)「たまにする」と「日
常的に吸っている」と回答した人はそれぞれ 1.7% と 1.1%
であった。
抵抗回答を除いた有効回答(n=88)から WTP を推
計したところ、中央値は 1,320 円、平均値(裾切り)が 2,679
円となった(表 2)
友人の WTP(「あなたの友人だったらいくら寄付す
ると思うか」は測定の結果、中央値が 649 円、平均値(裾
切り)が 1,344 円となった(n=134)(表 3)
4 .考 察
本アンケートは、1 回生の必修科目の授業中に行った
こともあり、回答者の大半は 1 回生で 18 歳であった。
キャンパス内が全面禁煙であることを知らない学生が少
なからずいたが(30.9%)、入学後わずか数週間で行った
調査であったため、1 回生の多くはキャンパスにおける
禁煙に関する施策を知る機会がなかった可能性もある。
回答者のほぼ全員が喫煙を全くしないと回答しており、
喫煙率(2.8%)は立命館大学の学部生全体に行われた調
9
23. 解析方法
CVM では、回答者から得た回答をもとに提示された額とそれに対して支払いをする確
率から累積確率分布曲線を推定し、これをもとに WTP の中央値と平均値を算出する。
WTP の中央値は賛成する確率が 0.5 となる提示額であり、平均値は曲線の下側の面積を積
分することで求まる(通常最大提示額までの範囲を計算する)。本研究では、当てはまり
がよく、広く使われている対数線形ロジットモデルを用いて推計を行った。対数線形ロジ
ットモデルでは、効用差(寄付に賛成の場合の効果から反対の場合の効用を差し引いたも
の)は「定数項(環境変化がもたらす効用変化)+係数×ln(提示額)+誤差()」で
示すことが出来ると想定している(栗山ほか 2013)。ここから賛成を選択する確率は
1/[1+exp(-V)]によって示すことが出来る。ここでVは効用差から誤差を差し引いた確
定部分である。関数系のパラメータの推定には、最尤法を用いているが、この対数尤度関
数は式 2.3.1 のようにあらわせる。
lnL=


    
 
 
 
(2.3.1)
なお、ここで dyy は回答者が二回の提示額にともに寄付をすると答えた際に 1、それ以外
の場合は 0とするダミー変数である。Tは第一回目の提示額、TUが第一回目の提示額に賛
成した際の二回目の提示額、TLは第一回提示額に反対した場合の第二回目の提示額(より
少ない額)である。また Nは観測変数である。なお WTP の計算には「Excel でできる CVM
3.2 版」(栗山ほか 2013)を使用した。
3.結果
本アンケートでは学生の喫煙経験や喫煙に対する意識、更に環境配慮行動の実施の有無
など幅広く質問を設けたが、それらの詳細な結果は別の論文で執筆しているため、本論文
ではあくまで WTP の算定に関する結果を中心に示していく。
アンケートは、375 部回収され、アンケートの通し番号の記入忘れなど不備のあったア
ンケート票を除くと有効回答数は 365 であった。回答者(n=365)の学年は、大半が 1
生(93.4%)であり(2回生:2.2%3回生:2.5%4回生:1.4%5回生以上:0.5%)、
年齢は 18 歳(78.4%)と 19 歳(15.1%)が多かった(20 歳:3.3%21 歳:2.2%22 歳以
上:1.1%)。キャンパス内が全面禁煙であることは、過半数の回答者(69.1%)が認知し
ていたものの、「知らなかった」と回答した学生も 3割以上いた。喫煙の有無については、
ほぼ全ての回答者が自身は「全く喫煙しない」と回答しており(97.2%)、「たまにする」
と「日常的に吸っている」と回答した人はそれぞれ 1.7%1.1%であった。
図 2:アンケート調査実施時の様子
-56-
政策科学 24 - 1, Oct. 2016
(キャンパス禁煙推進化委員会 2015)の喫煙率(3.4%)
より若干少なかった。本アンケートの回答者は主に政策
科学部の一回生と限定されていたが、全体で行われた調
査の結果(3.4%)も踏まえると、キャンパス内で違法に
喫煙をしている学生は、ごく一部の特定の学生であるこ
とが想像できる。
WTP の計算について、抵抗回答などを除いた有効回
答は 88 名で全回答者の 24% であった。OIC キャンパス
に在籍する学生数を政策科学部で 1,600 人、経営学部で
3,500 人として、キャンパスに通う全学部生の数は 5,100
人と考えると(2016 年度に総合心理学部が開設された
が、ここでは政策科学部と経営学部のみで考えている)
学生団体 OIC 禁煙パトロール隊が生み出す効用の大ま
かな評価額は中央値で計算すると、
1,320 円(中央値)× 5,100 人(OIC の学生数)× 0.24
(シナリオに反対した人などを除いた回答率)1,615,680
円、つまり約 162 万円、
平均値で計算すると、
2,679 円(平均値)× 5,100 人(OIC の学生数)× 0.24
(シナリオに反対した人などを除いた回答率)3,279,096
円、つまり約 328 万円となった。
シナリオで提示した禁煙パトロール隊を運営する場
合、その費用(学生へのバイト代)は、自給 900 円と計
算して、
900 円×学生 3 人× 1 日 4 回(見回り)×月 20 日(実施)
× 12 カ月 =2,592,000 円、つまり約 260 万円である。
均値で計算した場合、禁煙パトロール隊の運営費は学生
の寄付のみ(約 328 万円)で賄うことが可能である。ま
た、中央値で計算しても、例えば 1 日の見回り回数を 4
回から午前と午後の 2 回にすることで、運営費は半額の
約 130 万円となり、学生からの寄付(162 万円)で禁煙
パトロール隊の運営費を賄うことが可能である。
友人の WTP と本人の WTP との比較をすると、本研
究では本人の WTP は中央値で 1,320 円(平均値:2,679
円)であったのに対して、友人の WTP はおよそ半額の
649 円(平均値:1,344 円)であった。行研究(Lusk
& Norwood 2009)と同様に本調査においても追従バイ
アスの影響が示唆され、本人の WTP は実際に支払う
表2:提示額と回答(n=88)
T1 TU TL YY YN NY NN 標本数計
500 1,000 250 円 3 1 1 4 9
1,000 2,000 500 円 0 7 5 6 18
2,000 4,000 1,000 円 2 3 3 7 15
4,000 円 8,000 円 2,000 円 1 2 11 5 19
8,000 円 16,000 円 4,000 円 0 1 10 16 27
注:T1 =最初に示された展示額、TU =最初の提示額に「寄付する」と答えた人への 2 回目の提示額、TL =最初の提示額に「寄付しない」と答えた人
  への 2 回目の提示額、YY =最初と 2 回目両方の提示額に「寄付する」と答えた人数、YN =最初の提示額に「寄付する」、2 回目の提示額に「寄付
