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Japan
Sooiety
for
Fuzzy
Theory
and
intelligent informatios
76 知 能 と 情 報 (日本知能情報ファジィ学会誌)Vol.17,
N。.2,
pp .212−22「(
2005)
11111HllllllHllllllMllllllillllll
原著論文
11illllllllllllllllllllllllllllllllll
保持型ロボティック
ユーザ イ ンタフェース の 研究†
清水紀 芳 *1・小泉 直也*1・杉 本 麻樹 *1・新 居 英明*1・
関ロ大陸*2・稲見昌彦 *1*3
従 来 ロボットは製造業等の現場において人の身代わりと して何 ら か の作 業 を 行 うという目的で研究が進め ら
れていた.これに対 し UI と し てロボットを 用 いる 概 念 がRUI −Robotic
User
Interface
一
と して 提 案 さ れ て い
る.本研 究 で は RUI を使 用し た ,身体 性 を持 った保持型の力覚 提 示 装置 を提 案 す る .ま た ,
RUI を通 して情報
世 界 とインタラクシ ョンするためのシステムの試験的な実装を行った.
キーワード: ロ ボ テ ィックユーザ イ ンタフェース,触 覚提 示,エンタ テ インメント,バー
チャルリア リ テ ィ
1.序 論
現在,パーソナル・
コンピュータではグラフィカル
ユーザインタフェース(GUD が広 く用 いられ ている.そ
れに対 し近 年 で は ,
GUI とは異なる新たな形のインタ
フェースと し て,我々人間が生 活 している 実 世 界 の メ
リット を 生 か し つ つ 情報世界とシームレスに接続する
こと を 目指 し た ,実世 界指 向のインタフェースが活 発
に 研 究されている[
1]匸
2]
.
一方ロボットは,作業の効率化やオート
メーション
化を狙った 産 業用ロボットや ,人にとって過酷で危 険
な 環 境 下 に お いてなん ら か の作業 を行わ せ る 極限環境
ロボット といった よ う に,「
人の代わ り」と して 何 ら か
の作 業 を 行 う という目的 で 研 究 が 進 め ら れ て き た .し
かし近 年,ロボットが人にとって身近 な ものとな り,
ペットロボットや ヒューマノイ ド,介 護 ロボットとい
った よ うに,「
人に働きかける」
こ と を目的 とした人間
共存型のロボット
が登 場 している.
このロボットは身体性を有す るコンピュータ で ある
ととら え ることが で き る [
3].
この身体の物理存在 自体
が圧倒的な存在感 と な ると と もに,身体 を 用 いた物理
的相互作用 を 通 し,実世界に対し人きな影響力を発揮
することが で きる.こ の ロボットを ,実世界と情 報 世
†
Teddy b巳ar −like Robotic User Interface
Noriyoshi SHIMIZU ,
Naoya KOIZUMI ,
Maki
SUGIMOTO ,
Hideaki
NII,
Dairoku SEKIGUCHI ,
Masahi ・
ko INAMI
*1電気 通信大学大学 院 電 気 通信 学 研究科知 能 機械工学専 攻
Graduate S⊂hool
of
The University
of Electro
−
Cornmuni・
cations
*2東京 大 学 大 学 院 情 報 理 工 学系 研 究 科
School
of lnformation
Science
and Technology,
The
University
of Tokyo
*3科学技 術振興機構 さきがけ
Japan
Science
and Technology Agency
界 と のインタフェースと し て と ら えた概念がロボ テ ィ
ックユーザインタフェース(
RUI )
と して 提案されている
[
4]
.RUI を 用 いることによ り,実世界に対 しての入 力
と出力を兼ね備えた実1U堺 指 向のユーザインタフェー
ス環 境 を構 築 でき る と考 え ら れ ている.
ま たRUI は,ヒューマノイ ド (人 型ロボット〉 を利
用 し たインタフェース,直感 的なインタ ラ ク シ ョンデ
ザイン,身 体 性 を有 し た 提示装 置 ,といった3つの点
に関して新規性 を有す る。
・
ヒューマノイ ドを 利 用 した イ ンタフヱース
従来の ヒ ューマノイドは 数十cm から人と同等サイズ
といった ものであ り,自律 ,他律で動作を行 わ せるた
めのもので あ った.これ に 対 し RUI は,ヒューマノイ
ド を 人 と同 様 の身 体 性 を持 った イ ンタフェースと し て
利 用する.操 作者は ヒ ューマノ イ ド を 手 で 持ちなが ら ,
ヒューマノイ ド
の手足等を 動 かして入 力 を 行 い,そ れ
と同時 にヒューマノイ ド自 体 の動作 から出 力 を 得 る.
よってRUI に用いるヒューマノイ ドは ,人の手で持つ
こと が できるサ イズであ り ,入の手で楽に操作が可能
であ る バックドライバピリティを有 す る 必 要がある.
こ の よ うな UI と して使用する 目 的で設 計 さ れ る ヒュー
マノ イ ド 自 体,新規性を有するものと 言 え る .
・
直感的なインタ ラ クションデザ イ ン
人が情報世界と イ ンタラクシ ョンを行 う際の入 力 方
法 は 大 き く分 け て二種 類 あ る .まず,格闘ゲームやロ
ールブレイング ゲ ーム等に 見 ら れ る よ うな,情報世界
内のアバタをジョイスティック や ジ ョイパッド等を 用
いて操 作 し,アバタを通 し て間 接 的 に入力 を 行 う 方 法 ,
もう一つはEyeToyTM [
5]
に 見 ら れ る よ う な ,人の身体
動 作 を 用 いて直接的に入 力 を 行 う 方 法 であ る.入に対
しての出 丿J方 法 と しては,直接人の視 覚 ・
聴 覚 に 訴 え
かけ る ものが主であ る.また,フォースフィード
バッ
212 VOI.1アNQ .2
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保持型 ロボ テ ィックユー
ザインタ7エースの研究77
クと呼ばれ る触覚 に対 す る出力は,エンタテイン メ ン
ト分 野 においては ジョイスティックの振動や抵抗感 と
いった提示し か 実現されて お らず,rv
za が日常作業 で
手 が かりとしている触覚 情報 と は 遙 かにか け 離れてい
た.こ れ に 対 し RUI では,情報世 界に存 在 す る入 型 の
アバタ と同 形 状 の身体性を持 ったRUI を現実世界に用
意し,RUI どアバタとで形状 同 期を行 わ せ る.
