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Syntactically Basic Word Order of the Kaqchikel Maya Language: A Sentence Processing Study

Authors:

Abstract

Kaqchikel, one of the Mayan languages, is recognized as having the Verb-Object-Subject (VOS) order as its basic word order, similar to many of the other Mayan languages. In reality, however, the SVO word order is more frequently used than VOS, which comes in second by comparison. For this reason, Kaqchikel is often referred to as a language that is possibly shifting, or has already shifted, from a VOS to an SVO structure. We conducted a sentence processing experiment using Kaqchikel transitive sentences to verify whether the syntactically basic word order of Kaqchikel is VOS or SVO. The resulting data support a traditional analysis in which Kaqchikel’s syntactically basic word order is VOS, even for current native Kaqchikel speakers. That is, if indeed a part of the modern Kaqchikel community is currently shifting from VOS to SVO, this shift has not yet been reflected in the internal grammar of the majority of the native Kaqchikel speakers.
言語研究(Gengo Kenkyu143: 81–932013
【フォーラム】
カクチケル・マヤ語の統語的基本語順
文解析実験を用いた検討
金  情浩 八杉 佳穂 J E A S
東北大学 国立民族学博物館 Comunidad Lingüística Kaqchikel
L P O G M
小泉 政利
Comunidad Lingüística Kaqchikel 東北大学
【要旨】マヤ諸語の専門家の間では,カクチケル・マヤ語(Kaqchikel Maya
の統語的基本語順は,他の多くのマヤ諸語同様に,「動詞目的語主語(VOS)」
であるというのが定説である。しかし,SVO 語順のほうが VOS 語順よりも産
出頻度が数倍高いことなどから,カクチケル語は現在 VOS 言語から SVO
語に移行中である,あるいはすでに移行済みである,という可能性がしばしば
指摘されている。そこで,現代カクチケル語の統語的基本語順が VOS である
のか SVO であるのかを判定する文解析実験を行った。その結果,現在のカク
チケル語母語話者にとっても,
VOS が統語的基本語順であることが判明した *
キーワード:文理解,基本語順,カクチケル語,マヤ諸語,VOS
1. はじめに
 現代マヤ諸語のひとつであるカクチケル語(Kaqchikel)は,多くのマヤ諸語と同
様に,「動詞・目的語・主語」VOS)語順を統語的な基本語順に持つとされている
Rodríguez Guaján 1994: 200。しかし,実際に一番よく使われる語順は(話し言葉
においても書き言葉においても)
SVO であり,
VOS 語順の産出頻度はその次である。
このことから,カクチケル語は VOS 言語から SVO 言語に移行中である,あるい
はすでに移行済みである,という可能性がしばしば指摘されている(Maxwell and
Little 2006: 102。そこで,現在のカクチケル語の統語的基本語順が VOS SVO
のどちらなのかを心理言語学の観点から検証するために,文解析実験を行った。そ
の結果,現在のカクチケル語母語話者にとっても VOS が統語的基本語順であると
いう仮説が支持された。
 本稿の構成は以下の通りである。まず第 2節で,カクチケル語の文法的性質のう
* 本研究は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(S)「 OS 型言語の文処理メカニズムに
関するフィールド言語認知脳科学的研究」(課題番号 22222001,研究代表者:小泉政利)の
助成を受けて行われた。本研究を行うきっかけを与えてくださった角田太作氏ならびに査読
の過程で有益なコメントを下さった『言語研究』の編集委員会および査読者の方々に感謝申
