早期発症型歯周炎は宿主一寄生体相互作用の概念から注目される。家族性に発症した早期発症型歯周炎の1症例に対し, 細菌学的ならびに宿主防御機能の面から検索を行った。38歳の母親は, 重篤な歯肉の炎症症状と進行した骨破壊を呈し, 重度進行性歯周炎と診断した。16歳の娘は, 歯肉の炎症はないが, 局所的骨破壊が進行し, 限局型若年性歯周炎と診断した。母のポケットでは, 桿状菌とスピロヘータが高率を占めた。娘のポヶット内も, 桿状菌の占有率は高いが, スピロヘータは少なかった。母娘ともに優勢菌はFusobacterium種であった。A. actinomycetemcomitansは検出されなかった。体液性免疫応答は, 母娘ともにA. actinomyoetemcomitans, B. gingivalis, F. nucleatumに対して高いIgG抗体反応で示された。好中球機能は,
... [Show full abstract] 母は貪食能において, 娘は貪食能と遊走能において低下があった。母娘の病態は酷似しており, 発症のメカニズムが同じであると推測される。