こ の RUI
を 操 作 す る ことで,人 は 情 報 世 界 に対し て の入力が 可
能となると同 時 に,情報世界のアバタ と 同 期 し た RUI
自身の動作による出 力 を得 る こと が でき る.また,自
己の身体像を外在 さ
せた ものと言 え る RUI を入出 力 装
tL
[に利用することで,人 が 成 長 過 程 に お いて獲 得 す る
身体図式 を用いた直感的な入力,RUI 自身の動作 によ
る視 覚 ・
触 覚 情報の提示,といったこと を 可 能 と す る .
・
身体性 を有 した提示装置
RUI は身 体 性 を 持 つがゆえに,自 己 を 投 射 した身 体
像とみな す ことができる.
このた め RUI を 通 して人に
対し て 触覚提 示 を 行 う ということ が 可 能 とな る.人に
対す る従来の触 覚 提 示 方 法 として は ,人の体に装置を
装着 さ せ た り 人が装置を Fで 把 持 して 操 作 す る な ど し
て,八の体に対 し て 直接的に 力 の大 き さ や 方向 を 提示
する と いう方法であった.これに対 し RUI は,人が手
で保 持 し,操 作 しているRUI 自身の動 作 を 用 いること
で間接的に人に対し て 触覚提 示を行 う こと が で き る.
更にRUI は 身 体 性 を 持 つため,人の身体図式や触覚 を
利用し,操 作 者 はRUI を見 る こ と なく保持 し て いる 手
の感覚によってRUI の形状情報 を 得ることが で き,
ま
たRUI 自身の動作や 形 状 と いう視覚情報 を眼 か ら得る
ことで ア バタの状 態 を 知 る ことが可能である.つまり
RUI は触覚提示装置でありながら,形状提示,視覚提
示も卩r能とする提示装置である と 言え る .
こ の よ う に ヒ ューマノイ ド (人 型ロボット) を用い
たRUI は,
物理 世 界との相互作用 が 可能,ロボットの
形 状 や 動作 による視覚的な情報提示,ロボット
から 人
に力を加 えることに よる力覚的な情報提示,入の側が
直接ロボットに触れて形状 を変化 させることによ る指
示 入 力,といった特 徴 を持 つ.
本研究で は ,従来存在するよ う な 「装着型」,「把 持
型 」,「遭遇型」の力 覚 を提 示するインタフェースと は
異 な り,
RUI を 使 用 し た 身 体 性 を 有 す る保 持 型 の力 覚
提 示 装 置 を開 発 す る.ま た,力覚提示装置 と してのRUI
をエンタ テ イメント分 野 で利用するため に 必要 な,物
理モデルを組み込ん だアプリ ケ ーション の 開発を行 う.
つまり,
RUI をインタフェースと し て使 用 したエン
タ テ イメント的アプリ ケ ーションの試験的実装を目的
とする.
2.保持型ロボ テ ィックユーザ イ ンタフェース
保持型ロボ テ ィックユーザインタフェースとは,操
作者が両手 で 八 型 ロボ.
ノト を 持ちながらロボット
の手
足等 を操作 することで,ロボットを 通 じ て 情報世界と
インタ ラ ク シ ョンを行え る 身体 性 を有し た インタフェ
ースである.
この保持 型RUI につ い てGUI と対 比 し,具体的に説
明する.
GUI では人力と し て マウスや キ ーボードを 用
い,出力と し ては入力の結 果 が グ ラ フ ィック と し て デ
ィスプレイに表示さ れ る.
これ に対し て RUI におけ る
入畠 力 方法は,ロボットを人が動かすことが入力とな
り,
ロボット自 身 が動作す るこ と が 出 力 にな る と いう,
入出力にロボットを用 いたものである.つまり,言 語
やシンボル操作を 主 体とした象徴的表象を用 いる の が
GUI だ とす る と,入 間 が成長の過程に お いて,よ り早
期に獲得す る身 体 図式や身 体 像 を 用いた動作的表象や
映 像 的 表 象 を 主 として用いるのがRUI である と いえ る .
エンタ テ インメント的 な アブ.
リケ ーションにおいて,
GUI とRUI のどち らが適し て いる か を 考 え る.先に述
べた よ う にGUI は言語やシンボル操作 を主と し た もの
であリ,マウスやキーボード等のイン タ フ ェースを 使
用 した 場合で は ,デスクトップ 上 のファイル等 をマウ
スで選 択 して 開 き,キーボードを用いて文 章 を書く,
といった よ う な デスクワークに関するアプリ ケ ーショ
ンが適し て いると考えられ る.一方RUI は,身体図式
や身体像を 用 いた動作的 表 象 を 主 と し てお り
,身体性
を持った人型のロボットをインタフェースと し て 使 用
す る .よって,ゲーム内に操作者の ア バタが存在 して
お リ,そ れ を操作す る と いった現 在 のほ と ん ど のゲー
ム に おいて,人型ロボットを 使 用する こ と で 直 感 的 な
入力,触覚・
形 状 ・
視 覚 情報の提示といったことが可
能となる.よってGUI と 比 較 す るとRUI のほ うがアバ
タベースのエ ン タテ インメント的 な アプ リ ケーション
に適 して いる と 考え られ る.
RUI をエンタテインメント的 な ア プ リケーションに
使 用 した 場 合 と して,ボクシング ゲ ームにおいて 既 存
のゲームインタフェースとRUI を用いた場 合 を想定す
る.
表響 GUI とRUI
2005/4213
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78 知能と情報 旧 本 知 能 情 報 ファジィ学会誌)
既存のゲー
ム
インタ フ ェース
厂 丶
ゴ.