し上げる。
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ち本研究にとって重要性の高い部分について概説する。次に第 3節で,カクチケル
語の統語的基本語順が VOS である場合と SVO である場合の文理解の際の処理負
荷に関する予測の違いを述べる。続く第 4節でその予測を検証する実験の手順と結
果を説明し,第 5節で実験結果に基づいて現代カクチケル語の統語的基本語順につ
いて考察する。
2. カクチケル語
 カクチケル語はマヤ諸語のひとつであり,キチェ語K’iche’)やツトゥヒル語
Tz’utujil)などと同じキチェ語群に属する。現在グアテマラやメキシコ,ホンジュ
ラスなどで 30 のマヤ諸語が話されており,そのうちカクチケル語を含む 21 言語
がグアテマラで話されている。カクチケル語の話者数は 50 万人∼ 100 万人程度と
推定されており,大多数がグアテマラの首都グアテマラ・シティーからアティト
ラン湖にかけての高地一帯に居住している(Tay Coyoy 1996: 55, Brown, Maxwell and
Little 2006: 2, Lewis 2009)。
 カクチケル語は,他のマヤ諸語同様,主要部有標型(head-markingの言語である。
すなわち,主語と目的語の名詞には両者を区別する格表示がなく,動詞に主語と目
的語双方の人称と数を示す標識が義務的に付加される。また,カクチケル語は能格
言語で,他動詞の目的語と自動詞の主語に同系列の一致標識(絶対格 absolutive
が用いられ,他動詞主語には別の系列の一致標識(能格 ergative)が使われる ¹。( 1
に示したように,動詞(述語)部分は,アスペクト・時制・モダリティーを複合的
に表す相形態素で始まり,[-絶対格 -能格 -動詞語幹 ]という配列順序になっ
ている(本論文では例文のグロスに以下の略号を用いる:CP [ 完了相 ]IC [ 未完
了相 ]Abs [ 絶対格 ]Erg [ 能格 ]1 [1 人称 ]3 [3 人称 ]sg [ 単数 ]pl [ 複数 ]
AF [ 行為者焦点 ]DET [ 決定詞 ]CL [ 分類辞 ]²
1 Y-e’-in-to’
IC-Abs3pl-Erg1sg-help
「私が彼らを助ける」
カクチケル語はいわゆるプロ脱落言語(pro-drop language)で,文脈などから同定
可能な主語や目的語の名詞句は通常発音されない(書かれない)。そのため,1
¹所有格の一致標識にも他動詞主語と同系列の標識が用いられる。マヤ言語学では,他動詞主
語と所有格の一致標識をセット ASet A,他動詞目的語と自動詞主語に用いられる一致標
識をセット BSet B)と呼んでいる。なお,動詞につく一致標識を代名詞とする分析や,接
語重複(clitic doubling)とする分析もある。
²グアテマラで話されているインディヘナ諸言語の表記のために 1987 年に政府決議 1046-87
によって正書法が定められた(Instituto Indigenista Nacional 1988。本稿ではカクチケル語を
表記する際にこの書記法を用いる。ウムラウトのついていない a, i , u, e, o は緊張母音を,ウム
ラウトのついた ä, ï , ü, ë, ö は弛緩母音をあらわす。また,は声門閉鎖音 [Ɂ]を,ch は無声歯茎
硬口蓋破擦音 [t]を,yは硬口蓋半母音 [j](ただし語末では無声化する)を,jは無声声門摩
擦音 [h]をあらわす。
カクチケル・マヤ語の統語的基本語順  83
だけで独立した発話・文として機能する。
 カクチケル語は,多くのマヤ諸語と同様,文法的に様々な語順を許すが,基本は「動
詞先頭(verb initial」である。2)のような(主語と目的語を入れ替えると意味を
なさない)いわゆる不可逆文の場合,VOS 語順の解釈も VSO 語順の解釈もどちら
も可能である。ただし,VOS 語順の解釈のほうが好まれる。
2
a. X-Ø-u-chöy ri chäj ri ajanel [VOS]
CP-Abs3sg-Erg3sg-切る DET
松の木 DET
大工
b. X-Ø-u-chöy ri ajanel ri chäj [VSO]
CP-Abs3sg-Erg3sg-切る DET
大工 DET
松の木
「大工が松の木を切った」
 ( 3a, bのような(主語と目的語を入れ替えても意味の成り立つ)可逆文の場合は,
VSO の解釈も不可能ではないが)VOS の解釈が圧倒的に優勢である。
3
a. X-Ø-r-oqotaj ri me’s ri tz’i’
CP-Abs3sg-Erg3sg-追う DET
DET
「犬が猫を追いかけた」
b. X-Ø-r-oqotaj ri tz’i’ ri me’s
CP-Abs3sg-Erg3sg-追う DET
DET
「猫が犬を追いかけた」
 ( 4)のように主語が動詞よりも前に前置されると,話題や焦点として解釈されや
すい。
4
Ri ajanel x-Ø-u-chöy ri chäj [SVO]
DET 大工 CP-Abs3sg-Erg3sg-切る DET
松の木
「大工 {/}松の木を切った」
その点で SVO 語順は語用論的に有標である。また,従来,SVO 語順の場合は,動
