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The effects of Creative Hopelessness on the avoidant behaviors of undergraduate students with high social avoidance tendency: Focused on subjective evaluations of ^|^ldquo;Change Agenda^|^rdquo;

Authors:
行動療法研究39(1),1-11, 2013
〈原 著〉
Creative Hopelessness獲得の効果一言行一・致の枠組みからの検討一
酒井 美枝1伊藤 義徳2 甲田 宗良3 武藤 崇4
周期約
 「創造的絶望(絶望から始めよう);Creative Hopelessness(CH)」とは、不快な私的事象を制御す
ることへの動機づけの低減を目的としたアクセプタンス&コミットメント・セラピーにおける治療段
階、および、その介入によって獲得されたクライエントの姿勢を指す。CHの獲得の効果を検討した
研究はなく、その理由としてその弁別法がない点が挙げられた。そこで、本研究では、行動分析学に
おける「言行一致」を用いて、CHの獲得を弁別し、その効果を検討することを目的とした。社会的
場面への回避傾向の高い大学生17名に対して、CH Rationale(講義とエクササイズ)を実施した。結
果として、CHが獲得された言行一致群は他群と比べ、介入後のRationaleに関する習得度が最終的
に高くなる傾向が示唆された。また、言行一致群では介入前後で社会的場面への苦痛度や精神的健康
が改善することが示された。
キーワード:創造的絶望 言行一致 ルール支配行動 アクセプタンス コミットメント
問題と目的
 アクセプタンス&コミットメント・セラピー
(以下ACT)では「体験の回避」(Experiential
Avoidance)に対して、不快な思考や感情を制
御することなく受容し(アクセプタンス)、自
身の「価値」に基づく行動を拡大すること(コ
ミットメント)によって解決する。体験の回避
とは、特別な私的事象(感情、思考など)と接
触しようとしない場合に生じ、その形態や頻
度、それらが生じる文脈を変えようとする行動
を指す(Hayes et al.,1996)。体験の回避は、短
期的な苦痛低減に役立つ一方、長期的にはその
頻度や強度を強めてしまう。また、不安障害な
どにおける症状と関連が指摘されている
(Hayes et al.,1996)。しかし、体験の回避は「思
考・感情・性格が制御できれば行動問題は解決
1同志社大学大学院心理学研究科
2琉球大学教育学部
3琉球大学大学院医学研究科
4同志社大学心理学部
 (2012(平成24)年8月17日受理)
するだろう」という「『素朴な』心理療法のア
ジェンダ」(武藤,2011)によって確立されて
おり、それは人間に普遍的なルールに制御され
ているため(Hayes et al,,1999)、その打破は困
難である。また、随伴性を記述した言語刺激
(ルール)に制御された非言語的な反応をルー
ル支配行動と呼ぶが、ルール支配行動を行うと
実際の強化随伴性に鈍感になるため(松本,
2006)、ルールの示す随伴性が実際には異なる
場合でも、いったん学習されたルール支配行動
を弱めることは難しい。
 この体験の回避を手放すため、ACTで重視
される治療段階、およびその介入を通して獲得
されるクライエントの態度は「創造的絶望(絶
望から始めよう);Creative Hopelessness(以下
CH)」(cf., Hayes et al.,1999;バッハ・モラン,
2009)と呼ばれる。CHによる介入では「思考・
感情・性格が制御できれば行動問題は解決する
だろう」という考え方に気づかせ、それがいか
に不機能であるかを自覚し、立ち向かうことを
促す(Masuda・武藤2011)。社交不安を抱え
る人にとって体験の回避が機能しない現実を直
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行動療法研究第39巻第1号
視するのは“Hopeless”である。しかしながら、
社会的場面への参加など新しい行動が生じる可
能性を併せ持つという意味では同時に
“Creative”でもある。 CHによる介入では、体
験:の回避を諦め、そこに目を向け始める大きな
視点の転換を経ることで、慣れ親しんだ方略の
放棄を目指す。
 アクセプタンスは、体験の回避の代替策であ
り、私的事象を制御することなく、受容的に気
づくことを意味する(Hayes et al.,2006)。こう
した態度を促すうえで、体験の回避の不機能性
を自覚するCHの獲得は不可欠である。実際、
ACTの初期の治療形態が示されたHayes et al.