:、
i
篌舞ミ
「譜 ξ
鯛5甄 距 」.
1
謄嵩
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/畿、
〃 \
聞 螢的 な入 力
振動等に よる出力
図1 既存のゲームインタフェースとRUI
既存のゲームインタフェースで は ,ゲームの中のキ
ャラクタを動かす場合に は ト字 キーなどを押 して動 作
させる.また,パンチやガードと いった 動 作 を キ ャラ
ク タ に 行 わ せ る 場 合 は,その動作 に相 当す るボタンを
押 す こと に な る.これより
既存のゲームインタフェー
スを 用 いた場合 には,間 接 的 な 人力によって操作して
いる と いうこと が わか る .出力として は ,ゲーム内の
自分のキャラ ク タ が 敵 キ ャラク タに殴られ た 時 に,イ
ンタフェースが振動する と いったもの が 考え ら れ る.
一方RUI では,
ゲーム内のキャラ ク タ と同 形 状 のロ
ボットを 用 意し,キャラ ク タ とロボット問 において形
状同期 を 行 う .これによ り,キャラクタにパンチ な ど
の動作 を行 な わ せたい場 合 には,人 が ロポットを その
よ う に動か す こと に よって,直接的にキャラク タ の動
作を指示入力す ることが で き る.また,出力に は 振動
といった提示だけでな く ,キャラク タが敵 キ ャラクタ
に顔などを殴 ら れ た 場合 は ,ロボット自 体 のそ の 殴 ら
れた所と同 じ箇所が動作する,これ に よリ,ロボット
自体 の動作やモーションによる視覚的な情報提 示とい
ったことも可能となる。
格闘ゲーム,ロールプレイングゲーム,アク シ ョン
ゲーム等,現在のゲーム の ほ と ん ど は 操作者 自身 のア
バタを操 作するものであ る .このよう な アバタを用い
る ゲ ーム全て に対 してRUI は,直接アバタを操 作 す る
ための入 出 力 装 置 と し て の 利用や,現状のインタフェ
ースを補 完 す る形での利 用 が・f能である.また,コミ
ュニケーションを含むMMORPG 等ネット
ワーク 型 エ
ンタ テ イメントと いったものに対して も RUI を使 用す
る こ と で ,ジェスチャや 触 覚 を伴 うコミュニケーショ
ンを・1
.
能とする.
次に,RUI を力覚提示装置 として使 用 した 場 合と既
存の丿」覚提示装置との違いについて述べる.力覚 を提
示するインタフェースとして,PHANToM [
6]
や
SPIDAR 「7]など が ある.
PIIANToM と は ,指に装着
した状態で操 作 し,バーチャルリ ア リ テ ィ空間内の物
体に触れると,装iに仕 込 まれ た ア ク チ ュエータ が 人
間の運動 を拘束する こ と で ,そこに物 体 がある と いう
感覚を作り出 す .
SPIDAR は,四つの支 点 からプーリ
ーを 経 由 し て 1
白:
線的に張 ら れ た 四 本 の糸が取ワ付け ら
れたリングを 指 にはめて操作する装置であ り,糸が抵
抗して反力が伝わる仕組みであ る .
こ れ ら 以 外にも様 々
な 力 覚 提 示 装置が存在 す る が,そ れ らは前述の通り大
別して,「装着型 」,「
把持型」,「遭 遇 型 」
といった 三 つ
の型に分類することが・∫能 であ る.ヒで 触れ た PHAN ・
ToM とSPIDAR は装着型 に 分 類 さ れ る.
RUI を用いることで,既存のPHANToM や
SPIDAR など「装着型 」,「
把持 型」,「遭遇型」に分類
さ れ る 力覚提示装 置とは違った,身 体 性 を 有 し た 「保
持型」の力覚提示装置が開 発 出 来 る.RUI を力覚提示
装置 として使 用 した場 合 ,従来の力覚提示装置 との間
には次の よ うな違 いが存 在 す る.考え ら れ る 点は以 下
の三つである.
一つ目は,力覚 の提 示 方 法 である.従来では人の体
に装置を装着さ せ た り 人が装置を手で把 持 して操作 し
,
人の体に 対 し て 直接的に力の大 きさや方 向 を提 示 す る.
一方RUI で は ,身体性 を有した装置 を人 が手でもって
操作 し,RUI 自体 の動 き を 通 じ て 持 っている人に対し
て力 を提 示 する.
つまりRUI では,従来のように直接
的ではな く間 接 的 に力 覚 が提示さ れ る.
二つ目は,
VR 空 間 とのインタラクション の 方法 であ
る.従来では人 自 身が直接的に実 世 界 と同 サ イ ズのVR
空 間 にインタラクシ ョンするものであった.だ が RUI
では,RUI をVR 空間内に存在 させ ,そのRUI を八間
が操作す ること で インタ ラ クションする.
三つ目 は ,力覚提示装置 で使用す る アプリケーショ
ンの違いで あ る .従来のものであれば,その装置の形
状・
使 用 法 に沿ったアプリ ケ ーションを実行するしか
な か った.つまり,装置がペン型 と なっていればペン
と し て VR 空間にインタラクションするのみであった.
対 してRUI では,人間を投影 した RUI アバタがVR 空
間に存在 し,そのRUI アバタに様々なッールを 持 たせ
ることも可能である.これによって一つの装置に 対 し
て様セな ア プリケーションを 用 意 す ることが で き,装
置としての汎 用 性が高いことがわかる.
これ ら力覚 提 示方 法 とVR 空間に対す るインタラク
ション方法,装置の汎用性が,従来の力覚提示装置 と
RUI を力覚提示装置と し て 使 用 す る 上 での大きな 違 い
であると考えられ る.
214 VoL1 アNo .
2
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ノクユー
ザイン タ 7エース の 研 究
3.RUI 構 成
力覚提示装置 と し て 使 用 叮能 な ロボ テ ィックユーザ
インタフェースー
RUI 一
と して,
RobotPHONE がある.
8].