詞に行為者焦点形態素を付加したり動詞語幹に弛緩母音が含まれる場合はそれを緊
張母音に変更するなど,述語部分を特別なかたち(例:x-Ø-choy-on CP-Abs3sg-
-AF
「切った」)に変化させることが義務的であった。したがって,SVO 語順は
形態的な観点からも有標な語順であると言える。ただし,現在のカクチケル語では
4)の例のように動詞のかたちを変えずに(すなわち VOS VSO 語順のときと
同じ動詞のかたちで)SVO 語順をとることが可能になっている。
 以上のような理由,ならびに石碑などに残っている古い時代(主に 3世紀末から
10 世紀初頭まで)のマヤ語の基本語順が VOS であることなどから,多くの研究
者は現代カクチケル語の統語的基本語順は VOS であるとみなしている(Rodríguez
Guaján 1994: 200, Tichoc Cumes et al. 2000: 195, Ajsivinac Sian et al. 2004: 162)。
England1991: 480)によると,上記 3種類の語順の文は(5)のような統語構造を
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持つ。
5
a. [VOS]
b. [[V ti S] Oi]
c. [Si [VO ti]]
Aissen1992)はマヤ諸語の文についてより精密な統語構造を提案しているが,
VOS が統語的に最も単純な統語的基本語順であり,他の 2つの語順はそれよりも
複雑な統語構造を持つという点では,
England1991)の分析と一致している(Tada
1993: 101–119, Coon 2010, Preminger 2011: 23–84 も参照のこと)
 このように,マヤ諸語の専門家の間ではカクチケル語の統語的基本語順は VOS
であるとするのが一般的な見解である。しかし,使用頻度の観点からみると,話し
言葉においても書き言葉においても,VOS の頻度は 2番目であり,SVO のほうが
VOS よりも数倍頻度が高い(Maxwell and Little 2006: 102, Kubo et al. 2012。談話は
話題をつなぐ形で進行するため,主語が話題化された SVO 語順が多用されるので
あろうと考えられる(England 1991, Broady 1984, Skopeteas and Verhoeven 2009)。 ま
た,グアテマラで最も広く使われているスペイン語からの影響の可能性を指摘する
研究者もいる(cf. England 1991: 475。以上のように,SVO 語順の文のほうが VOS
語順の文よりも産出頻度が高いこと,ならびに SVO 語順をとる際に動詞の形を変
える規則が義務的でなくなってきたことなどから,カクチケル語は VOS 言語から
SVO 言語に移行中である,あるいはすでに移行済みである,という可能性も指摘
されている(England 1991: 473, Maxwell and Little 2006: 102)。
 要約すると,現在のカクチケル語について,VOS が統語的基本語順であるとす
る説と,SVO が統語的基本語順であるとする説とがある。おそらくそれを反映し
てか,World atlas of language structureHaspelmath et al. 2005: 333)ではカクチケル語
の基本語順を VOS としているのに対して,EthnologueLewis 2009)ではカクチケ
ル語を SVO 言語に分類している。
3. 文処理負荷の予測
 これまでの心理言語学や言語脳科学の研究から,各個別言語の統語的な基本語順
よりも,その言語の他の語順(=派生語順)のほうが理解や産出の際に脳内で作ら
れる統語構造(=統語表象)が複雑であるため,相対的に処理負荷が高い傾向があ
ることが知られている(Mazuka, Itoh and Kondo 2002, Miyamoto and Takahashi 2002,
Ueno and Kluender 2003, Kaiser and Trueswell 2004, Tamaoka et al. 2005, Caplan, Chen
and Waters 2008, Grewe et al. 2008, Kinno et al. 2008, Kanduboda and Tamaoka 2012)。
Marantz2005: 439)はこの一般化を次のように述べている。
‘‘[A]ll other things being equal, the more complex a representation ... [is], the longer
it should take for a subject to perform any task involving the representation and the
カクチケル・マヤ語の統語的基本語順  85
more activity should be observed in the subject’s brain areas associated with creating
or accessing the representation and with performing the task.’’
