小児気道感染の細菌分離をする上で最も効果のある培養材料を用いるために, 1997年12月から1998年4月までの5か月間に当院小児科入院患者より提出された咽頭ぬぐい液, 上咽頭擦過液, 鼻汁吸引液について検討した。陽性率は咽頭ぬぐい液145例中38例 (26.2%), 上咽頭擦過液74例中53例 (71.6%), 鼻汁吸引液27例中25例 (92.6%) で, 咽頭ぬぐい液に比較し上咽頭擦過液, 鼻汁吸引液で高かった。また, 咽頭ぬぐい液の1菌種分離例38例中30例 (78.9%) に対し, 上咽頭擦過液, 鼻汁吸引液では2菌種, 3菌種の複数菌分離例が約半数を占め, 上咽頭擦過液53例中24例 (45.3%), 鼻汁吸引液25例中13例 (52.0%) だった。これらのことから, 小児気道感染症の菌検出精度を高めるためには,
... [Show full abstract] 培養材料として鼻汁吸引液あるいは上咽頭擦過液の採取が望まれる。次に, 小児科入院・外来患者の上気道材料からの検出菌頻度をもとに使用培地の見直しを計った。その結果, 小児気道材料から有意菌としてBTB寒天培地で検出し得るグラム陰性桿菌の分離頻度は314株中1株 (0.3%) にすぎず, それは非選択培地の血液寒天培地でも検出可能だった。このことからグラム陰性桿菌の選択培地として用いられるBTB寒天培地は省いても菌分離に影響はないと思われた。