RQbotPHONE は対称型のマスタース レ ー
ブ 制 御を用い
ることで,
遠 隔地 に 離れた二対のRobotPHONE を繋
いで形状同期を行 うこ と が で き る ものである.
こ の RobotPHONE を用いることで,遠 隔 地 の人同
frがお.彑いに力 を 伝え合ったり,ジェス チ ャを用 いた
コミュニケーションを可能 とする.
このRobotPHONE に対し て 今回製作するRUI は,
実 肚 界 に存 在 するRUI と,
PC 内の物理モデル世界に
存在す るRUI アバタ と を繋いで形 状 同 期 を 行うも
の,
と言うことが で きる.
「保持型」のRUI は.操作者 が RUI を 両 于
・
で持ちな
が ら 操 作 し,情 報 世 界と イ ンタラクションを行 う た め
のものである.このた め に最低限必要な 自 巾 度 を満 た
すものと し て,上半身のみで片 腕 が2臼由度 ,両 腕 で
合計4臼由度 と設定した.
RUI は ア バタ と 形 状 同 期 を行 うものであリ,RUI の
図2 RobotPHONE の形状同期
カ
⇔
⇔
形状
幽
← レ
形状
図 3 RUI の形 状 同 期
上一
RobotPHONE 「
一
提案す るRUI
7.9
関節角の検出 と関節の駆 動 を 行 う こ と が 必 要である.
今回は,関節 角検出用のボテンショと関節駆 動用 のモ
ータ が 一つのユ ニ ットと し て構成され ている サ ーボモ
ータ を 改 造 して利用することで,簡単な機構 での実 装
を可 能 と し た .
また.
今回の保 持 型RUI は両 手 で持ちながらRUI の
関節を動か し て 操 作 す る と同 時に,
RUI を持 っている
手を通 して人は触 覚 や 形 状 情 報 を 得ること が でき,RUI
白身の形状や動作 を冖で見 る ことで 視 覚情報 を 得 る こ
とが で き る .よって,関節動作時に抵 抗 が 少 な くバッ
ク ド ライバビリ テ ィを有す るサーボモータを選択,RUI
の操作性や身体性 を失わないように全 体 の各パーツ の
寸法 を 設定,外 観 を 考慮して機構を縫いぐるみ内に内
蔵 させるといった実 装 を 行 った.
RUI の各関 節 には市販の小型ラ ジ コンサーボ(
Gws
製MICRO −MG ) を 改 造 した ポ テンショ内蔵 の小 型 ギ
アドモータを使 用 し た .そのモータは,駆 動 用に自作
のサーボ回 路 を 使 用してPWM 駆 動 と し,ワンボード
マイコンを使 用 し て 制 御 を 行 う.
そ し て ,
RUI とPC 内
のRUI アバタは,
ポテンショの値を利 用 して各関 節 を
動 作 させ,形状同 期 を 行 う.
今同製作 した RUI の寸 法 等の仕様は次の通りであ る.
腕パーツ の 長さが94mm ,体の幅が76mm ,両 腕 を 広 げ
た状態での右腕の先端 か ら 左腕の先 端 ま での長 さ が 267
mm ,腕の関節から先端 まで(
腕関節のサーボヘッドの
中心から腕バーツの先 端 ま で ) の長 さ が70mm と な っ
ている.また,重量 は260g ,各関節のモータの減速比
は410分 の L提 示 冂∫能反力は6.4kgf ・
cm となってい
る.操 作者がRUI の関 節 を 曲 げ る と き に 必 要 な ト
ルク
は測定の結果,0.69kgf
・
cm であった.若干,操作時
に重さを 感 じる もの の 大入から子 供 まで レ分 操作・
∫能
なバックドラ イ バビリ テ ィである と 考 え られ る.
RUI は 操 作 者に対して力覚提 示を行えるものであ る
.
実 際 に製作し た RUI において ど の程度の力提 示が可 能
で あ る か ,サーボ に 入 力す る電流 値を変化 させて発 生
し た トルクの測 定 を 行 った.な お ,サーボ駆動用の電
源はDC6V である.
測定の結果,
410 分の1という大きな減速比のサーボ
図4 製作し た RUI
左一
内 部 機構 右一
外 観
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80 知 能 と情 報 (
凵本知能情報ファジィ学 会誌 )
図5 製作 し た RUI 寸法 (
上面図)
3.e
図6 製作 した RUI 寸 法 (正 面 図 )
ハ
唐2,掛
整
S1
,02
o.o
竃流値 伽《
)
図7 電流値とト
ルク の 関係
であ るが,図7のように概ね電流値 とトルクの比例 関
係を得 た .また本システム に お けるト
ルク提示の幅は
約0,7〜2.7(kgf ・
cm )
である こ ヒ が 分 か った.
4.物理モデル
4.
1離散時間系運動方程式
コンピュータ で 物 体 の運 動 をシミュレートする 場 合
に は ,運動方程式 を 離散的に解 く必要がある.今 囘 は,
リアルタ イ ム処理に適 し た方法 と し て オ イラー法を使
用 し た .
また,今 回 製 作 す る物 理 モ デルは,RUI を通 じ て情
報世界において静 止 している物体 ではな く,何らかの
動 作 を 行 っている物体 に対し て インタラクションが可
能であ る ものとして,今 回 は 二 次元平面内で並 進 ・
同
転運動を 行 う物体に対し て インタラクションが可 能 で
あ るエア ホ ッケーを選択 し た .
このエア ホ ッケーで は ,パックは薄い円 盤 と し て 二
次 元 平 面 で 並 進 回 転 を 行 っているもの と する.ストラ
イカーはパック と 同一の二次 元 平 面 に お いて,RUI モ
デル の 腕の根元から先端 までを 半 径 と した 円 周 上 を,
RUI の腕 を 左 右 方 向 に動作さ せ る サ ーボのポテンショ
値に従って動作する.ま た ,RUI の関 節 制 御 はP制 御
で行 う.ストラ イ カーがパック に 衝突 した 時の操作者
への力覚提示 に 関し て は ,今回製 作 した保持型 RUI の
腕の機 構 は直交し た 二 軸リンクのため二次 元 方 向 への
力覚提 示 は 行 え な い.よって,ストライカーの円 軌 道
の接線方向に対し て スト ラ イカーがパックか ら 受け る
力を求め,その力の値に応じ て RUI の左右方向に動 作
する サ ーボの動作 目標 値 を 設 定 す る.その目標 値に従
ってRUI の腕 を回転させ ることで,操作者 に対 して力
覚提 示 を 行 う.