(他の条件が全て同じならば,表象が複雑であればあるほど,その表象を用
いて実験参加者が課題を行うのにより長い時間を要し,また,その表象を構
築したりその表象にアクセスしたりあるいはその表象を用いて課題を行うこ
とに関与する脳領域がより活性化するはずである。
理論的にも,Pritchett and Whitman1995)の Representational eory of Complexity
や,Gibson2000)のDependency Locality eoryHawkins2004)のMinimize
Domain など,代表的な文解析理論はすべて,統語的基本語順に比べてより多くの
埋語・空所依存関係(ller-gap dependency)をもつ派生語順のほうが,文解析の際
の処理負荷が高いという予測をする。
 文処理負荷に影響を与える可能性の大きいもう一つの要因は使用頻度である。
語彙レベルの処理では,使用頻度の高い語彙項目ほど検索に要する時間が短くな
る傾向があることが良く知られている。文レベルの処理においても語彙や構文の
出現頻度が処理負荷に影響を与える場合があることが報告されている(e.g. Trueswell,
Tanenhaus and Kello 1993。すなわち,よく使われる構文・語順ほど言語使用者が処
理に習熟しており,より速く正確に処理できる傾向があり,その前提をとりこんだ確
率論的な文解析理論も提案されているe.g. Jurafsky 1996, Crocker and Brants 2000)。
 以上のような先行研究の知見をふまえて,本稿では(6a, b)が成り立つことを仮
定する。
6
a.
他の条件が同じならば,単純な統語構造に対応する語順のほうが,複
雑な統語構造に対応する語順よりも,文解析の際の処理負荷が低い。
b.
他の条件が同じならば,使用頻度の高い語順のほうが,使用頻度の低
い語順よりも,文解析の際の処理負荷が低い。
 これら 2つの仮定(=議論の前提条件)をもとにカクチケル語の文処理負荷につ
いて考えると,統語的基本語順が SVO であるか VOS であるかによって,以下の
ように異なった予測がたてられる。まず,現在のカクチケル語の統語的基本語順が
SVO であるとすると,6a)も(6b)も,SVO のほうが VOS よりも処理負荷が低
いことを予測する。それに対して,もし現在でもカクチケル語の統語的基本語順が
VOS であるならば,6a)の統語的要因と(6b)の産出頻度の要因のどちらが文処
理負荷により大きな影響を与えるかによって 3つの場合分けが考えられる。まず,
もし産出頻度の要因のほうが統語的要因よりも文処理負荷に与える影響が大きけれ
ば,たとえ統語的基本語順が VOS であっても SVO のほうが処理負荷が低くなる
と予想される ³。次に,もし産出頻度の要因と統語的要因の影響が同程度であれば,
³カクチケル語などのように項の省略が可能な,いわゆるプロ脱落言語では,主語と目的語の
名詞句がともに顕在的に表れる他動詞文の頻度はそれほど高くない。たとえば,カクチケル
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両要因の影響が互いに打ち消し合って,結果的に VOS SVO の処理負荷が同程
度になるはずである。最後に,もし統語的複雑さのほうが産出頻度よりも文処理負
荷に与える影響が大きければ,VOS のほうが SVO よりも処理負荷が低くなると予
測される。以上の予測をまとめると(7)のようになる(A<B Aのほうが B
りも文処理負荷が低いことを,A=B は両者の処理負荷が同程度であることを,そ
れぞれ示す)
7
カクチケル語の文処理負荷の予測
a. もし SVO が統語的基本語順であるなら: SVO
< VOS
b. もし VOS が統語的基本語順であり,かつ
i. 使用頻度の影響のほうが大きければ: SVO
< VOS
ii. 使用頻度と統語構造の影響が同程度ならば: SVO
= VOS
iii. 統語構造の影響のほうが大きければ:
SVO
> VOS
これらの予測のどれが正しいかを検証するために,カクチケル語の他動詞文を用い
て文解析実験を行った。
4. 実験
4.1. 実験参加者
47 名のカクチケル語母語話者(女性 22 人,男性 25 人)が実験に参加した。最
年少は 19 歳,最年長は 58 歳であった。平均年齢は 30 9ヶ月で,標準偏差が 10
9ヶ月であった。47 名の参加者の出身地・居住地はグアテマラ中央高地の広い
範囲にわたって分布しており,特定の地域への集中はない。
4.2. 刺激
 カクチケル語の文法的で自然な意味の他動詞文を8のように 3種類の語順VOS,
SVO, VSO)に配列したもの 36 108 文をテスト文として作成した。テスト文はす
べて,主語に有生名詞(人間または動物)を,目的語に無生名詞を用いた,非可逆
文である。
語と同じキチェ語群に属しカクチケル語と隣接した地域で話されているキチェ語(K’iche’
では,顕在的な主語と目的語を持つ他動詞文が談話・文章に占める割合は(ジャンルによっ
て違いがあるが)数パーセント程度であるとの報告がある(Pye 1992: 234。カクチケル語で
も同程度であるとすると,カクチケル語における VOS SVO の出現頻度の差の絶対値はそ
れほど大きくはない。はたして,この程度の頻度差が文処理速度に影響をあたえ得るのであ
ろうか。語彙性判断課題などを用いた語彙処理の研究では,百万分の一のオーダーの頻度差
(例えば,出現頻度百万分の一の単語群と百万分の六の単語群)が反応時間や脳活動に影響を
与えることが繰り返し示されている(e.g. Embick et al. 2001。それを基準に考えると,文と単
語とでは出現頻度が 12桁異なることを考慮に入れても,カクチケル語の語順間にみられ
る数ポイントのオーダーの頻度差は決して小さくはなく,文処理に影響を与える可能性は十
分にあると思われる。
カクチケル・マヤ語の統語的基本語順  87
8
a. [VOS] Xuchöy ri chäj ri ajanel
切った 松の木 大工
b. [VSO] Xuchöy ri ajanel ri chäj