(1999)では、CHによる介入は治療初期にお
ける必須で主要な段階であった。しかし、
Hayes et al.(2006)で治療形態が変更されて以
降、CHはアクセプタンスに組み込まれ、表記
も明確になされなくなった。ACTの介入研究
では、プロトコルの大部分をCHの表記に費や
す研究(e.g., Eifert et al.,2009)もあれば、 CH
に関する記述はあるが表記が明確になされてい
ない研究(e.g., Codd et aL, 2011)もあり、その
活用も介入者の裁量に任せられているようであ
る。CHによる介入やその獲得の効果を検討し
た実証的研究も存在しない。こうしたなかで
CHの獲得の効果を示すことができれば、その
重要性の再認識やACTの洗練にもつながるで
あろう。CHに関する研究がない理由としては、
CHが獲得された際に生じうる行動プロセスの
定義が曖昧で、その獲得の弁別法がない点が挙
げられる。特にCHの獲得の有無は言語報告で
とらえにくい点が一番の理由である。CHによ
る介入ではクライエントの体験的理解を目指す
が、治療者が介入を提供した事実やクライエン
トが「理解しました」と応じただけでは、CH
が獲得されたとするには不十分である。よっ
て、CH獲得の効果を検討するためには、この
点を克服した新しい弁別の枠組みが必要とな
る。
 CHは、非機能的な方略を手放すクライエン
トの行為(Flaxman et al.,2011)や、過去の問
題解決のための試みが実際には問題の一部であ
るという体験に接しているときのクライエント
の姿勢(バッハ・モラン,2009)として定義
される。さらにHayes et al.(1999)によると、
CHは、体験の回避と関わるルール支配行動の
低減を伴うものであり、これは言い換えると、
建設的な行動変容に影響する動機づけに関する
ルールとして作用する、と定義されている。こ
れらの定義によれば、CH獲得後は、「会話中
に相手の目を見ない」などの体験の回避の頻度
の低減が想定できるが、こうした状態を行動レ
ベルで把握することは難しい。一方、アクセプ
タンスの指標は「コミットメント」、つまり「価
値」に基づく行動の生起に置き換えうる。
ACTにおける価値とは、個人に人生の全般的
な目標を提供し、その目的に向けた一貫性のあ
る行動を導くルール(吉岡,2006)と定義され、
例えば「人と親密な関わりを持つ」などである。
アクセプタンスはそれ自体で完結するものでは
なく、あくまで価値に関連した行動を増やすた
めに養われるプロセスであり(Hayes et al.,
2006)、両者は表裏一体をなす。よって、CH
の獲得後、「会話中に相手の目を見ない」とい
う体験の回避が低減した状態は、「積極的に相
手の目を見て会話を楽しむ」という価値に関連
する行動(コミットメント)の頻度が増えた状
態としても記述できる。このように考えると、
CHの獲得後には、体験の回避を導く既存の
ルールが打破されるとともに、価値に関連する
ルール支配行動(コミットメント)が初発され
る一連のプロセスが生起すると考えうる。ルー
ル支配行動とは、ルールとルールに続く行動の
連鎖が獲得された状態を指す。また、言語行動
と非言語行動の連鎖における対応は「言行一致
(correspondence between saying and doing)1
と呼ばれている(小野2005)。以上のことか
ら、CHの獲得は、価値に関連する新しいルー
ルが獲得され、それと内容的に一致した行動が
連鎖するという、言行一致の枠組みで行動的に
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酒井・伊藤・甲田ほか:Creative Hopelessness獲得の効果
弁別が可能と考えられる。
 そこで、本研究では、CHに関するRationale
を実施し、言行一致を用いてCHの獲得の効果
を実証的に検討することを目的とする。本研究
におけるRationaleは、高橋ら(2002)と同様、
講義とエクササイズからなる対処方略に関する
説明を指す。仮説として、Rationale後、価値
に基づく行動の実行を有呈した者の中で、実際
に行動に移した者(言行一致群)は、有喫した
が実行できなかった者(不一致群)と比して
Rationaleの習得度が高く、精神的健康や心理
的症状が改善すると考える。
 また、Rationale後に新たに獲得される、代
替行動を導く内的言語行動についても、予備的
に検討する。Blackledge&Barnes-Holmes
(2009)では、CHによる介入が成功すると、体
験の回避への気づきが高まり、その不機能性に
関する内的言語行動がシェイビングされ、回避
への動機づけが低下するとされる。そこで、そ
うした内的言語行動の内容を確認し、心理的症
状や精神的健康との関連を検:曝する。
方 法
1.実験参加者
 CH Rationaleでは体験の回避の不機能性に
焦点が当てられた。また、言行一致の「行」は
日常生活における具体的な行動に設定した。
よって、参加者の特性に何らかの回避傾向があ
り、行動変容を実験:者が客観的に把握できる必
要があった。そこで、社交不安傾向者の回避行
動に焦点を当て、大学生868名(男性473名、
女性395名、平均年齢19.99歳、SD=2.46)を
対象にスクリーニング調査を実施した。①日本
語版Social Avoidance Distress Scale得点が、石
川ら(1992)における一般成人・学生の平均値
8.76点より1/2SD高い12点以上、②現在精神
科受診歴がなく、③インフォームド・コンセン
トが得られた、17か日対象とした(男性5名、
女性12名、平均年齢20.59歳、SDニ0.45)。身
体疾患以外の理由によるドロップアウト者はい
なかった。
2.セッション介入者
 国際学会および国内学会におけるACTの
ワークショップに参加し、研修を積んだ、臨床
心理学を専攻する者(第一著者)が実施した。
3. CH Rationale
 ACTの概論書(Hayes et al.,1999)、マニュ
アル本(Ciarrochi&Bailey, 2008)、実践本