エア ホ ッケーの物理モデルを製作す る Lで,剛 体 で
あるパックの運動方程式が必要となる.パックの二次
元の回転・
並進 の運動方 程 式 を解 いた結 果 として得ら
れた,以下の(
1》
〜(
6)
の6つの式 を 用 いてパックの運
動の計算 を 行 った.
x(
t十dt)
=
x(の十vx (
t)
dt
y(
t+dt>
=y ω + z竺
・ω4’
vx (t+dt)
−v。(
t)
+Lt°SLe
dt
m
VN (t+ ・
・
)
−v・
・
(
t)
≠留
%
θ
(t一
トdt)
=θ
(
t)
+ω(
t)
dt
F2 ×r
ω(t十dt)
=ω(
t)
十 dt
I
(
1)
(2)
(3)
(
4)
(
5)
(
6)
4.2 反 発 運 動
パック が 壁 や ストライカーと衝突すると,パック は
反発運動を 行 う.物 体 の運 動 シ ミ ュレータにおいて,
物体同十の反 発 運 動を 計 算す る場合 に利用 で きる手法
として,大 別 して三つの剛体運動の シ ミュレーション
216 >oL1アNO .
2
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保持 型 ロボ テ ィックユー
ザインタ7エースの 研 究 81
手法が提 案 さ れ ている.
1つ口は,剛 体 間 に働く
接触力 を 解 析 的 に解 く もの
である[
9].運動方程 式 と拘 束 条件か ら 接触力 を 解 く手
法であ り,お.互いに侵入しな いという剛体 の性質を正
確に再現する が ,シ ミ ュレーション時において同時に
多 数 の接 触 が 起 こる場 合に多くの計 算 量 を 必 要 とす る.
2つ目は,剛 体 が衝突す る際に発生する力を撃力に
よって衣 現 す るものである[
10
].衝突時に2物体に働
く撃力によって抗 力を表現 す る手法であり,衝突が発
生 し た 時 刻 を 求 め,2物体問の衝 突 を 順 に処 理 す る.
こ の 下
.
法 は .1衝突の処理にかかる計算時間 は 短いが,
衝突を順番に一つずつ処理するため,矩時間に多数の
剛体の衝突が起こ る 場合に は 多 くの計算時間 を必要と
する.なお,一般 的 に こ の手法は撃力べ一ス法 と呼 ば
れている.
3つ目は,バネ・
ダンパモデルを用いて衝 突 時 に働
く力 を求める于法 :
11
]
である.これ は ,物体間で衝突
が起 き た時,拘束を侵 し た 物 体 に拘束を 侵 し た 量 に応
じ て ,ペナルティと して拘束 を侵 し た 物 体 に力 を与え
る.こ の 力をeJ.
えて反発運動をさ せ ることによって拘
束違 反 を 解 消 す る .ま た こ の 手 法 は,1ステップあた
りの計算量が少 な くてすむ.なお,ペナルティに応 じ
て力 を与えるた め,こ の 手 法 はペナルティ法 と 呼 ば れ
ている.
リ ア ルタイム で 物体の運動 をシ ミ ュレーションする
場 合 には,一定期間のシ ミ ュレーション が 一定時 間に
反力パック
ck 壁
図8 ベナルティ法
力
図9 パック と スト ラ イ カ ーの反 発
呷
、
・
勢
ア
’
輒訟』
伊
RUI アバタ
腱.
さ
ア
遮
ライカー
台
「
綻
’
図10 エア ホ ッケー物理 モ デル
静、
,,t鬱
収ま ら なければならない.1,2の手 法 で は 計算時間
が多大 になる場合や,大 き く変 動 す る場合がある.つ
まり,この二つの手 法 は リ ア ルタイムシ ミ ュレーショ
ンに は向かない手法であ る と言える.
よって,
1ステップあ た りの計算量が少な くてすみ,
リアルタ イ ムシ ミ ュレーションを 行 う kで適している
と思 わ れ る ペナルティ法 を 使 用 して,物俸衝突時の反
発 運 動の計算を行 った.
5.運動ルーチン の 高 速 化
物体同士 が 衝突し た 時の反力計算にペナルティ法 を
使用 し た が ,ペナルティ法 を 使 用する 上 で ,ブ.
ログラ
ム内で運動を行 う 時 間 間 隔 を短 くす る必要がある.何
故なら,運 動 を 行 う時 間 間 隔 が長いと物体の侵 入 量 が
大 き くな りすぎ,物体に加 え る 反 ノJも 大 き くな り すぎ
て し まって反発の表現が不安定 となる か ら で ある.よ
ってt運 動 ルーチンの高速化が 必 要とな る.運動ルー
チンをどれだけ 高 速 化 させ る か の目安 としては,安 定
的に物 体 同 士 の接触を表現できる最低限の目安 と し て
の値であるlkHz (運 動 の時間間隔がlms )
とする口2].
また,運動ルーチンのサンプリングレート
がlkHz よ
りも高く な る ほ ど ,よ り硬 い物体の力覚を提示するこ
と が 可 能 とな る .これ を 受 け た 力覚提示装置に関 す る
既存の研 究 として,よ り 高い史 新 レートを実 現 さ せ る
こ と を 目的 と して赤羽 ら[
13]
は,PC と力覚提示装榿の
中間層にハプティックコ ン トローラを配 置 す ること で
1kHz という高 速 制 御 を 実 現 し,より硬い物体の丿」覚
提示に成功 した.これ を考慮 し,1kHz よ1
)
一一
桁Elpl
る10kHz への高 速 化 を 目標 と し,
最低 限でも1kHz の
高 速 化 を 目指 した .