切った 大工 松の木
c. [SVO] Ri ajanel xuchöy ri chäj
大工 切った 松の木
「大工が松の木を切った」
その他に,文法的だが意味の不自然な 3つの語順の他動詞文 36 組をつくり,合計
72 216 文をカウンター・バランスをとって 3つのリストに分けた。さらに,各
リストにフィラー文 60 文を加えた。刺激文の文法性や意味的な自然さの判断は,
カクチケル語の母語話者である本論文の第 3著者と第 4著者によって行われた。
 テスト文に VSO 語順の文を含めたのは,比較の基準とするためである。すなわち,
カクチケル語の統語的基本語順が VOS であっても SVO であっても,VSO 語順は
統語的に派生語順である。また,使用頻度の観点からも VSO の産出頻度は 3番目
であり,SVO VOS よりも低い。したがって,6)の前提から,VSO VOS
SVO よりも処理負荷が高くなると予測される。
4.3. 手順
 パソコンを使って刺激文を呈示した。まず,スクリーンの中央に,+」を凝視点
として示し,1,000 ms 後に刺激文を同じ位置に 1文ずつ提示した。刺激文は,実験
参加者ごとにランダム化した。実験参加者には,呈示された文が意味的に正しいか
どうかを判断し,できるだけ速く正確に,
YES(正しい文)または NO(誤った文)
のボタンを押すように指示した(意味正誤判断課題)cf. Caplan, Chen and Waters
2008。刺激文呈示からボタンを押すまでの時間を反応時間として測定した。
4.4. 分析のためのデータ編集
 カクチケル語は標準化が進んでおらず,方言差や個人差が大きい(Patal Majzul,
García Matzar and Espantzay Serech 2000, Tema Bautista et al. 2004。そのため,実験
者が文法的でかつ意味的に自然だと判断した 3種類の語順の他動詞文 36 組のうち,
3種類の語順の平均誤答率が 30% を超えたものが 13 組あった。そこで,この 13
の刺激文を分析対象から排除し,残る 23 69 文のうち正しく肯定判断されたもの
のみを最終的な分析対象とした。その後,各実験参加者の条件ごとの平均反応時間
から標準偏差の ±2.5 倍よりも外れた値を境界値(平均 ±2.5× 標準偏差)で置き換え
た。その結果得られた 3種類の語順ごとの平均反応時間と誤答率は表 1に示した通
りである。
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1 平均反応時間と誤答率(M= 平均,SD= 標準偏差)
語順 反応時間(ms) 誤答率(%
M SD M SD
VOS 6295 2236 19.9 18.8
SVO 6306 2334 11.0 14.2
VSO 6953 2631 18.1 19.6
4.5. 分析の結果
 反応時間については,反復測定による分散分析の結果,語順の主効果が被験者分
析で有意であった [F1(2,92)=5.61, p<.005, F2(2,44)=0.09, p=.91]。ボンフェローニによ
る下位検定の結果,VSO 語順(M=6,953 ms)が SVO 語順(M=6,306 ms)や VOS
語順(M=6,295 ms)よりも反応時間が有意に長いことが分かった。VOS SVO
間には有意差がなかった。
 次に,誤答率に関して角変換後の値を用いて同様の分散分析を行った結果,語順
の主効果が被験者分析で有意であった [F1(2,92)=3.95, p<.05, F2(2,44)=1.40, p=.26]。下
位検定の結果,SVO の誤答率が VOS の誤答率よりも有意に低かった。VSO と他
2つの語順の間には差がなかった。
 反応時間に関しても誤答率に関しても項目分析では語順の主効果が有意ではな
かった。これは特定の刺激文が異なる傾向をみせたためであろう。
5. 考察
5.1. カクチケル語の統語的基本語順
 現在のカクチケル語の統語的基本語順が VOS であるのか SVO であるのかを検
証するために,3種類の異なる語順(VOS, SVO, VSO)をもつカクチケル語の他動
詞文を対象に文解析実験を行い,語順による処理負荷の違いを調べた。その結果,
VSO 語順が最も反応時間が長く,VOS 語順と SVO 語順の間には反応時間の差が
見られなかった。これは,7b-ii)の「VOS が統語的基本語順であり,使用頻度と
統語構造の影響が同程度である」場合の予測と一致し,7a)の「SVO が統語的基
本語順である」場合の予測とは異なる。したがって,この結果は,現在でもカクチ
ケル語の統語的基本語順が VOS であることを示唆しており,伝統的な分析と一致
する(Tichoc Cumes et al. 2000: 195, Ajsivinac Sian et al. 2004: 162。すなわち,もし
仮に現在のカクチケル語コミュニティーの一部で VOS から SVO への統語的基本
語順の変化が進行中であるとしても,それはまだ大多数のカクチケル語話者の脳内
文法には反映されていないということを意味する。誤答率については SVO のほう
VOS よりも低かったが,これは本研究の実験において統語構造よりも産出頻度
のほうが誤答率に大きな影響を与えたということを示唆するものであり,上記の結
論と矛盾しない。
カクチケル・マヤ語の統語的基本語順  89
5.2. 統語的基本語順と最頻出語順との相違
 主語が統語的に話題化されておらず中立的な文脈で用いられる統語的基本語順
VOS)と,主語が統語的に話題化されていて主に主語の指示対象が先行文脈で言
及されている場合に用いられる最頻出語順(SVO)とのズレは,カクチケル語だけ
でなく他の多くのマヤ諸語にもみられる。そのため,マヤ諸語を研究する際には,
統語的語順と語用論的語順を区別して分析を進めることが必要であるといわれてい
る(Broady 1984, England 1991。さらに,話題化によって主語が文頭に出る現象は,
マヤ諸語だけでなく他の OS 型言語(=統語的基本語順において目的語が主語に先