(バッハ・モラン,2009)、セルフ・ヘルプ本
(ヘイズ・スミス,2008)をもとに作成した。
①Cost・Benefit分析(体験の回避の短期的・
長期的効果)、②メタファー(回避の不機能性)、
③体験的エクササイズ(思考抑制の逆説的効
果)、④価値の明確化、⑤誘導的発見(参加者
自らがルールを生成できる操作)を含んだ。⑤
誘導的発見については、介入者の教示の影響を
少なくし、参加者の体験的理解を高めるため、
Ciarrochi&Bailey(2008)の8つのコア・クェ
スチョンを翻訳し、本研究に合うよう変更した
ものを組み込んだ。実験者が作成したものを大
学生20名に予備実験:を行い、最終的に10年以
上臨床経験のある臨床心理士であるACTの精
通者(第二著者)が構成を整えた。
4.倫理的配慮
 第一著者の当時の在籍研究機関の許可を得て
実施された。同機関による倫理審査は受けてい
ないが、ヘルシンキ宣言の倫理的配慮を遵守し
た。参加者が心身共に健康であることを確認
し、喚起される否定感情が過度にならないよう
配慮した。実験中の回答は強制でなく、参加者
の判断で中止できることを事前に伝えた。万が
一に備え、介入者がリラクゼーション法を習得
し、臨床心理士である第二著者が対応できるよ
う準備をした。
5.指標
 (1) スクリーニング時の指標
 日本語版Social Avoidance Distress Scale(日
本語版SADS;石川ら,1992)を用いた。社会
的場面における不安感や回避行動の測定を目的
とし、28項目を2件法(はい:1,いいえ=0)
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行動療法研究第39巻第1号
で回答を求める。
 (2) アセスメント時の指標
 ①社交不安・特性不安に関する指標:次の4
つを用いた。(a)日本語版SADS(石川ら,
1992)。(b)日本語版Fear of Negative Evalua-
tion Scale(日本語版FNE;石川ら,1992):他
者からの否定的評価への不安の測定を目的と
し、30項目を2件法(はい:1,いいえ:0)で
回答を求めた。(c)State-Trait Anxiety lnvento-
ry-Form JYZ(新版STAI:状態一特性不安検
査;肥田野ら,2000)の特性不安検査(以下
STAI-T):20項目を4件法(全くそうでない:
1~全くそうである:4)で回答を求めた。(d)
自覚的障害単位(Subj ective Unit ofDistur一一
bance;SUD):苦痛場面を5つ選出し、苦痛が
最も強い場面を100、苦痛がない場面を0とし
て、0~100で評定を求めた。分析時は5:場面の
合計得点(SUD合計)と第2回セッションで取
り上げた一場面の得点(SUDI)を用いた。
 ②精神健康に関する指標:日本語版GHQ精
神健康調査票の短縮版(日本語版GHQ28;中
川・大坊,1985)を用いた。精神健康の測定を
目的とし、28項目を4件法で回答を求める。得
点が低いほど精神的健康は高い。
 ③CH Rationaleの習得度の指標(講義理解
テスト):自作の10項目に対して、「あてはま
ると思うもの:○、間違っていると思うもの:
×、判断が難しいもの:?」から1つ選択させ
る。作成時は、ACTのRationale研究である高
橋ら (2002)やTakahashi(2010)、 Kishita&
Shimada(2011)で使用された講義理解テスト
を本研究の内容に合うよう変更した。実験者が
作成したものを、第二著者と検討し、内容妥当
性を高めた。心理学や他分野の大学生6名を対
象に、Rationaleのプロトコルを熟読後、テス
トへ回答を求め、基準関連妥当性を検討し、全
項目の正答率が100%を達成したことをもって
最終版とした。
 ④代替行動を導く内的言語行動に関する指
標:「「新しい行動」を実行するかどうかを選択
する際に、その直前で考えていたことや、浮か
んできた考えなどはありますか?」という自作
の短項目の質問に対し、第3回時に自由記述で
回答を求めた。
6.手続き(Fig.1)
 3回のセッションから構成された。第1回は、
参加者と実験者とのラポールを形成し、各参加
者の苦痛場面での私的事象や回避行動を詳しく
同定することを目的に個別形式で実施した。第
2回と第3回は、できる限り同メンバーで構i成
…凹Ψ… 脚二二矯欝騨』  ’
@    蟻     張売     瀬   互            レ
インフォームド・コンセント
Pretest=SADS・FNE・STAI-T・GHQ
苦痛を感じる社会的場面の同定(Pretest:SUD)
s快な私的事象と体験の回避の同定
聯煽 @   ψ .  肖朔…1即田遣 野照’…構脚’1‘L… 「  1y闘.邑’”「「’  、 偏
約1週間
繍織・籟麟∴1 糊}9隙蝋
@     曇                           匝
CH Rationaleの実施
言:代替行動の選出と実行計画の立案
Post-CH Rationale test:二月義理解テスト
’     」F                                                ぐ               ト ’附’胃       凸轍Fヒ
 約1週間
藤 ’
 HW:代替行動にチャレンジ
講麟・蜘
Posttest:SADS’FNE’STAI-T’GHQ
   SUD・講義理解テスト
行:代替行動の実行の有無の確認
まとめ
Fig.1 手続き
Note. SADS=Social Avoidance Distress Scale; FNE==Fear of Negative Evaluation Scale; STAI-T=State-Trait Anxiety
  Inventory (trait); GHQ=Z[he General Health Questionnaire; SUD=Subjective Units of Disturbance; CH=Creative
  Helplessness; HW= homework.