なお,エ ン タテインメント分 野への応用 を 鑑 み出来
るだ け一般 的 な環境 下での高速化 を目指し,リア ルタ
イムOS は用いずWindows 系OS ヒで 使え る 手 法を考
2005/4217
N工工一
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Fuzzy
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82 知 能 と情 報 Ul 本知能情報ファジィ学会誌)
表2 高速化手法 1で 使 用 したPC
PC 名CPU メモリ ビ デ オ カ ード
Celeron 無し
Singlel
I1 .4GHz382 .48MB36 .0{IMB
GeForce4
CelerQn
Singie2 1、4GHz383 ,48MB Ti4800124
,38MB
GeForce2
P−III
DuaU800MHz ×2255 、48MBMXIOO /
20
5 59 .12MB
RADEON
AしhlonMP
Dua12 510.98MB 9200SE
2400 十x2 E
60,28MB
案,実装し,実 験 を行った.
実験には,os は 全 て Windows2000 で,メモリ,ビ
デ オ カ ードやCPU 数の異 な る複数のPC を 使 用し
た.
PC 名はCPU が 二 つ の 場合 Dual1,CPU が・
一
つの場 合
はSingle1というように お いた.
一つ冂の高速化手法 1として,計算 と描 画の処理を
分 担 ・
並列に行えるよ う に,マルチスレッドと ミュー
テックスを 使 用する手 法 を 実 装 ,実 験 を 行 った。実 験
方法と し て は ,描画と計算 を同時 に行うプ ログ ラ ムを
実 行 し,計算処理 に 関して1ループ毎にかかった時 間
を計測 した .計 測 した データは,1ループに か か った
時間が1ループに設定した 時間の倍の200μs以上をエラ
ーとみな し,そのエラーの総数を総データ数で割った
結果 をエラー率と し た .また,力覚提示に最低 限必要
なサ ン プリングレートを 1kHz と し て,
ループにlms
以Lかかった場合は別に算出 した .
こ の 高 速 化 手 法 1では,
SingleCPU のPC ではなく
DualCPU のPC を使 用 し た場 合 に,大幅な速度の向 上
が見られ た.
二つ目の手法は 予法 1よL
) も
,よ り一般 的 な 環 境 一
ド
での実装を考え て SingleCPU のPC での高速化を目指
し た .手 法 として は ,プログ ラ ム内に お いて描 画 を 更
新 す る 時 に,前回の描 画 更 新 か ら の経過時間を計算し,
その掛かった時間に相当 す る回数だけまとめて運 動 処
理を行 うものである.この手法 2により,物理モデル
の運動に関しては1kHz の高速化は・
丁能になった と 言
える.
力覚提示は描 画の更新 レートに依存して お り ,本シ
ステムでは一般的なレート
である60Hz と し た .
ここで,
力覚提示 は 力覚演算の連続性 とその提示タイミングの
2つ の 要素に分けられる.丿」覚演算の連続性 は 先 の赤
羽 ら の論 文 に報 告 さ れ ているように対象物体の硬さの
正 確 な 提 示 に必要であり,1kHz 以Eに て 制 御 を 行 う
ことが必 要 で あ る.しかしな がらその提示 タイミング
は視覚や聴覚等他の感 覚 統 合 に関 わ る 問 題 であ り,視
覚提示 の 吏新レート に よ る 60分の1秒程度のずれがあ
っても違 和 感 は少 な くなっている.
ま た,高速化手法 2とペナルティ法 を使 用 した物理
モデル内で,物体同士の衝突 ・
反発運動に関しての精
度 を測 定する実験 を行った.
実験内容は,
一次元運動の み を行 う二つの円盤 を 用
意し,静止 し て いる一つの円 盤 Aに対し,あ る 初速度
を 持 ったも う一っの円盤 Bを 円盤 Aに衝 突 ・
反 発 さ せ
る物理モデルを製作す る.そして,衝突前 と衝突後の
[ト →ロ
ー→口描画演算
→驪 斷 囓醗「→ 噸驪力覚 演 算
77 隔
力覚 提 示
一一→レ時間
H
l6.7ms
図12 高速化手 法 2
Dual2 (
F>0
D凵alKF )
匚1呂鶚f上1
麻列
Duall [ = コ
靂
、、
。。 ,,
,
,
−
y、、,gl,2(
,、
[
一= コ
s.1oo5
Sl・gl ・1(F)
〔:エ= :コ = := Cti
it:二 = = :xe コ
57o99
S…・gl ・1(
W)
[ :エ= = こ 二 :∠±土 = = コ
0 0、5 1.0 1.5
エラー
率(
%
)
図11
高 速 化 手 法 1の結 果
勿
≧o.10
彦
護
α ・
0.0
円盤Bの初速 度 (
m/
s)
図13 ペナル テ ィ法 を 用 いた物体 同十 の衝突反発運動
に お け る 運 動景の関 係
218 VOI
.17
NO .2
N工工一
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Fuzzy
Theory
and
intelligent informatios
保持型 ロボ テ ィックユー
ザインタフェー
スの研究83
全 体 の運動量か保存 されて いるかの計算を行った.計
算結果は以一
ド
の通り で ある.なお,円 盤 Aの質 量 は40
g,円盤Bの質量は120g と設 定 し た .
結果 より,離 散 的 に物体の衝突反発計 算を 行 ってい
るにもか か わ ら ず,解析的に計算 を行った 場 合と同 様
に物体同上の衝突反発連動の前後で全運動量 が 保存さ
れていること が 分 か る .よってペナルティ法 を使 用 し,
高速化 r
ト法 2のように運動ルーチンを高速 化 させるこ
とで,正確な運動を行う物理モデルを製作できる と 考
え ら れ る.