  しない」と答えた人数、NY =最初の提示額に「寄付しない」、2 回目の提示額に「寄付する」と答えた人数、NN =最初と 2 回目の両方の提示額に
  「寄付しない」と答えた人数
表3:友人に関する質問の提示額と回答(n=134)
T1 TU TL YY YN NY NN 標本数計
500 円 1,000 円 250 円 2 4 7 10 23
1,000 円 2,000 円 500 円 0 11 6 7 24
2,000 円 4,000 円 1,000 円 1 3 5 18 27
4,000 円 8,000 円 2,000 円 1 2 7 14 24
8,000 円 16,000 円 4,000 円 0 0 6 30 36
キャンパス禁煙パトロール隊の設置に関する経済評価(桜井)
-57-
(真の)WTP よりも多めの金額が回答された可能性があ
る。友人の WTP が回答者本人の実際の WTP の値に近
いとする Lusk & Norwood (2009)の研究結果に従えば、
OIC の学生の禁煙パトロール隊の設置及び運営に対す
る WTP の真の値は 649 円(中央値)に近いと考えられる。
5.今後の課題
本アンケートでは、WTP に関する項目以外にも喫煙
に対する意識やアルバイトの有無や収入など学生の属性
や意識に関する項目を設けているため、これらの項目を
含めたフルモデルを分析し、どの要因が WTP に影響を
与えるか調べることが次のステップとして考えられる。
また、本調査において明らかになった WTP の妥当性
を明らかにするためには、今後は算出された WTP と実
際に学生が支払う額の比較を行うなど実験経済学的な研
究アプローチが必要である。また、禁煙パトロール隊が
生み出す効用の評価額として、考察では単純に学生数と
シナリオに賛成する割合で乗じて求めたが、政策科学部
の 1 回生に対して行った調査の結果をそのまま OIC に
在籍する学生全員に反映させてよいのか検討を続ける必
要がある。
より実践的な研究としては、パトロールを行いたい学
生を募り、実際に「OIC 禁煙パトロール隊」を設置・
運営し、これに対して OIC に所属する学生に寄付を募
ることが考えられる。これにより、実際に存在する学生
団体に対してどの程度の寄付が集まるか実証でき、本研
究結果の妥当性を評価することが出来る。ある程度の寄
付が集まれば、この基金をもとに、禁煙パトロール隊を
運営することが可能となる。最終的には、学生団体「OIC
禁煙パトロール隊」が、キャンパス内の喫煙・吸い殻・
ポイ捨てをどの程度減らすことができるか、つまりパト
ロール隊が生み出す効用の変化を測定することが重要で
ある。
謝辞
本研究を行ううえで多くの助言を頂きました政策科学
部上原拓郎先生に御礼を申し上げます。また聞き取りを
させて頂きました OIC 学生部の 2 名の職員の方々にも
御礼を申し上げます。最後に、プレテスト及び本調査に
おいてご協力頂きました政策科学部の学生に御礼を申し
上げます。
1)友人が寄付をしない理由を正確に尋ねるためには、アンケー
トにおいて例えば「あなたの友人が寄付をしない(とあなた
が考える)理由は、『この方法でキャンパスの禁煙化が進む
と思えない』と友人が考える(とあなたが考える)からです
か」、といった質問になり、説明が煩雑になり理解が難しく
なる。このため回答者の負担が増えると考え、本アンケート
では友人が寄付をしない理由までは尋ねないことにした。
-58-
政策科学 24 - 1, Oct. 2016
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キャンパス禁煙パトロール隊の設置に関する経済評価(桜井)
-59-
Article
Negative effects that smoking generates toward human health has been reported and, in many countries, smoking has become allowed in only limited areas. Especially, institutes that raise youth such as universities have responsibility to prevent students from being exposed to second-hand smoke. We conducted a questionnaire survey to students (n=375) at the College of Policy Science at Ritsumeikan University to understand the economic value of the environmental change realized by the proposed student-led campus patrol by using the contingent valuation method (CVM). Students were asked, in the questionnaire, if they would donate to the campus patrol. We applied the concept of inferred valuation, an approach that has recently been introduced in environmental economics, and asked students, not only their own willingness to pay (WTP), but also how much their friends would donate. Our results revealed that while students’ median WTP was 1,320 yen and mean WTP was 2,679 yen, their inferred value was much smaller; median WTP was 649 yen and mean WTP was 1,344 yen. Regression analysis revealed that students who disagreed to the statement; “an individual has the right to smoke if it does not disturb others” more likely had higher WTP as well as inferred value. © 2017, [International Journal of Ecological Economics & Statistics].