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酒井・伊藤・甲田ほか:Creative Hopelessness獲得の効果
された最大4名の小集団形式で実施した。な
お、毎回のセッション終了時には、本研究と無
関連の日常的な会話を用いて気分中和を行い、
気分に問題がないことを確認したうえで終了と
した。
 (1) 第1回セッション(個別形式)
 質問紙への回答後、社交不安の心理教育を行
い、SUDを用いて日常生活で苦痛を感じる社
会的場面を5つ同定した。ワークシートを用い
て苦痛が最も高い場面で生じる不快な私的事象
と体験:の回避を同定した。体験の回避は、思考
抑制などの内的行動と場面からの回避や逃避な
どの外的行動を同定し、それらが参加者の常習
パターンであることを確認した。
 (2) 第2回セッション(小集団形式)
 第1回で取り上げた苦痛な場面と私的事象、
体験の回避を参加酒間で共有した後、CH
Rationaleを開始した。ワークシートを用いて、
体験の回避は、短期的には不快感を低減させる
が、長期的には根本的解決を導かず、価値の方
向に進むことを妨げることを確認した。腹ペコ
の小さなトラのメタファー(ヘイズ・スミス,
2008)と白クマ実験(Wegner et al.,1987)のエ
クササイズを行った。体験の回避は「不快な私
的事象を制御できれば問題解決できる」という
ルールに支配された行動であることを確認した
後、第2回後1週間の中で実行できそうな価値
に基づく代替行動を選出し、強制ではないが、
ホーム・ワーク(HW)として実行してみるこ
とを提案した。代替行動の選出にあたっては、
ワークシートに「いつ、どこで、誰と、何を、
どんなふうに」を明記するよう求め、各行動の
実行可能性を評定してもらい、それが100%に
近い行動を必ず含めるよう指示し、実行可能性
を統制した。講義理解テストへ回答を求めて終
了とした。
 (3) 第3回セッション(小集団形式)
 質問紙への回答後、第2回で計画した行動の
実行の有無を各参加者に尋ねた。実行者にはそ
の短期的、長期的効果を尋ね、実行することで
不快感が短期的に高まるが長期的には低減する
ことと、価値に沿う行動であるという2点を代
替行動の定義として示した。代替行動への挑戦
を労いつつ、感想を求め、介入者がまとめて終
了した。なお、言行一致は、第2回時に計画し
た行動の実行の有無を基準とした。第2回時に
計画した各自の代替行動の記入済シートを呈示
し、実行の有無を参加者に「あり・なし」で別
シートへ回答を求めた。その回答を基に、実験
者が事後的に言行一致を分類した。例えば、「明
日昼休みにAさんの目を見て話す」と計画した
者が、実際に当日Aさんの目を見て話せた場
合、言行一致となる。
結 果
1.分析対象者
 (1)新たな言語反応の生起(「言」の獲得)
 第2回の代替行動の実行計画時、全参加者が
所定シートに価値に基づく代替行動を自発的に
記入した。これをもって、全参加者において代
替行動の実行に関する言語行動が生起したこと
(「言」の獲得)を確認した。
 (2) 代替行動の生起(「行」の獲得)
 新たに生じた行動が代替行動であるか否かを
区別する方法として、行動の実行理由を尋ね
た。不快な私的事象を回避するための行動は
「擬似的アクセプタンス(バッハ・モラン,
2009)行動」と定義した。本研究では、擬似
的アクセプタンス行動も含め、代替行動の不実
行者は2名、代替行動の実行者15名として、
以下の分析を行った。
2.CH Rationaleの効果
 Rationale前後での各指標の変化を検討する
ため、1要因2水準(Pretest・Posttest)被験者
内計画の分散分析を行った。GHQ得点にのみ
有意差が見られ(F(1,16)=8.82,p<.Ol)、釆青
神的健康の改善が示された。
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3.CH獲得の弁別法としての「言行一致」の
 有効性
 (1) 「言行一致」による2つの弁別基準
 代替行動の実行者(N=15)中、計画した行
動を実行した者は11名であり、残り4名は未
計画の行動のみを実行した。本研究における言
行一致は、計画時の有言と一致した行動が生じ
た場合を指す。そこで、計画した行動(計画行
動)の実行者(N=11)のみを「言行一致群」
とし、未計画の行動のみ実行者(N=4)と代替
行動の不実行者(Nニ2)を合わせて「言行不一
致群」(N=6)とした。また、CH獲得の弁別法
としての言行一致の有効性を詳細に検討する際
には、分析対象者をさらに、①「計画行動のみ
実行群」(N=6)、②「計画行動とその他の行
動の実行群」(N=5)、③「その単層」(Nニ6)
に分類し、①「計画行動のみ実行群」を「狭義
の言行一致群」として分析を行う。というのも、
「言行一致群(N=11)」には、①「計画行動の
み実行者(N=6)」と②「計画行動とその他の
代替行動も実行した者(N=5)」が含まれるが、
言行一致では代替行動が生じる場面の般化は問
わなかった。また、②「計画行動とその他の行
動実行者」は、HW期の始めには計画行動を実
行できなかったが、実行がより容易で機能的に
同じ他の代替行動を行うなかで強化随伴性によ