また,バネ・
ダンバモデ ル を使用 し て いるペナルテ
ィ法で は ,バネ定数とダンパ定 数 ,物体の質 量 ,運 動
を 行 う時 間 間 隔 ,といった設定値に従って物体同十の
衝突反 発 運動が行わ れ る .よって,物体同 上の反 発 係
数 を設定することは難しい.し か し,前 述 した よ う に
ペナルティ法では全運動 量 が保 存 さ れているた め,衝
突反発運動の結 果 か ら 物 体 同 十の反 発 係 数 を 求 めるこ
とができ,今回の 二 つの物体間の反発係数 は約0.75と
求め ら れ た .
6.マ ル チユーザ 型 の実 装
エンタテインメント分 野 にお け る マルチユーザ型 を
用いた ものと しては,同.一
の場にいる複数人で協力や
対 戦 を 行 う もの,ネットワーク を 通 じ て 遠 隔 地にいる
複数 人で行 う MMORPG といった もの が 挙げ られ る .
マルチユーザ型のアプリケーションは,ただ情報 世 界
に対 してインタラクションを 行 う だ け でな く,情報 世
界と通 じて他 者 とのコミュニケーションを同時に行 え
る と いう点 で,シ ン グルユーザ 型 に比べてよ りエンタ
テイメント性 を 向 Eさ
せる と考 え ら れ る.よって,本
システムに お いて も マルチユーザ型の実 装 を 行 う.
まず,物理モデル内のRUI アバタ と、実世界のRUI
を各二体用意 す る こ と で ,二八同時の対戦を可能と し
プレイ ヤ ー1
力
⇔
<→
形 状
プレイヤー
2
宀
く→
形 状
PC1
PC2
図14 ネ.
ソトワーク対 戦 システム構成
た.さ ら に,
一台のPC に 二 つのRUI を繋 ぐのではな
く,
RUI とPC を各二台用意し,
二台のPC をネットワ
ークで結ぶ こ とで,
二入でRUI を用いたエアホッケー
の対戦を可 能 と し た .
PC 間の通 信 にはDirectPlayを
用いた.パックの運動や反発力の計算は サ ーバー
側の
PC のみ で 行い,
ク ラ イ ア ント側 では,
RUI の関節角の
情報のみをサーバー側に通信する サ ーバークラ イア ン
ト シ ステムを 用 いている.
今 回 は,
ローカルネット
ワーク内の2台のPC でサー
バークライアントシステムの実 装 ・
試 験 を 行 ったが,
この結 果 ,描画の史新 レートは サ ーバー
側では約60Hz ,
クライアント側 で は 約5811zであった.クライアント側
で若干描 画の更新 レートが低下 した理由としては 次 の
ことが考え ら れ る.今回の実装したシステム に おいて,
クライアント
側ではサーバーか ら 受信す る デ ータに関
し て ,過去の受 信 データ を 全 て 破棄してか ら最 新 のデ
ータを取 得 し,その後描画を 行 う と いう処理を行って
いる.こ の 過去の受信データを全て破棄するという処
理により,ク ラ イアント側で描画の更 新 レート が 若 干
低下し た のだ と考え ら れる.操作性や力覚提示に関し
て は ,
サーバー側,
クラ イ アント側に繋いだRUI 共 に ,
シングルユーザ型の時と比較して主観 的 に変化は感じ
られなかった.しか し,グローバルネットワーク内で
2台のPC を 用 いる場 合 には,通信における時間遅れに
よって,RUI とRUI モ デ ルと の 形状 同期や力覚提示に
おいて影響が出ると考え ら れ る .
また,映像のみではな く音 という聴 覚 に 対 する 出 力
を 用 意 す る こ とで,臨場感 を 高めること が できるの で
はないか と 考 え られ る.そこで,背景音 とバック が ス
トライカーやエアホッケー台の壁と衝突 した時の衝突
音を用 意 し た .衝突音は物理モデルに従って音の大 小
を 変 化 さ せることで現 実 感 を増 す よ う に生 成 して いる.
7.結 論
情報 空間内でアパタ が 受 け る 力 を物 理モデルにより,
実時間で計算することを可能とした.また,計算値 に
比例した値をRUI のサーボ動作の目標 角 に設定して 動
作させることで,力覚提示を可能と した.
以 上 よ り,
RUI を使用することで従来にはない入 と
同様の身 体 性 を持 った 保 持 型 の力覚提示装置 を開発 し,
エンタ テ イ ンメントの分 野 においての試 験 的 実 装 を 行
うことができた.
従来のゲームで は ,情報世 界 内 のアバタを含ん だ 物
体の運動に関する物理計算 はあいまいな ものであり,
操作者に対 す る出力としてはジョイス テ tックの振 動
や抵抗感といったもので しかなかった.近年,オ ブ ジ
ェクト
の運 動 に関して綿密 な 物 理計算を行 う ゲームが
2005/4219
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Fuzzy
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intelligent informatios
84 知 能 と情 報 (日本 知 能情 報 ファジィ学 会 誌 )
増 え てきた が ,これを活かす出力装置が無いため に 依
然と し て 振動等でしか出 力 が行われていない.今回試
験的実装を行った よ うにRUI を入出 力 装 置 と して使 用
すると,物 理 モデル の 計算結果 を忠実 に力と して表現
す る ことが可 能 とな る.そ れ ゆえ物 理 モデルが 正 確で
あ る 程,
RUI の有効性が 活 か せ ら れ る と 考 え られる.
今 回 試 験 的 実 装 を 行 ったRUI で は ,
モータとギアによ
る関節駆 動のた め に 提示 で き る 力の範囲と精 度 に制 約
があったが,今後駆動に精度のよいギアを用いるこ と
や,ワイヤー減速機 を用いることで正確 な 力 提 示 を 可
能とすることが出来る.また,RUI という操作者とは
「
サイズ が 異なる」 イ ンタフェースに お いて,提示す
る力の絶対量は計算量のま ま返 す ことが良いのか,ど
の程度変 化 さ せ た 方が臨場感の向.Eに繋が る の か とい
う問題が考え ら れ る.