Article
Most programs to foster sustainable behavior continue to be based upon models of behavior change that psychological research has found to be limited. Although psychology has much to contribute to the design of effective programs to foster sustainable behavior, little attention has been paid to ensuring that psychological knowledge is accessible to those who design environmental programs. This article presents a process. community-based social marketing, that attempts to make psychological knowledge relevant and accessible to these individuals. Further, it provides two case studies in which program planners have utilized this approach to deliver their initiatives. Finally, it reflects on the obstacles that exist to incorporating psychological expertise into programs to promote sustainable behavior.
Article
The long-term success of conservation projects, particularly in urban areas, often depends on local buy-in and participation. However, it can be difficult to recruit local residents to participate in community-based management. Here we use an urban conservation project in Yokohama, the second largest city in Japan, as a case study to examine the factors associated with the willingness of residents to participate in five different conservation-related activities. We aimed to understand important factors that consist urban environmental stewardship and civic ecology in an Asian culture; Japan. Our survey of residents suggests that participation was related to an individual’s expectation that participating in the conservation activity would enhance social interactions among residents, their belief that the urban area lacked adequate “green” habitat features, such as gardens and other plantings, and their sense of responsibility to maintain the quality of the environment. Additionally, younger residents were more willing to participate than older residents. Our results suggest that emphasizing social interactions in conservation activities and highlighting the need for and social and aesthetic benefits of conservation improvements could enhance participation in these conservation activities. Particular motivating factors may vary from place to place, particularly across cultural boundaries, but some factors appear to be general across cultures. In cultures that emphasize collective responsibility and action, such as in Japan, it may be important to foster residents’ sense that it is their responsibility to conserve the natural environment. We believe that greater understanding of the interests and motivation of the public to participate in conservation projects will enhance their efficacy.
Article
Community-based management (CBM) has progressed from the conceptual fringe to the dialogical heart of environmental management. Despite its rhetorical popularity, limited quantitative data exist on factors influencing local involvement. A quantitative survey of three Venezuelan fishing villages resulted in a predictive model of willingness to participate in CBM. Sense of community and fishery dependence were significant positive influences. High level of concern about the current and future state of the fishery correlated with an unwillingness to participate, indicating a defeatist attitude about perceived insurmountable problems. We explore sense of community, defeatist attitudes, and education in CBM project formulation and implementation.
Article
Although estimates of people’s values for public goods are often needed to conduct costbenefit analysis, existing value elicitation methods are prone to a number of well-documented biases. We argue that some of these biases result because people derive utility from the act of saying they are willing to pay for a good. To counteract this phenomenon, we consider an approach that asks people to predict or infer others’ values for a good instead of asking people to state their own value. Both a conceptual model and results from a laboratory experiment lend support for the new approach.
広がる大学全面禁煙:健康増進法受け全体の 4 分の 1 に . 朝刊 2 月 6 日 p
  • 朝日新聞
朝日新聞. 2016. 広がる大学全面禁煙:健康増進法受け全体の 4 分の 1 に. 朝刊 2 月 6 日 p.27(13 版).
学生による大学キャンパス環境改善プロジェ クト「解決 茨大分煙~茨城大学教育学部のたばこ対策を 考える~」の取り組み課程とその成果
  • 乾 康代
乾 康代. 2007. 学生による大学キャンパス環境改善プロジェ クト「解決 茨大分煙~茨城大学教育学部のたばこ対策を 考える~」の取り組み課程とその成果. 2007. 茨城大学教 育実践研究 26:117-126.