り計画行動がシェイビングされ、結果的に言行
一致した可能性もありうるからである。
 (2)CH Rationale後における講義理解テス
   ト得点
 全参加者の第2回終了時における講義理解テ
スト得点は、8点/10点以上で、その平均値
(SD)は8.88点(0.90)であった。これは、 ACT
のRationale研究(高橋ら,2002)において、
ACTの講義とacceptanceエクササイズを受け
た群の介入後の講義理解テスト得点(8.10点
(1.51))と同程度であった。本研究の全参加者
において、CHに関する理解が得られたことが
不された。
   一〇一①計画行動のみ実行群
   一口■・②計画行動とその他の行動実行群
   一血一③その他群
 le
g’V@1 o・・.””””O’;”1’ ”’”1
謬・
,:,! iiiii”””’hu-e一一eq,,,,,(:;,.H.ii..1..ii
。-
  Pest-CH Raime test 1)bgttest
         測定段階
            p*く.05,グく」O.
Fig.2言行一致の有無における講義理解テス
   ト得点の変化
Note. CH=Creative Hopelessness.
  ①計画行動のみ実行群:N=6,②計画行動と
  その他の行動実行群:N=5,③その他群:N
  =6.
 (3)CH獲得の有無における講義理解テス
   ト得点の変化
 ①「計画行動のみ実行群」、②「計画行動と
その他の行動の実行群」、③「その他群」の各
群のサンプル数が少なく、Levene検定で等分
散性が確認できなかったため、ノンパラメト
リック検定を実施した。各群における測定段階
の変化はWilcoxonの符合順位和検定を、各測
定段階における群間差にはKruskal-WallisのH
検定を実施し、5%水準で有意差が見られた場
合、Mann-WhitneyのU’検定による多重比較
検:定を実施した。その結果、Posttestにおける群
間に有意差が見られた(X2(2)=6.44,p<.05)。
多重比較検定の結果、①「計画行動のみ実行群」
(狭義の言行一致群)と②「計画行動とその他
の行動の実行群」の差が有意傾向で(U=4.50,
p<.10)、①「計画行動のみ実行群」と③「そ
の群群」の問の差が有意であり(σ=4.50,
p〈.05)、①「計画行動のみ実行群」の講義理
解得点が高かった(Fig.2)。
一6一
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酒井・伊藤・甲田ほかlCreative Hopelessness獲得の効果
loo
 oo
s se
U
D 70
量6G
点50
**
”””
,’
    Pt‘etest Pbstbest
84 一〇一言行一致群
一〇一言行不一致群
**
,’
    Pretest      Po醐e濱
測定段階
                             p**〈.Ol,p*〈.05.
Fig.3言行一致の有無におけるSUD 1得点とGHQ得点の変化
Note. GHQ==’lhe General Health Questionnaire;SUD=Subjective Units of Disturbance.
   言行一致群:N=11,言行不一致群:N=6.
Table l測定段階ごとの各指標の平均値と標準偏差
Pre test Post test 主効果 主効果 交互作用
指標
一致群 不一致群  一致群      (測定段階)
不一致群
        F
(群間)
 F F
SADS
FNE
STAI-T
SUD合計
SUD 1
GHQ
17.55 15.67
(3.85) (2.81)
18.91 18.00
(5.98) (2.89)
48.18 49.00
(10.40) (5.03)
329.91 305,17
(70.50) (50.25)
78.55 75.83
(16.03) (10.17)
26.36 22.33
(7.44) (8.54)
17.18
(5.27)
19.09
(7.81)
47.55
(11.78)
300.91
(86.52)
60.00
(21.21)
19.46
(7.76)
17.88
(2.19)
18.67
(5.31)
48.00
(6.68)
31Z17
(44.63)
81.67
(3.73)
22.50
(8.68)
O.71
O.22
O,50
O.46
2.49
6.53*
O.11
O.04
O,Ol
O.O1
1.59
O.O1
1.41
O.07
O.02
2.67
9.16**
7. 19*
                                          P““〈.Ol,p*〈.05.
Note. SADS==Social Avoidance Distress Scale; FNE=Fear of Negative Evaluation Scale; STAI-T=State-Trait Anxiety lnventory
   (trait) ; SUD::Subjective Units of Disturbance; GHQ=The General Health Questionnaire.
   言行一致群二N=11,言行不一致群N=6.