また,本研究の手 法 で は ,操作者への力覚提 示に お
け る更 新 レート
の高速化 に関する問題,情報世界への
インタ ラ ク シ ョン の 方法として,RUI モデル に 近づい
てくる物体に対し て インタ ラ ク シ ョンを行 うのみであ
りt操作者 自身が情報世界内 を自内に移動し て 様々な
物体へのインタラクションが不可能 という問題等が発
生 した.高 速 化 に関 してはPC −RUI 間の通信速度の向
ヒ,インタラク シ ョン方法 に関し て は RUI モデルを情
報世界内で移動さ せ る た め の入力方法の考案 ・
実装,
対応す る物理モデルの開発によって解決できると考 え
られる.
Lユ]
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集,pp351 −354
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2002.
(
2004年9月16日 受付)
(2004年12月21凵 採 録 )
[連 絡 先]
〒182−8585 東京都調布市調布 ヶ丘1−5−1
電気通信大学大学院電気通信学研究科
知能機械工学 専攻 稲 見研究室
清水 紀芳
TELIFAX :0424−43−5532
Email :shilnizu @hi.mce .uec .ac ,
jp
220 Vol
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Sooiety
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Fuzzy
Theory
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intelligent informatios
保持 型ロボ テ ィックユー
ザインタフェ
ース の 研 究 85
著 者 紹 介一・.−
Lみ ず の F
〕よ L
清水 紀 芳 「
非会則
2004年電 気通信大学電気通信学部知
能 機 械 L学 科 卒業 .同年,同大学大学院
電気通信学研究科 知能機械 工 学専攻 に 入
学.現在に至る.
ヒュー
マ ン インタフェー
スに 関 す る 研 究 に従事.冂本バー
チャル
リアリテ.
イ学 会 学 生 会員 .
マぎ
も と : き
杉本 麻 樹 卩 陰 則
2〔)OO年干葉工 業 大 学 ⊥ 学部 電 子 ⊥ 学
科卒業,
2002 年 同大学大学 院 .11
学 研 究科
博士前期課程情報⊥学専 攻 修 了.同年か
ら2003 年まで科学技 術振興事 業 団戦略的
創造研 究推進事業 「
協調と 制 御 」 領 域 グ
ルー
プメ ン バー
.2003年10月から電 気 通
信 大 学大学院電気通 信学 研究 科博.ir
後期
課程機 械制御工学 専攻.主に非 言語情 報
を 利 旧 し た ヒ ュー
マンインタフ ェース に
関する研 究 に従事.H本学術振興会特別
研究眞.日本バー
チャルリア リティ学 会
会員,
A.
ム4
・
也
雛
直
嚇
泉
ポ
2004 年 @電気
iditl亨大
’
1
}
’:電
な
丸
」由{
i
.
1
’
」
?
,:菖B知
能機 械 工学科
・ 卒業.
iii
]年.同メ
こ学大学
寛気通信学研 究科知能 機械1:
学 7攻
入‘
了 : ,現 在に至る.主に
ロボ. ソト を
用 し たヒューマンイン
タフェース に
する研究に
従事
.冂本 バ ー チ ャ ルリ
リティ学
学
生会
員, に
ひ で あき 新居
明 :」陰員 : 1993 年 東京
工
業大学
大 学
徒[1.
1:学科卒業.1995 年
同
大
学
大学院
Il ‘』 }・
研
究科 博 上 課稈liil 期
課程制御
wt ?攻f[多∫. 同 年(株}ト キ メ ノ ク
朴.2003 年4月同礼退
社後(株
)テック
キスパーツ入社 .2003 年10 月 竃 気
信人学 大」1≧院電気通 信学 研究 科
士後期課程機械 制 御
匚学専攻 に 入 学 , 現
に至る.
i{
に光を利用 し た通信やヒ
. 一 マ ン イ ンタフェー
スに関する研
に従事.日 本バ
チャルリ
ア
テ ィ 学 会 学 生 会
.dtt .h
さぐら だ
い ろ く関 ロ 大 陸 [ 非 会 員
2DO1 年東京大 学 大
学院工学系研
科博上課程修ゴ,博十(工学}. 同年よ
科 学 技 術 振 興事
業団研 究 員 . 200
N東 京 大学入学院情 報理[1学系研
科 助 手となり現在 に至る.ネットワ
ク ロ ポ テ ィス
よびテ
レ
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ジスタン スに関
る 研 究に従 事
d魯」 Lt,
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ま
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稲見昌彦 卩
陰
則
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N 東芽 く ユ:
業
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’ ; ’ , ノ虹 命 理 .1:
幽f’剖∫{k物.r学科卒 業.19
年 同
大
学院生
命理.1: 学研 究科
バ
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厚攻修}:課
l參r.1999 年
東 京大”i’二二1
二
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系 研究手 斗 先 端学際工 学専 攻 博 . }二課程 修
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.王: { . . 丁: 学 ).同隼
よ
20D1 年8月まで東京丿く 学 国 際・
産
学
共
同
研
センターリ サ ー
チ ・ ア ソ シ
エ
イ
ト.20〔且年
獅謔闢結枳!1}:,k学院
情 報 理
二 学系 研究科助丁 ..20 (
13 年4
よリ電気 通 信大学知能機械1二
学科講 師
なり 現在に
至る.ロ ポ.ノト及び バーチ
ャ
ルリアリテ ィ
の研
究
に
従
.事.
IEE
COIIIputer S【
)ciety ,
1青幸艮処王里
t;’:
会
,
日本ロポソト
学
会.日本VR学
会, f]
本VR医 学会 各会
員
.
Teddy bear −like Robotic User InterfacebyNoriyoshi SHIMIZU
Naoya KOIZUMI , Maki SUGIMOTO , Hideaki NII
Dairoku
SEKIGUCHI,
Masahiko INAMIAbstract : Robots have chiefly been
considered as lnachines that pe
orm work {n the place 〈)f human beings .
such asindustrial robots「However,
a rQbot can be
used as
an interface
be
een
the rea1 、vorld
and the information world
.This concept
can
be referred to
as
a
Robotic User Interface (R
>
.In this paper , we
propose
a RUI as a hapticfeedback interface . We can
illteract
with
information world by usi
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