行する言語)でも報告されている。たとえば,Dixon1988: 242–251)によると
ボウマ・フィジー語(Boumaa Fijian)は,カクチケル語同様,VOS を統語的基本
語順に持つが,話題化によって主語が前置されると SVO 語順になる。
 一方,
SO 型言語(=統語的基本語順において主語が目的語に先行する言語)では,
統語的基本語順と最頻出語順の不一致は報告されていない。そもそも,英語のよう
に主語の話題化を示す形態・統語的手段を持たない言語では,このような不一致は
原理的にあり得ない。したがって,語順という観点からみると,この現象は OS
言語にだけみられる特殊なもののように感じられる。実際,言語類型論の研究では,
このことが「基本語順とは何か」を普遍的に定義しようとする際に重要な問題とし
てしばしば取り上げられている(Broady 1984, Whaley 1997: 100–105)。
 しかし,少し視点を変えてみると,「主語が話題化されておらず統語的に単純な文」
よりも「主語が話題化されていて統語的に複雑な文」のほうが使用頻度が高いとい
う現象は,韓国語や日本語などのように主語と話題を形態・統語的に区別する SO
型言語にもよく見られる。たとえば日本語の他動詞文では,9)に示したように,
話題化されていない主語には主格の格助詞「が」が,話題化された主語には主題の
係助詞「は」がつくのが一般的であるが,統語構造がより複雑なはずの後者のほう
が産出頻度が数倍高い(Imamura and Koizumi 2011)。
9
a. 大工が松の木を切った。 [S-ga O-o V]
b. 大工は松の木を切った。 [Si-wa [ti O-o V ]]
それにもかかわらず,[S-ga O-o V] [Si-wa [ti O-o V]] の処理負荷には有意差がな
い(佐藤・小泉 2012。おそらく,カクチケル語の VOS SVO の場合と同様に,
統語的複雑さの要因と使用頻度の要因が相互に打ち消し合った結果であろうと思わ
れる。
 以上のように,マヤ諸語などにみられる統語的基本語順と最頻出語順の不一致は,
主語が話題化されておらず単純な統語構造を持つ文よりも主語が話題化されていて
複雑な統語構造を持つ文のほうが使用頻度が高い,という捉え方をすれば,SO
言語にもみられる現象であり,OS 型言語にだけみられる特殊な現象ではない。今
後は,このような統一的観点からの研究が望まれよう。
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5.3. 刺激呈示方法
 本研究の実験はカクチケル語を対象に行われた世界で初めての文解析実験であ
り,その結果の解釈には慎重を要する。今後さまざまに条件を変えた実験を積み重
ねて,本稿で示された暫定的な結論をさらに検証してゆく必要がある。特に懸念さ
れるのは,本研究の実験で視覚呈示を用いたことである。文解析実験の多くは,刺
激の統制が容易であるなどの理由で,刺激文を文字で呈示している。本研究でもそ
れに倣い,刺激文を視覚呈示した。しかし,カクチケル語は主に日常会話で用いら
れている言語であり,書いたり読んだりされる機会は多くない。そのため,カクチ
ケル語母語話者でも,カクチケル語の読み書きに慣れている人は多くない。本研究
では,カクチケル語の読み書きに比較的慣れていると思われる人たちに実験参加
者として協力して頂いた しかし,実験結果として得られた一文の平均反応時間が
6000 ミリ秒以上と長く,同種の実験を日本語や韓国語で行った場合に得られる平
均反応時間の数倍の長さであることから考えると,本研究の参加者達が必ずしも読
解に十分習熟しているとは言えない。今後,聴覚呈示を用いた同種の実験を行い,
その結果と本研究の実験結果とを比較する必要があろう。
6. まとめ
 現在のカクチケル語の統語的基本語順が VOS であるのか SVO であるのかを検
証するために,カクチケル語の他動詞文を用いた文解析実験を行った。その結果,
カクチケル語の統語的基本語順は VOS であるという伝統的な分析を支持する結果
が得られた。スペイン語の影響などでカクチケル語の統語的基本語順が VOS から
SVO へ変わりつつあるという可能性が指摘されているが,今回の実験ではその可
能性は立証されなかった。
 なお,本研究の目的は,心理言語学の観点から現代カクチケル語の「統語的基本
語順(=最も単純な統語構造に対応する語順)」を検証することであり,他の観点
からみた場合にカクチケル語の基本語順が何であるかや,そもそも基本語順とは
何か,などについて論じようとするものではない。したがって,本研究の結果か
ら,World atlas of language structureHaspelmath et al. 2005: 333)と EthnologueLewis
2009)の「どちらが正しいか」を決定することは不可能であり,またそうしようと
する意図は全くない。「各個別言語の基本語順は何か」という問いの答えは,当然
ながら「基本語順」という用語の定義に依存する。
 最後に,現在地球上で使われている言語の数は 7000 にのぼるといわれているが,
心理言語学の研究対象は経済的に繁栄した地域で使われている一部の言語に極端に
偏っている(Anand, Chung and Wagers 2011。そのため,既存の(心理)言語学の
本研究では,カクチケル語での読解に慣れていることを条件に実験参加者を募り,言語背景
調査によってさらに確認を行った。
Anand, Chung and Wagers2011)によると,主要な学会や学術誌に発表された約 4000 本の
心理言語学の論文のうち約 3分の 1が英語を対象にしたもので,英語に加えてドイツ語や日
カクチケル・マヤ語の統語的基本語順  91
理論やその背景にある言語観は人間の豊かな言語能力の一部しか反映していない可
能性が大きい。もし本研究がその偏りを是正するための小さな一歩になれるとすれ
ば,それは本研究の最も重要な貢献の一つかもしれない。
参 照 文 献
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めている。4000 本余りの論文で主な研究対象になっている言語をすべて数え上げても 57