4.CH獲得の効果
 各指標に対して、実験:条件(言行一致・不一
致)×測定段階(Pre test・Post test)の2要因被
験者間内混合計画の分散分析を行った(Table
1)。計画行動の実行者を「言行一致群」(N;
ll)、それ以外の者を「言行不一致群」(N=6)
とした。結果として、SUDI得点において、交
互作用が有意であった(F(1,15)=9.16,
p〈.01)。実験条件の単純主効果検定の結果、
Posttestにおいて有意差が見られ(F(1,15)=
5.43,p<.05)、一致群が不一致群よりも低かっ
た。測定段階における単純主効果検定の結果、
一致群において有意差が見られ(F(1,15)=
15.02,p〈.01)、 Pre testからPost testにかけて
一7一
Presented by Medical*Online
行動療法研究第39巻第1号
低下が示された。実験条件、測定段階共に主効
果は有意でなかった。GHQ得点において、交
互作用が有意であった(F(1,15)=7.19,
p<.05)。実験条件の単純主効果検定の結果、
有意差は見られなかった。測定段階における単
純主効果検定の結果、一致群において有意差が
見られ(F(1,15)=19.41,p〈.Ol)、 Pre testから
Post testにかけて低下が示された。測定段階に
おける主効果が有意であり(F(1,15)=6.53,
p〈.05)、Pre testからPost testにかけて低下が
示された(Fig. 3)。
5.CH Rationale後に新たに獲得される内的
 言語行動
 (1) 内的言語行動の内容
 特徴を整理するため、第一著者と心理臨床経
験:のある大学院生1名の計2名で、KI法(川喜
田,1967)による評定を実施した。最終的に
得られたラベルとそこに含まれる原カード例は
次のとおりである。①「行動実行への覚悟」
(47.37%;原カード数=9;例=自分を変えるた
めに頑張ろう)、②「いつもの不安・緊張感」
(36.84%;原カード数=7;例:変なことを言っ
ていないかな)、③「デメリットを回避したい
気持ち」(10.53%;原カード数=2;例1回避
するとまた後悔するだろうな)、④「プライア
ンス」(5.26%;原カード数二1;例:来週セッ
ションあるから一つぐらいやっていこうかな)
であった。プライアンスは、ルール支配行動の
一種であり、ルールと行動の一致が人為的に強
化されている(松本,2006)。
 (2) 内的言語行動における各指標の変化
 内的言語行動の内容による各指標の変化を検
討するため、4ラベルごとに全参加者を振り分
け、原カード数が5以上割り振られた2ラベル
(「行動実行への覚悟」(覚悟;N=9)・「いつも
の不安・緊張感」(不安緊張;N=7)×測定段
階(Pretest・Posttest)の2要因分散分析を行っ
た。その結果、SUD合計得点において、交互
作用が有意であり(F(1, 14)=7.73,p<.05)、実
験:条件の単純主効果検定の結果、Pre testにお
500 -o一行動実行への覚悟
   一ローいつもの不安・緊張感
4SO
s
U 400
D
合350 {’…
計     1
得   †L_
点300
**
,f
      P戯est       Po謝
         測定段階
            p**〈.01,pk 10,
Fig.4 内的言語行動の違いにおけるSUD合計
   得点の変化
Note, SUD=Subjective Units of Disturbance.
  行動実行への覚悟:N=9,いつもの不安・緊張
  感:N=7.
ける差が有意傾向で(F(1,14)=3.56, p<.10)、
「覚悟」のほうが「不安緊張」より高いことが
示された。測定段階における単純主効果検定の
結果、「覚悟」で有意差が見られ(F(1,14)=
9.94,p<.01)、 Pre testからPost testにかけて低
下が示された(Fig.4)。
考 察
 本研究の目的は、言行一致にてCHの獲得を
弁別し、その効果を検討することであった。言
行一致の弁別法の有効性、CH獲得の効果、新
たに得られた内的言語行動の3点を考察し、本
研究の限界と展望を述べる。
 1点目に、Rationale後の講義理解テスト得点
の平均値は先行研究と同程度であり、Post test
において、計画行動のみ実行群という狭義の言
行一致群はその他の群と比べて得点が高い傾向
が示された。よって、CHの獲得の有無を弁別
する方法としての言行一致の有効性が示唆され
た。
 2点目に、CHが獲得された言行一致群では
精神的健康の改善が見られた。一方、言行一致
一8一
Presented by Medical*Online
酒井・伊藤・甲田ほか:Creative Hopelessness獲得の効果
群は不一致群と同様、社交不安傾向や回避傾向
に変化は見られなかった。社交不安傾向に変化
がなかった点は、ACTの治療目標が症状の低
減ではなく、価値に基づく行動の活性化にある
ことと関連すると考察できる。一方、回避傾向
については次のように考える。使用したSADS
は自身の回避傾向への主観的評価を測るもので
ある。Blackledge&Barnes-Holmes(2009)に
あるように、CHによる介入を通して、参加者
が今まで無自覚であった自身の体験の回避に意
識的になり、自身の回避傾向を高く見積もった
ため、主観的評価に変化が生じなかったとも考
え得る。また、一回の代替行動の実行により主
観的評価が変化するとも考えにくい。ただし、
言行一致群において、セッションで取り上げた
一場面の苦痛度が介入前後で減少したことを踏
まえると、社交不安傾向や回避傾向にも変化が
生じる可能性はあるが、そのためには、代替行
動が生じる場面の般化が必要であるといえる。
今後は、行動変容と主観的評価の関連につい
て、長期的な追跡を行う必要がある。
 3点目に、本研究では、代替行動の実行を選
択する直前の内的言語行動の内容を検討した
が、「行動実行への覚悟」を生じた者は、介入
前後で社会的場面への苦痛度が減少し、Pre
test時に明楽よりも苦痛を感じていたことが示
唆された。よって、CHによる介入時には「覚
悟」に関する言語行動をいかに確立するかが重
要となるが、それを具体化する一例として、場
面の苦痛度を治療中に十分に喚起させ、積極的
に扱うことが有効かもしれない。認知療法の文
脈やほかの心理療法の文脈では、治療中に実際
のストレス状況を詳細に追体験することの重要
性が指摘されており(ウェルズ・マシューズ,
2002;グリーンバーグら,2006)、ACTの文脈
でもCHによる介入効果の促進に、こうした操
作の有効性が示唆される。
 本研究の限界点を3つ挙げる。1点目に、CH
の獲得を弁別する方法としての言行一致の有効
性については、今後サンプル数を増やし、体験
の回避などの既存指標との関連を検討する必要
がある。2点目に、本研究における代替行動の
実行の有無はCH獲得以外の影響を受けた可能
性がある。行動計画時には1週間内で予定が決
まっている社会的場面での行動を設定するよう
指示したが、なかには、予定変更により代替行
動を試みる場面自体を失った者もいた。本研究
ではHW形式により臨床応用を意識した枠組
みから言行一致を特定したが、今後はセッショ
ン内で生じる臨床関連行動(コーレンバーグ・
サイ,2007)や言語行動(Hesser et al.,2009)
による弁別の検討も望まれる。仮にそうした行
動からCHの獲得の有無が弁別可能になれば、
その場で介入効果を促進させる操作を加えるこ
ともできる。3課目に、CHの介入には複数の
