肺癌の中でも, 肺小細胞癌は予後の悪い癌として知られ, その原因は早期の転移, 浸潤にあると考えられている. 小細胞肺癌としてH69, N231, Lu135, Lu143, 非小細胞肺癌としてPC7, PC9, PC14を用い, 細胞外基質 (laminin, fibronectin, type IV collagen, Matrigel) への接着と浸潤能を比較検討した. 非小細胞肺癌のlaminin, type IV collagenへの接着率 (3-18%) に比較して, 小細胞肺癌は高い接着率 (68-84%) を示した. しかしfibronectinでは差が無かった. Matrigelへの接着は, 小細胞肺癌とPC14が62-70%, PC7, PC9では6-22%であった. 小細胞肺癌とPC14の接着はRGD, YIGSRにより抑制された.浸潤実験では小細胞肺癌で高く,
... [Show full abstract] 非小細胞肺癌では低い浸潤能を示した. 小細胞肺癌の浸潤能はRGD, YIGSRにより抑制された. 以上より小細胞肺癌の接着, 浸潤への細胞膜上のレセプターの役割が示唆され, RGD, YIGSRを臨床的に応用することにより, 血行性転移の抑制が期待される.