語に過ぎない。
92  
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カクチケル・マヤ語の統語的基本語順  93
執筆者連絡先:
[受領日 2012 716
小泉 政利 最終原稿受理日 2012 12 26 日]
980-8576 仙台市青葉区川内 27-1
東北大学大学院文学研究科 言語学研究室
koizumi@sal.tohoku.ac.jp
Abstract
Syntactically Basic Word Order of the Kaqchikel Maya Language:
A Sentence Processing Study
J K    Y Y    J E A S
Tohoku University National Museum of Ethnology Comunidad Lingüística Kaqchikel
L P O G M M K
Comunidad Lingüística Kaqchikel Tohoku University
Kaqchikel, one of the Mayan languages, is recognized as having the Verb-Object-Subject
(VOS) order as its basic word order, similar to many of the other Mayan languages. In
reality, however, the SVO word order is more frequently used than VOS, which comes in
second by comparison. For this reason, Kaqchikel is often referred to as a language that is
possibly shifting, or has already shifted, from a VOS to an SVO structure. We conducted
a sentence processing experiment using Kaqchikel transitive sentences to verify whether
the syntactically basic word order of Kaqchikel is VOS or SVO. e resulting data support
a traditional analysis in which Kaqchikel’s syntactically basic word order is VOS, even
for current native Kaqchikel speakers. at is, if indeed a part of the modern Kaqchikel
community is currently shifting from VOS to SVO, this shift has not yet been reected in
the internal grammar of the majority of the native Kaqchikel speakers.
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Article
Full-text available
The present study investigated the priority of information among case particles, thematic roles or gram-matical functions in determining the canonical SOV word order of written Sinhalese. Four types of sen-tences were given to native Sinhalese speakers to perform sentence correctness decisions. The active sen-tences with transitive verbs in Experiment 1 and with ditransitive verbs in Experiment 2 revealed that ca-nonical sentences (i.e., SOV or SOOV) were processed more quickly and accurately than the scrambled sentences (i.e., OSV or OSOV), which supported the existence of scrambling effects. However, since thematic roles, case particles and grammatical functions provide the same information for the SOV ca-nonical order, two further experiments were conducted to single out the priority of information. In Ex-periment 3, native Sinhalese speakers processed passive sentences with canonical word order defined by case particles (i.e., SOV) more quickly and accurately than those defined by thematic roles (i.e., OSV). In Experiment 4, native speakers processed potential sentences defined by grammatical functions (i.e., SOV) more quickly and accurately than the information provided by case markers (i.e., OSV). Therefore, the present study concluded that grammatical functions play a crucial role to determine SOV canonical order.