ステップが含まれる(例;始めの段階では、複
数の回避行動を1つの行動クラス(体験の回避)
でとらえることが必要)が、今回はその点を考
慮していない。今後はCHの治療段階における
各ステップがうまく機能した程度を評定できる
アセスメント法の開発が望まれる。
 本研究は、言行一致の枠組みを用いてCH獲
得の効果を実証的に検討した初の試みである。
自身の行動を変えたいと思いつつも実行に移す
ことは難しい。体験の回避におけるCHの獲得
の役割を検討することは、ACTだけでなく多
くの心理的援助に示唆を与えるであろう。
文 献
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一9一
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Effects of the Acquisition of Creative Hopelessness:
    Correspondence between Saying and Doing
Mie SAKAii Yoshinori ITo2 Munenaga KoDA3 Takashi MuTo4
 ’ Graduate School of Psychology, Doshisha University
   2 Faculty of Education, University of the Ryukyus
3 Graduate School of Medicine, University of the Ryukyns
   4 Department of Psychology, Doshisha University
Abstract
   Creative Hopelessness (CH) refers to the phase in Acceptance and Commitment Therapy in which
motivation to cQntrol unpleasant private events decreases, and also the stance that clients acquire in this
phase. Empirical evidence for creative hopelessness is extremely limited, due to a lack of appropriate
methodology for discriminating its acquisition. ln the present study, a new method for discriminating
the acquisition of creative hopelessness was developed from the perspective of the correspondence
between saying and doing. ’lhe effect of creative hopelessness was examined with this new
methodology. Undergraduate students (N=17) with high social avoidance tendency received a
Rationale (lecture and practice) about creative hopelessness. After the intervention, the
correspondence group showed greater understanding of the Rationale compared to the other groups.
Improvement in subj ective disturbance in relation to social events and in mental health was found only
for the participants in the correspondence group. This effect was not observed in the non-
correspondence group, suggesting effectiveness of the acquisition of creative hopelessness.
Key Words: creative hopelessness, correspondence between saying and doing, rule-governed behavior,
acceptance, commitment
一11一
Presented by Medical*Online
... Until recently, relatively few studies had been conducted in this area because of a lack of instruments designed to assess change agenda (Sakai, Ito, Koda, & Muto, 2013). This led Sakai, Masuda, Kishita, and Muto (2014) to assess change agendas using a visual analogue scale, and more recently, Shima, Tomita, Takahashi, and Kumano (2018) developed the Change Agenda Questionnaire (CAQ) for measuring the degree of the believability of an individual's change agenda. As a result, research involving change agendas has made progress, such as the study by Sakai et al. (2014), which found that weakening the believability of a change agenda through CH increased the effectiveness of an acceptance intervention. ...
... This led Sakai, Masuda, Kishita, and Muto (2014) to assess change agendas using a visual analogue scale, and more recently, Shima, Tomita, Takahashi, and Kumano (2018) developed the Change Agenda Questionnaire (CAQ) for measuring the degree of the believability of an individual's change agenda. As a result, research involving change agendas has made progress, such as the study by Sakai et al. (2014), which found that weakening the believability of a change agenda through CH increased the effectiveness of an acceptance intervention. ...