Article
In this thesis, I argue that the obligatory nature of agreement in [phi]-features (henceforth, [phi]-agreement) cannot be captured by appealing to "derivational time-bombs"-elements of the initial representation that cannot be part of a well-formed, end-of-the-derivation structure, and which are eliminated by the application of [phi]-agreement itself (as in Chomsky's 2000, 2001 uninterpretable features approach, for example). Instead, it requires recourse to an operation- one whose invocation is obligatory, but whose successful culmination is not enforced by the grammar. I then discuss the implications of this conclusion for the analysis of defective intervention by dative nominals. These results lead to a novel view of the interaction of '-agreement with case, furnishing an argument that both '-agreement and so-called "morphological case" must be computed within the syntactic component of the grammar. Finally, I survey other domains where the same operations-based logic proves well-suited to model the empirical state of affairs; these include Object Shift, the Definiteness Effect, and long-distance wh-movement. The thesis examines data from the Kichean languages of the Mayan family (primarily from Kaqchikel), as well as from Basque, Icelandic, and French.
Article
Standard practice in linguistics often obscures the connection between theory and data, leading some to the conclusion that generative linguistics could not serve as the basis for a cognitive neuroscience of language. Here the founda- tions and methodology of generative grammar are clarified with the goal of explaining how generative theory already functions as a reasonable source of hypotheses about the representation and computation of language in the mind and brain. The claims of generative theory, as exemplified, e.g., within Chom- sky's (2000) Minimalist Program, are contrasted with those of theories en- dorsing parallel architectures with independent systems of generative phonol- ogy, syntax and semantics. The single generative engine within Minimalist ap- proaches rejects dual routes to linguistic representations, including possible extra-syntactic strategies for semantic structure-building. Clarification of the implications of this property of generative theory undermines the foundations of an autonomous psycholinguistics, as established in the 1970's, and brings linguistic theory back to the center of a unified cognitive neuroscience of lan- guage.