... In other words, it may be difficult to determine whether the believability of a person's change agenda has been weakened based on verbal self-reports. Sakai et al. (2014) found that participants who received interventions counter to CH that were intended to increase the believability of change agendas demonstrated similar levels of understanding of the intervention as measured by explicit measures as did participants who received CH. Their finding demonstrates the possibility that participants may feign understanding of the intervention because of influences from the person administering the intervention. ...
Article
This research examined the reliability and validity of the Change Agenda Implicit Relational Assessment Procedure (CA-IRAP). Change agendas that lead people to think that “reducing or removing undesirable thoughts and feelings will solve problems and lead to a more successful life” are considered unworkable in acceptance and commitment therapy (ACT). For acceptance-based interventions to succeed, relinquishing change agendas is important. However, currently available methods for measuring these types of change agendas are limited to explicit measures, which are vulnerable to distortion from social desirability and demand characteristics. The authors attempted to measure change agendas using the IRAP. A total of 131 undergraduate and graduate students (40 male, 91 female; mean age = 21.93, SD = 3.19) participated. First, we examined the CA-IRAP’s discriminant validity in relation to explicit measures such as the Acceptance and Action Questionnaire-II in 83 participants who were able to pass the CA-IRAP. The correlations between the CA-IRAP and the explicit measures were low, confirming the discriminant validity of the CA-IRAP. Second, we examined the predictive validity of the CA-IRAP. Nineteen respondents had learned ACT and 34 respondents had never learned ACT. Non-ACT learners’ CA-IRAP scores were higher than those of ACT learners, which confirmed the CA-IRAP’s predictive validity. Finally, we examined the CA-IRAP’s test–retest reliability, which was confirmed across some CA-IRAP trial types. In conclusion, the authors submit that the CA-IRAP has strong potential as a valid instrument for measuring the relative strength of relational responses around change agendas while controlling for variables such as demand characteristics.
... Until recently, relatively few studies had been conducted in this area because of a lack of instruments designed to assess change agenda (Sakai, Ito, Koda, & Muto, 2013). This led Sakai, Masuda, Kishita, and Muto (2014) to assess change agendas using a visual analogue scale, and more recently, Shima, Tomita, Takahashi, and Kumano (2018) developed the Change Agenda Questionnaire (CAQ) for measuring the degree of the believability of an individual's change agenda. As a result, research involving change agendas has made progress, such as the study by Sakai et al. (2014), which found that weakening the believability of a change agenda through CH increased the effectiveness of an acceptance intervention. ...
... This led Sakai, Masuda, Kishita, and Muto (2014) to assess change agendas using a visual analogue scale, and more recently, Shima, Tomita, Takahashi, and Kumano (2018) developed the Change Agenda Questionnaire (CAQ) for measuring the degree of the believability of an individual's change agenda. As a result, research involving change agendas has made progress, such as the study by Sakai et al. (2014), which found that weakening the believability of a change agenda through CH increased the effectiveness of an acceptance intervention. ...
... In other words, it may be difficult to determine whether the believability of a person's change agenda has been weakened based on verbal self-reports. Sakai et al. (2014) found that participants who received interventions counter to CH that were intended to increase the believability of change agendas demonstrated similar levels of understanding of the intervention as measured by explicit measures as did participants who received CH. Their finding demonstrates the possibility that participants may feign understanding of the intervention because of influences from the person administering the intervention. ...
Article
This research examined the reliability and validity of the Change Agenda Implicit Relational Assessment Procedure (CA-IRAP). Change agendas that lead people to think that “reducing or removing undesirable thoughts and feelings will solve problems and lead to a more successful life” are considered unworkable in acceptance and commitment therapy (ACT). For acceptance-based interventions to succeed, relinquishing change agendas is important. However, currently available methods for measuring these types of change agendas are limited to explicit measures, which are vulnerable to distortion from social desirability and demand characteristics. The authors attempted to measure change agendas using the IRAP. A total of 131 undergraduate and graduate students (40 male, 91 female; mean age = 21.93, SD = 3.19) participated. First, we examined the CA-IRAP’s discriminant validity in relation to explicit measures such as the Acceptance and Action Questionnaire-II in 83 participants who were able to pass the CA-IRAP. The correlations between the CA-IRAP and the explicit measures were low, confirming the discriminant validity of the CA-IRAP. Second, we examined the predictive validity of the CA-IRAP. Nineteen respondents had learned ACT and 34 respondents had never learned ACT. Non-ACT learners’ CA-IRAP scores were higher than those of ACT learners, which confirmed the CA-IRAP’s predictive validity. Finally, we examined the CA-IRAP’s test–retest reliability, which was confirmed across some CA-IRAP trial types. In conclusion, the authors submit that the CA-IRAP has strong potential as a valid instrument for measuring the relative strength of relational responses around change agendas while controlling for variables such as demand characteristics.
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